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私 : 著者の家近 氏は、「 幕末維新史」を専門 としており、 徳川慶喜や西郷隆盛の研究 を続けてきた。
自らを「歴史学では異端」 と語り、 本書は体調不良の観点からとらえた西郷の評伝の続編 。
「 歴史は敗者にもフェアな目配りが必要 」と 失敗続きで謎多き西郷の実像 に迫った。
A 氏 :例えば、 近代化における立憲制の導入や共和政治をどう考えていたのか。
皇族の血をひく最後の将軍慶喜をなぜ恐れたのか。
征韓論の真意とは、人間嫌いだったのはなぜか。
これらの謎を福沢諭吉の思想や側近の残した資料、極端な犬好きの側面などから推定する。
浮上するのは豪胆だが繊細で気配りができ、理詰めだが多情多感で、意外と不器用な西郷像 。
私 :さらに 西郷に匹敵したという幕末から明治まで活躍した「中根雪江」や「日本警察の父」と言われる「川路利良」らにも言及し、リーダーの資質 を示す。
背景には 今日の「政治の劣化」や「礼節の欠如」がある といい、 大切なものに人生をかける清廉潔白で人間力豊かな「人物」が不在と嘆く。
A 氏 : 森友・加計学園問題は忖度だらけで「政治の劣化」の氷山の一角 と言われるね。
私 : 家近 氏は「『 人材 』と『 人物 』は違います。 いまの日本ではすぐ役立つことに価値を置きますが、『人物』は効率から生まれない 。 『人物』を育むのは余裕 。 それは回り道や失敗体験を経ないと身につかない 」。
そして「 『人物』には面白みがあり、それは私にとって最も価値あるもの 」という。
A 氏 : 「人物 」というには「 人格者」や「品格のある人 」という意味かね。
卑近な例 大相撲が横綱の暴力問題で「横綱の品格」が問われている が、 大相撲の横綱の「人材」はいるが、横綱の「人物」はいなくなった ね。
元気のある若い相撲取りを「生意気だ」と殴り倒す のでなく「 これからは、君たちの世代になる。頑張れ 」という 太腹の余裕のある「人物」横綱はなくなった ね。
私 : 家近 氏は 一方、維新革命から1945年の敗戦までを「不幸の歴史」 と語る。
振り返れば、米国の外圧(黒船)で開国し、富国強兵 に邁進 。
日清・日露・日中・太平洋戦争と戦争の連続で他国にも侵略 。
日本人だけでも300万人超もの死者 を生み、 戦後もまた米国と共にある 。
A 氏: 家近 氏は、 「 歴史には原因と結果がある。いま必要なのは近現代史にきちんと向き合い、中国や韓国のような時間をかけた歴史教育です。他国に対し、過去を水に流す、は通用しませんから。そして敗者復活が可能な社会にしなければ 」という。
この点、同じ 第2次大戦の敗戦国のドイツ では、このブログの 「ナチスの加害学ぶ独 悲劇繰り返さないために 」 にあるように、 日本の中学・高校にあたるギムナジウムでは、負の部分、加害者としてのドイツ について、 映画「シンドラーのリスト」を見に行ったりして、じっくり学ぶ。
これに対して、 日本では学校やメディアで戦争について取りあげる際、被害の部分に焦点を絞ることが多く、加害者としての日本について語られることは多くない ね。
私 : 来年は明治維新 150周年 で、 家近 氏は「 歴史は刻々と変化する。だから歴史を学ぶことが大事で、すべての教養の根本には歴史があるのです。とくに若い人には歴史を考えることの楽しさ、魅力的な『人物』を伝えたい 」と繰り返す。
しかし、このブログの 「上杉謙信・吉田松蔭・坂本龍馬、高校教科書から消える? 」 でとりあげたように、 幕末で薩長連合、大政奉還で活躍した坂本龍馬 が、 高校の教科書から消えるのは残念 だね。
彼は「人物」だと思うがね 。