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私 : 第17回大佛次郎論壇賞 (朝日新聞社主催)は、 神戸大教授(政治学・行政学)の砂原庸介氏 の 「分裂と統合の日本政治―― 統治機構 改革と政党システムの変容」(千倉書房)に決まった。
二大政党制を目指した政治改革が行われたはずなのに、なぜ実現しないのか 。
本書はその原因を「地方」の政治や選挙のありようの中 に探り、 今の制度の中には有力な野党が育ちにくい構造がある ことを示したという。
A 氏:政権交代の可能性を感じさせる力強い野党の成長を邪魔している要因は地方議会の選挙制度 なのではないか、と 受賞作は意外な角度から回答した という。
私 : 二大政党による政権交代の可能な政治に変えよう――そうしたかけ声のもと、1990年代の政治改革で衆議院に小選挙区比例代表並立制が導入 された。
2009年には民主党(当時)政権が誕生 したが、 12年には早くも自民党が政権に復帰し、いまや「自民1強」の状況にある。
「この20年で分かったことは、衆院の選挙制度を変えるだけでは変わらないということだ」 と 砂原 氏はいう。
A 氏 : 衆院選は確かに、政党を選ぶ選挙に変わったかもしれないが、地方には、国政とは異なる選挙がある。
地方議会には、多くの定数のもと、「政党という看板」ではなく「人」で選ぶ選挙制度が依然として残っている。
砂原 氏は、「 地方議会の選挙では民主党の候補者たちは、党の掲げた政策プログラムのもとに結束するより自分個人の利害を優先して戦うことを強いられがちだった。結果として民主党は、国政と地方を貫く、まとまりのある政党には育ちにくかった。国政の選挙制度と地方の選挙制度との組み合わせに問題があったのです 」と 指摘 する。
私: 野党が育ちにくい構造があった 、という 指摘 だ。
選挙制度の違いのほかに、地方分権改革の影響 もあったと見る。
たとえば 分権は知事や市長の権限を強め、首長が地方政党を立ち上げる動きを加速させた が、それは、 民主党のほかに野党を乱立させる結果 にもつながったという。
小池都知事の「希望の党」による野党分裂 はそれかね。
A 氏 : この状態を改善する には 「 国政と地方政治の関係を再構築する制度的な整備が必要 」だと同書で 砂原 氏は述べる。
野党が与党と、より公平な条件で競える制度 に作り替えるべきとし、 砂原 氏は、 具体的には、地方議会の選挙に比例代表制を導入することを提言。
私 : 砂原 氏は、 大学院では当初、経済学や社会学 を学んでいたという。
「 開発経済やコミュニティーの研究 を考えていました。 よい統治とは?に関心があった からです。 地方政治 を研究するようになったのは、 首長と議会という別々に選ばれた二つの代表で統治する仕組みに興味を持った からです」という。
より自由で民主的な社会を作り出すための手助けになる研究をしたい 、と語る。
A 氏 : 砂原 氏は、 「 単一の正しさでまとまった社会は好ましいと思えないし、正しさについては色々な主張があるべきです。ただその中でも一定の合意はしていかなければいけない。個人の自由を尊重しながら必要な意思決定を行える方法とはどんなものか。それを考えたい 」という。
私 : 砂原 氏の いま関心のあるテーマの一つ は、 都市での住民投票 だという。
「 望ましい意思決定だと言える条件を探りたい 」という。
具体的に 大阪の都構想の住民投票や東京都の小池問題の構造 を明らかにしてほしいものだね。