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A 氏 : 著者の旅 は、 フェニキア人の都市「ビュブロス」 から始まる。
バイブルの語源となった町 で、 その北方の大交易都市「ウガリト」の主神エル は、 旧約聖書 に登場する神ヤハウェのモデルになったという説 もあるが、もしそうなら、 世界を席巻した「セム的一神教(ユダヤ教、キリスト教、イスラム教)」は、この 港湾都市 で生まれたことになる。
私 : 破壊と邪悪のシンボルであり続けた「バビロン」 は、「 エルサレム」が破壊されユダヤの人々が「バビロン」に捕囚民として連行 されたので、「 バビロン」が憎悪の対象 となる。
しかし、 旧約聖書が文書の体裁をとり始めたのは「バビロン」の町においてのことだった。
捕囚はペルシャの「キュロス大王」によって終わりを告げ、 預言者 「イザヤ」は「キュロス」を「メシア(救い主)」として歓迎 。
ここから「メシア」を待望する観念が生まれ、「イエス」に結びついていく。
「アレクサンドリア」で聖書は「ヘブライ語」から「ギリシア語」に訳され「七十人訳聖書」 と称されるが、 訳で様々な問題が生じた。
すなわち 、「モーゼ」の渡った「葦の海」が「紅海」、「イザヤ書」の「若い女性」が「処女」と訳された。
A 氏 : キリスト教の根幹を成す「処女降誕」は誤訳から生まれたのかも知れないというのは興味ある指摘 だね。
私 :「 クムランの洞窟」で発見された死海写本 は 聖書本文の変遷を実証 。
旅の最後は「ローマ」 で、 旧約、新約聖書の正典化の作業は、実に4世紀末まで続いた 。
このように、 聖書を中心に古代に栄えた都市を旅する紀行書 は確かに、興味を引き、 少しでも聖書に興味がある人には、ぜひとも読んで欲しいユニークな1冊 といえそうだね。