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私 : 子供時代から比較すると、「ハエ」が少なくなった ね。
今は、 家の中に「ハエ」が一匹でも飛んでいるのを見たら、大騒ぎで殺虫剤をまき散らす ね。
ところが、 この書評を読んで「とんでもない昆虫」であることを知った ね。
それに 評者の保阪正康氏は昭和史の研究で有名 で、 「ハエ」との組み合わせは奇抜 だね。
著者は大英自然史博物館勤務の「ハエ」に憑かれた研究者 で、 本書は、その「蠅学概論」 。
世界の昆虫個体数は「およそ千京(10の19乗)」で、そのうちの約8・5%がハエ目(双翅目) という。
もっともここには「ハエ」、カ、アブなども入るというが、人間1人につき1700万匹の「ハエ」が存在することになる。
「ハエ」は、伝染病 の媒介者 であり、 ときに死への誘い役 でもあり、 害虫扱い するが、 その一方で著者によると、「ショウジョウバエ」は繁殖力が旺盛で、過去100年にわたり、人類の遺伝を探る研究に多大な貢献を果たしてきた。
「クロバエ」の幼虫は、死亡日時の特定に役立ち、殺人事件の解決に協力する。
壊疽の治療では生きた蛆虫を傷口に置くと、蛆虫は壊疽の組織を食べてしまう。
チンギス・ハーンは遠征軍に大量の蛆虫を馬車で運び、負傷した兵士の治療に用いたそうだ。
「ヤチバエ」の幼虫 は、 住血吸虫症の原因となるカタツムリや巻き貝を捕食 するという。
A 氏 : 古代エジプト 人は捕食性の「ハエ」は、自分より大きな獲物に向かっていくその勇気と粘り強さで「ハエ」を尊敬していた。
昆虫や甲殻類まで捕食し、加えて北極のマイナス60度から熱帯雨林まで平気。
を経て、 幼虫時代は食べることのみに費やされ、糞便、死肉から野菜までなんでも食べ、成虫になると交尾し、分散して行く。
その生命力は凄まじく、どんなところにも卵を産み、しかも、「ハチ」に産み付けられた卵は、幼虫になり、宿主を食べる。
私 : 著者は、「ハエ」に憑かれているだけではなく、まだかなりいるらしい新種の「ハエ」を発見する喜び 、 多様なハエの種類から「求愛」の様子 、 最大級で6センチもあるムシヒキアブモドキ科 などに 触れていくときの高揚 は、 読者を刺激すると評者はいう。
この書評を読んで今度、家の中に「ハエ」が飛んできたら 、 すぐ殺虫剤をまかないで、しばらく動きを観察しようかと思った ね。