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私 : 介護業界を襲う人手不足は深刻さを増している。
厚労省 によると、 介護に携わる職員数は16年度で約190万人 で、 職業別の有効求人倍率では、今年7月の全職種平均が1・42に対して介護サービスは4・03 。
東京都心部では20倍前後の地域もある。
この先の状況は、さらに厳しく 、 厚労省 は、 団塊世代が75歳以上の「後期高齢者」になる25年度には245万人 、 65歳以上の高齢者がピークに迫る40年度には305万人の介護職員が必要になる 、と計算する。
一方、この間、少子化で国内の就業者は全体で900万人以上縮み 、 そんな中、介護人材を100万人以上増やせるのか、 という問題もある。
少子高齢化による典型的な社会問題 だね
有料老人ホームなど300施設以上を展開するベネッセスタイルケアの国政貴美子 顧問は 「たとえば外国人を10万人単位で受け入れる。IT活用や業務変革によって、入居者と職員の比率を4対1、5対1で可能な体制にする。あらゆる手を尽くさないと、この国は必ず行き詰まる」 と 危機感 をあらわにする。
A氏 :この記事では、 8月下旬 、 ある老人ホームの施設の「ロボット導入フロア」で夜勤帯の働き方を見せてもらった内容を報じている。
入居者の定期巡回など、勤務中に移動する距離は15キロに及ぶが、電動二輪車の導入で、歩く距離は半分に減った。
待機スペースにも、近未来の雰囲気があり、モニター画面に「睡眠」「覚醒」「起き上がり」「離床」と、担当する入居者全員の状態が表示されており、呼吸や心拍、寝返りなどの体動を覚知するセンサーを組み込んだベッドからデータが送られてくる。
膀胱の大きさの変化を超音波で測定して、排尿のタイミングを予測する装着型の機器も効果を発揮 する。
この装置と電動二輪車の二つの機器を組み合わせれば、尿がたまってきて、かつ覚醒状態のタイミングでトイレに誘導でき、入居者の睡眠の質の改善に加え、失禁回数やオムツ、尿パッド費用の抑制 にもつなげられる。
これら業務の「カイゼン」と最新機器の積極活用で、「介護・看護職員1人当たりの入居者数」は2015年の1・86人が今や2・68人 で、 2人程度とされる全国平均を大きく上回るまでに効率化できた という。
一方で、テクノロジーに頼って介護を変える動きを懸念する声 もある。
例えば、入居者の呼吸の深さ、 歯ぎしり の強弱、おしっこのにおいから、その入居者に何が必要かを職員が予測 するが、 機械を導入すれば、この「感覚を 総動員 してお年寄りに関心を寄せ、ケアするという営み」が失われてしまうかもしれない 。
一方、 人にはどんなに関心を寄せていても他人にはわからない世界 があり、 その領域辺りに尊厳らしきものがあるかもしれないのに、 機械がすべてをデータ化し、それに基づく介護を始めた時、 もう相手を「モノ」のように支配する ことになるのではないかという。
私 : 「MIMOTE(ミモテ)」という、介護職の「気づき」をデータ化し、ケアの改善につなげようという スマホ のアプリ がある。
「食事」や「睡眠」、「他者との交流」など21の「気づき項目」を用意し、職員が入居者ごとに、各項目について「とても良い」から「とても悪い」まで5段階で評価し、仕事の合間に スマホ やタブレットで入力を重ねる。
介護する相手に関心を寄せるという感覚の養成にこのテクノロジーを活用し、新人を早期に一人前に育成しよう という。
「 MIMOTE」を開発し、内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室長代理も務める慶大教授の神成淳司 氏は 「新人には早期に一人前になってもらい、経験者には熟練度や経験値を評価するツールとして育てたい」といい、外国人の人材にも「データをもとに説明すればより納得してもらいやすいのでは」と期待する。
記事を書いた記者は「テクノロジーが『介護する人』と『される人』の双方を救うには、どう活用されるべきなのか。課題は「平成後」に引き継がれた」 という。
「カイゼン」といっても相手はものでなく、人格を持った人間だ からね。