2011.07.04
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2011-07-03_photo


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この春にTVや新聞等で大きな話題になったコーヒー相場の高騰ですが、さかもとこーひーでは去年契約した豆を使っていましたので、値上げをしていませんでした。そして、中米の新豆の手当がほぼ終わりになってきましたが、その仕入れ価格の高騰は、予想されたとはいえ、大変に大きなものでした。

その豆を使い始める8月中旬から…本当に心苦しいのですが…「ほのぼのこーひー」の…「アトムの子」…「カフェヴィータ」…「カフェコージー」…「アイスコーヒー」を…1400円/500g、790円/250gから…1575円/500g、945円/250gに…変えさせて頂きます。さかもとこーひーのベースになる「ほのぼのこーひー」ですが…あまりの相場高騰で価格を維持できなくなりました、よろしくご了承ください。

また、さかもとこーひーとしては「日常の暮らしの中のこーひー」を大切にしていますので…ご注文全体の60-70%を占める「セット」の価格と、「3000円以上・送料無料」の、2つは堅持いたします、ご安心ください。(こーひー個々の価格アップはさけられませんが…「セット価格」は上げません。)

しかし…「送料無料と代金引換手数料無料」のコストの負担が大きくなりすぎましたので…ご不便おかけしますが…お支払いは…「コンビニ、郵便振替払い(手数料無料)」…を、標準にさせて頂きます。(8月中旬以降に予定しています。)

手数料分を高騰している生豆の仕入れにまわし、より際立つ魅力、クオリティの生豆を仕入れていきたい思います。よろしく、ご理解をお願いします。

「代金引換払い」は…「4200円(豆代)以上、代金引換手数料・無料」…「4200円(豆代)未満、代金引換手数料・210円」になります。

「代金引換払い」をご希望の方は…「連絡欄」に…「代引き払い」とお申し付けください。ご記入の無い場合は「コンビニ、郵便振替払い(手数料無料)」でお届けいたします。(8月中旬以降に予定しています。)

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記録的に早い入梅から、まだ7月になったばかりなのに、夕立や落雷はあるし、晴れたら8月のような空ですし、節電の夏なのに…困ったものです。僕は、あいかわらずサンプルのカッピングの追い込みだったり…新しい焙煎機の見積もりとったり…先日も、プロバットの1kg焙煎機で遊んできました。

さて、 「焙煎のレシピ&方程式・3」です。今書いているのは、スペシャルティコーヒーの焙煎についてです。コモデティ、プレミアムコーヒーの焙煎とは共通する部分としない部分とがあると思います。同時に、サンプルローストと本焙煎とでも共通する部分としない部分があると思います。当たり前ですが、目的が違いますから…。

コモデティ、プレミアムコーヒーの焙煎は、昭和の自家焙煎でかなり成熟していると思います。ただ、素材が違いますので、それらのコーヒーの目指すものと、スペシャルティコーヒーの目指すものは同じ方向を向いていないと思ってます。昭和の自家焙煎の手法そのままでは、スペシャルティコーヒーの焙煎に適用できないと思います。

僕自身の焙煎の考え方は、プレミアムコーヒーを焙煎していたときから大きく変えていませんが…それでも、スペシャルティコーヒーのポテンシャルを生かす為に、この10年細かいところでかなりバージョンアップしています。

さかもとこーひーの目指すスペシャルティコーヒーの魅力は…素材の持つ香りと酸と甘味のバランスを如何に取って、心地よく惹き付けられる余韻にするかにあります。その為の、焙煎の方程式であり、レシピになります。ポイントは…「理論は現実に従う。」です。

繰り返しますが…「焙煎は乾熱調理」これが、一番のベースになっています。そこから、乾熱調理によって、最適な時間に最適なカロリーを与え…生豆のもっている成分を、効果的に発達させたいわけです。

効果的に発達するというのは…「美味しい」と感じるようにです。まぁ、美味しいといっても、人それぞれですからとっても悩ましいのですが…だから「美味しいってどういうこと?」をテーマにして、19才から37年も追い続けているしまっているんですけどね…。(なので、不特定多数向けの美味しさは追い求めず…さかもとこーひーの常連さん向けの美味しさを追いかけているわけです。それが、美味しさのひとつの答えです。)

逆に言うと、求めている味わいと香りになるように、成分を発達させるためには、どこからどこの部分で、どのようなカロリーを与えれば良いのか?これを、温度毎の時間を記録し、ある温度からある温度までの時間によって検証できると考えています。短時間焙煎とか長時間焙煎とかは全く考えていません。それらは結果であって、手段でないと思っているからです。

で、ボトムの温度、水分抜き工程の基準温度と時間、ロースティング工程の基準温度と時間が決まって基準にしていました。それを目安に何人かの焙煎をアドバイスしたら…焙煎機が違うのに…僕が長年使っている基準そのままに通用してしまい、それが、レシピに通じることとなったのです。

色々と多くの人の焙煎を見たり聞いたりしていますが…違いを感じるのは…「火力」と「熱量」の違いだと思ってます。ある温度からある温度まで上昇するのに最適な熱量が欲しいのですが…それを時間で測っています。例えば、焙煎のスタートから測るのが効果的で再現性があるのか?…ボトムポイントから測るのが良いのか?…もっと別の温度から測るのが良いのか?…そういった考え方にまだ出会っていません。

それで、実際に、何人かの人の焙煎の基準を作り、その後も豆と焙煎表を送ってもらい、カッピングし、アドバイスをする、この繰り返しをしていますが…最初にすることはボトムポイントを探し、投入温度と火力を探し、排気のバランスを取り、後は、水分抜き工程とロースティング工程をレシピ通りに進行する火力のコントロールをし、ロースティングポイントの違いを色々と体験します。そうすると…0.1分、0.2分の違い…1℃2℃の違い…で、目を見張るような仕上がりになることが多いのです。

(水分抜きというと…どの位水分を抜くのかとか…実は、ハゼてからが一番水分量が減少しているとか…道に迷っている話しを聞きますが…正確に言うと、ロースティング工程乾熱調理に移行するタイミングに、最適な水分の抜け具合で移行したいということです。水分を抜いて乾燥させてしまうわけでは無いのです。水分が抜けた量を測ったりするよりも、カッピングから逆算した方が確実に美味しくなると思ってます。さかもとこーひーでは、165-170℃の間に水分抜けのタイミングになり、ロースティング工程に移行するようにしています。165-170℃の間に水分抜けになるような進行を見つけ基準にしたわけです。「理論は現実に従う。」です。)

豆によって、ロースティング工程の基準温度に違いがありますので、それを決めます。これらは、全てカッピングして決めて行きます。カッピングすれば、0.1分0.2分のズレ、1℃2℃のズレが分かります。このカッピングは、素材を見極めるカッピングとは別物ですね。

あとは、ベストパフォーマンスのデータ化&再現をすすめ…ブレのコントロールの為に中心と範囲を決め…データとカッピングの仮説検証で、自分の物差しを日々バージョンアップする繰り返しを続けます。

要は…まず、問題解決の方程式があり…そこから基本となるレシピや基準があり…そこまでは、基本で…誰でも基本を身につければ、一定のレベルまでは到達できるってことですね。そこから先は…プロの愉しみで…数字に表せない感覚の世界が待っているんだと思います。素材のスペックを見極め、キャラクターを生かし、お客様のお好みを考え、ときめくようなイメージができたら…ロースティングポイントを微調整します。

結論は…レシピや方程式が確立されないままに、何年焙煎しても再現性が無く、仮説検証も出来きず、技術の向上は望めないってことです。その為には、データとカッピングの繰り返しをするのが良いのですが…データが適正、効果的なもので無いと意味が無いですから、なかなか難しいです。

これは、サンプルローストとは違い、商品を焙煎するわけですから、バイヤーやカッピングの指導者の方々に頼るわけにはいきません。なぜなら、スペシャルティコーヒーはカスタマーオリエンテッドですから、自分のカスタマー(コンシューマー消費者ではない。)顧客がいないのに、顧客のための魅力作りはできません。

コモデティコーヒーならば、不特定多数の一般消費者向けの美味しさを目指せますが、スペシャルティコーヒーは際立つ美味しさですから、不特定多数のための美味しさには向かないのです。だからこそ、自店の常連さんと一緒にスペシャルティコーヒーの魅力を作っていく楽しみがあって、おおきなやりがいになると思います。

先日、NHKBSのたけしの番組に宮大工の小川三夫さんが出ていました。最後の宮大工と言われた西岡常一棟梁の唯一の内弟子となった方ですね。西岡棟梁の本も、小川棟梁の本も好きでだいたい読んでますが…そのたけしとの会話で…執念…って言ってました。宮大工の修行は、ひたすら研ぐことの繰り返しだそうです。仕事が終わってから、休みの日も、時間を作ってひたすら自分の鉋等を研ぐ。きちんと研げるようになると、自ずと腕も付いてくるそうです。好きな話しです。

そんなこんなで、今週56才になりましたので、これからの20年どのようなこーひーの新しい魅力をお届けできるか、楽しみです。こーひー人生の仕上げとして…ひたすら、焙煎して、カッピングしての繰り返しを続けるのでしょう。ちょっと、一般向けのお話しから大きく外れてしまいました、失礼しました。

震災をきっかけにして、Twitterはじめています。こーひーの話しをメインにぽつぽつやってます。
http://twitter.com/sakamotocoffee

「この味を知ることができて幸せです。」…お客様にそう言ってもらえるようなこーひーをお届けしたいと思っています。





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Last updated  2011.07.04 07:41:08
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