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塾、予備校の先生は、大きな声を出して授業をする先生と普段通りの声で授業を行う先生がいる。上江洲先生は、どちらかと言えば後者のタイプの先生である。
私は以前の塾で新人研修する際、原則「大きな声で」授業を行うように研修をしていた。理由は、多くの若い先生にとってその方が安全だからである。とりわけ小中学生対象の塾であるならば尚更である。大きな声で授業を行う方が活気が出るし、少なくとも「声が聞こえない」というクレームがくることはない。また、自信がありそうにも見える(笑)
一方、普段通りの声で行う先生もいる。私もそちらのタイプ。これは小さな声というのではない。普段通りの声である。
但し、普段通りの声で授業を成立させるためには条件が3つある(と思う)。1つはその先生の声がよく通る声であること。2つめは、生徒の側に「聞く力」(聞く意欲+聞き取れる学力)があること。3つめは講師側に教室をコントロールできる技術があること。この条件が揃えば、私はむしろ後者の方が良いと考えている。
だが、大手塾において、この3条件が揃うことは大変難しく、したがって若い先生方は大きな声で授業を行うのが一番安全ではある。多くの大手塾でそのような研修が行われている背景にはそうした事情があるのではなかろうか。
私が普段通りの声で授業を行っている理由はいくつかある。一番の理由は、大声で怒鳴っていると、声を出す方にばかり気を取られ、私自身の頭が働かないということがある(笑)。レベルの高い問題を解いている時は、高校受験とは言え、ちょっとした知的作業が必要とされる。授業中、順を追って論理的に説明している際、大声で話していると何を話しているのか自分自身で分からなくなってしまうのだ。
他にも理由はある。講師が普段の声で授業を行うことが最も自然な状態であると考えているからだ。この状態が、生徒の頭を最も働かせることができ、知的好奇心をも喚起でき、さらに入試会場で問題を解く時に最も近い環境を作り出すことができると考えている。
多くの大手塾で行われているパフォーマンス型の授業は、普段子供達が勉強する環境と比べると、あまりにも異空間。「塾だとやる気になるのだけれど、家だとサッパリ・・・」という受験生は多いが、これは塾の空間があまりにも日常空間とかけ離れていることも関係している。
こうした事情もあり、私は普段通りの声で授業を行う派である。
上江洲先生特別講義13(最終回) 2013/11/17
上江洲先生特別講義12 2013/11/17
上江洲先生特別講義11 2013/11/17