よんきゅ部屋

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Jan 21, 2007
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最近、子供が気に入っているのがこの中にある「剣の舞」と「レズギンカ」。どちらも急速な舞曲で、打楽器がたくさん登場する。うちの子供たちにとっては「おかたづけミュージック」で、妻に「2人とも、かたづけなさい!」という声がかかると、「パパー、おかたづけのミュージックかけてぇ~!」と私のところへやってくる。一度私がいないときに妻がかけたら子供たちは片づけ始めなかったらしく、私じゃないとダメなのだそうだ。片づけの間は「剣の舞」で片づけが終わったら「レズギンカ」をいつもかけている。それが終わったら「さて、寝るかあ」などと言っている。

なお、これはバレエ音楽なのだが、演奏したことのある曲だけをここでは取り上げることにする。

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ハチャトゥリアン(1903-1975)は、アルメニア人として現在のグルジア共和国のトビリシ)で生まれ、20世紀のソビエトにおいて活動した代表的な作曲家である。

ハチャトゥリアンが少年時代を過ごしたグルジアや、彼のルーツであるアルメニアは、ロシアやイラン、トルコなどさまざまな文化圏の交差する場所であり、雑多な民族から構成されていて、彼はさまざまな民族音楽に触れられる環境の中で作曲家としての才能を開花させていった。

ハチャトゥリアンは、音楽の創作は民族的香り、民族的色彩を持たなければならないという考えを強く持ち、民族音楽をベースに自分の作曲手法を発展させていった。このような姿勢はバルトークと共通しているところである。ハチャトゥリアンは自身の論説の中で「バルトークの作品がとても好きである」と書き、また「バルトークの音楽には民族の魂が息づいている。彼の作品は・・・(中略)ハンガリーのみならず、他の中央ヨーロッパ諸民族も含めた民族的音楽芸術の味わいにあふれている」と評している。

ハチャトゥリアンの曲の特徴に、オーケストレーション(楽器の組み合わせ方)があげられる。その譜面から引き出される音は、「鮮やか」「派手」「濃厚」なものにあふれているように思われる。

バレエ「ガイーヌ」(これはフランス語の読み方でバレエの伝統に従ったものなのだが、ロシア語では「ガヤネー」という)は、もともとアルメニアの村の生活を題材とした「幸福」というバレエとして初演されたものの中にあった多くの題材を使って創作し直されたもので、1942年に初演された。

バレエ「ガイーヌ」が全曲上演される機会が日本ではほとんどないため、そのあらすじ(ソビエトの集団農場で働く主人公ガイーヌが人々に対して非道な夫の姿を告発し、その後の苦悩を乗り越え、最後に新しい恋人を見出し幸福になる)を知る人は相当少ないと思われるが、収録されている曲は独立して演奏会のプログラムに取り上げられることも多い。

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「剣の舞」

「ガイーヌ」というバレエは知らなくても、この曲を聴いたことのある人は多いだろう。また、これほど有名なのに、バレエの中の1曲だということがまたこれほど知られていない曲も珍しい。この曲には、初演の前日に「剣を持って舞うのにふさわしい曲のリズム」のアイデアに煮詰まってしまったハチャトゥリアンが、あれこれ机を叩きながら一晩で完成させたというエピソードが残されている(とにかく激しいリズムが欲しかったようで、この曲に一貫しているキレのよい、はつらつとしたリズムからは、ハチャトゥリアンが苦労した後の充実した姿が想像される)。また、ハチャトゥリアンは民族楽器の雰囲気をオーケストラの楽器で出そうといろいろ工夫したそうだが、中間部でサキソフォーンとチェロが一緒に奏でる旋律は、その一つであるように思われる。

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「バラの乙女たちの踊り」
この曲は、バレエの最終幕、祝典の場面で演奏されるもので、バラの飾りをかざして舞う踊りにつけられたものである。全体的に華やかで優雅な雰囲気を持っており、特に短い序奏の後で木管楽器が奏でる旋律の上で、跳ねるようなコルネットの動きが新鮮な輝きを放っているように聴こえる。

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「子守歌」

 この曲は、バレエでは主人公ガイーヌが自分の幼子に子守歌を聴かせるという場面で演奏される。切なくまた優しさを感じさせる何ともいえない味を出す冒頭のオーボエの旋律に誘い出されるように子守歌の旋律が始まる(これはアルメニア民謡の典型だと言われている)。子供を寝かしつけながら物思いにふけっていてガイーヌの気持ちが高ぶってくる様子を表す中間部では、少し激しさを持った調子に変わり、東洋的(あるいはアラビア的)な要素が加えられる。この旋律は、人種の交差するところに生まれ育ったハチャトゥリアンだからこそ書けたのかもしれない、独特の魅力を持っている。

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「レズギンカ」

 この曲は、コーカサス地方に住むレズギン人の雄々しく情熱的な民族舞踊を表しており、曲の最初から最後まで勢いが止まらない、誰にも止められないようなエネルギーを感じるような曲である。最初は木管楽器の軽やかで明るいテーマで始まり、その後でホルンとトランペットが線の太い音で高らかに旋律をうたう。次に中間部では少し東洋的な雰囲気が顔を出し、そして再度冒頭のテーマが繰り返されエネルギーをさらに増して曲を閉じる。この曲の打楽器のリズムは本当に面白い。太鼓の細かいリズムや意図的にずらされたアクセントといったものが、なかなかいい味を出している。

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これらは演奏していてやはり気分的にかなり盛り上がったという記憶がある。ぜひ子供たちにこの曲をライブで聴かせてみたいと思う。どうやら、我が家ではこれが「お片付けミュージック」としての不動の地位を築いたようである。





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Last updated  Jan 21, 2007 10:36:13 PM
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