2005.12.22
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カテゴリ: アセンション


昨日、K君の抱っこに行ってきました。

バスを乗り間違えてしまい、少し遅れて部屋に着くと、もうすでにK君はひと泣きして遊んでいました。電車が好きなK君はのりものの絵本をいっぱい出して、夢中で読んでいました。「やまてしぇん」「しんかんしぇん」と、電車を指しながらご満悦。

そんなK君の横でママが、このセッションまでのK君の様子を話しだします。

「最近、本当に驚く程、言葉が増えたんです。電車の名前なんて、私が教えた憶えのないものまで、言ったりして。でも、やっぱり療育センターでは、先生の指示することができなかったり、話しかけても、全然関係のないことを言ったり…」

「例えば、K君を抱っこしてる時に、Dちゃん(K君の1歳の弟)がKを押しのけて私の膝に乗っかって来ても、すごく悲しそうな顔をしてるのにじっと我慢して、それに耐え切れなくなると、どっかに隠れちゃったり。」「Dにオモチャを取られても、何も言えなくてあきらめちゃったり。」「そんな時、私、すごくイライラしちゃって、「いやだったら、いや!って言いなさい」って、きつく責めちゃったんです。」

「そうですよね。気持ちを抑えて我慢してるK君を見てるのが、つらいよね。」と遊子さん。

「はい。私が、ガンガン怒ってるのに、「空、青い」とかぜんぜん関係ないことを言って、逸らすから…」

「K君は平和主義者なんだね。ケンかするのが嫌なんだね。」

「でも、やっぱり、たまには普通の兄弟みたいに、取り合いをしたりして欲しいんです。」

「うん。そうだよね。ところでK君は、赤ちゃんの時によく泣きましたか?」

「そう言えば、よく泣いていたと思います。でも、赤ちゃんだからこんな風に泣くものかな?と思って、特に気にしていなくて、そのまま寝かせていました。」

「そうですか。もしかしたら”僕が要求してもそれは、叶えられない”と思っちゃって、あきらめる癖が着いちゃったのかもしれませんね。」

「あぁ、そうかもしれない。」

「でも、それだけじゃなくて、K君は新しい事、人、状況をすごく怖がるでしょ?」

「はい。初めて通る道でも歩こうとしないで、私の手にぶら下がったままなんです。」

そんな大人達の話をよそに、遊び続けるK君。自分の事を言われてるのは、充分承知なはずなのに。

「さあ、K君。そろそろ抱っこして、お話しようよ!」と声を掛けながら、私はK君を抱きとりました。「K君はDちゃんがK君を押して、ママに抱っこされても我慢してるんだって?いいお兄ちゃんだね。」「ママに「嫌だって言いなさい!」って、叱られちゃったんだ!?」「でも、ママは我慢しなくてもいいよって言ってくれてるよ。」などど話しかけるうちに、K君は体を突っ張って激しく泣き出しました。

抱っこから逃れようと、のけ反り、手足を突っ張り、必死に抵抗するK君。

「ママは本当はK君が、何でも解ってる事、ちゃんと知ってるんだって。」話が確信に触れた瞬間です。より激しく泣き出しました。

ママは、K君が話しかけられてる内容もきちんと理解してるし、K君自身がそれに答えようと必死なのも知っています。でも、どうしてもKくんはそれを表現できないのです。そのジレンマに誰よりも苦しんでいるのは、K君本人なんです。ママの苛立ちと、K君の苦しみ。

「本当にKは何でも解っているんだよね。それが、すごく伝わってくるんです。解ってるんだったら、答えてよって…」ママは、言葉を詰まらせました。

「ママが話掛けても、「空、青い」とか関係ない言葉を言うのは、自分の思う通りの言葉が出ないからなんだと思いますよ。人間をコンピューターに例えると、”りんご”って文字を入力するとしますね。すると、ちゃんと”りんご”という文字を認識して、”りんご”という音で出力しなければいけないというのまで解読してるんだけども、それがなぜだか、”みかん”になってしまうんですよ。本人もそれをすべて知っていて、できないというジレンマを抱えているんです。先生に「○○しましょう。次は○○だよ。」と言われると、パニックになっちゃったり、言うことが聞けないのも、やりたくてもできないというのを知っているからなんです。」

「でも、これからK君もみんなと一緒になにかやるとか、頼まれたことをできるようにしていかなきゃね。これだけ言葉が出るんだもの。使わなきゃもったいないですよね。」

一時間位すると、溜まっていたものをうまく出せたK君もようやく落ち着いて、自然に私の手から離れて行き、ママの後ろにぺタッとくっ付き、ママの髪を触ったりして甘え出しました。

セッションの中で、ママが、自閉症の子の詩を読んで泣いてしまったと言いました。こういう子供でしか感じられない、まじりっけの無い美しさに感動したと。

それに感動したママが、K君の扉をそっと叩いてあげれば、私はきっと、K君も向こうから顔を覘かせてくれるだろうと確信しています。

K君との出会い~その1~

K君との出会い~その2~

K君を抱っこする~その1~

K君を抱っこする~その2~



十二歳の少年が書く自閉の世界

勇気はおいしいはず

勇気はおいしいはず

みんなの知らない海の音

みんなの知らない海の音

この地球にすんでいる僕の仲間たちへ

この地球にすんでいる僕の仲間たちへ

しゃち虎おススメ!!

著者東田直樹くんの執筆風景等を約16分の映像で紹介しているDVD付き。
























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最終更新日  2005.12.23 01:31:49
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