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「ウクライナ」戦争開始以降の主な記事(PDF版) 遠藤誉の著書『習近平が起こす地殻変動 「米一極」から「多極化」へ』を入手しました。(私自身、日本の今後進むべき方向等について、この著者と見解を異にする部分はいくつかありますが、明確な事実を根拠として現状分析をしているという点では、読むべき価値が大いにあると考えています。) 上記書籍で注目できるのは、第二のCIAといわれるNED(全米民主主義基金)のホームページを当たり、多くのファクトを拾い上げてつくられたリストです。遠藤は驚いたと述べていますが、「世界の紛争のほとんどは1983年まではCIAが創り上げていて、1983年にNEDが創設されてからはNEDが創り上げていること」がわかったということです。 世界のどこかに内紛があると、必ずそこに潜り込んで既存の政府を転覆させ、親米政権を樹立させるということをくり返してきたことが、リストから歴然としてくる。NED=「第二のCIA」が「ウクライナ戦争の原因」をつくり「台湾有事」という「神話」を創りあげている、というわけです。 〔ところで、ウクライナ戦争は、開戦から一か月経たないうちにトルコの仲介で停戦が実現しそうだったのですが、頓挫したのちにトルコの外相は以下のように述べました。「いくつかのNATOメンバー国は、戦争が長引くことを望んでおり、戦争を長引かせることによってロシアを弱体化させようとしている」と。いくつかの国の中心が米国であることは明らかでしょう。:補足〕 世界各地で紛争をあおる「謀略」・「暗躍」の証拠をわざわざ残すのか、という疑問は当然わいてきますが、NEDは非政府組織を装いながらも現実には米国の国家予算で運営されているため、お金のどのような活動に使ったのか(少なくとも一時的には)公開しなければならないわけです。だからこそ、2014年に「ウクライナの親ロ政権」(軍事的には中立政策をとっていた)を崩壊させた「ユーロマイダンクーデタ」に米国が関与していたことをオバマもバイデンも認めたのでしょう。 しかしながら、なぜ米国はこのように戦争や紛争をあおり続けるのでしょうか。池上彰が特番(「なぜ世界から戦争がなくならないのか」)で示した以下の資料(一部)からも明らかでしょう。それにしても、自国の軍需産業を潤すために世界各地で戦争や紛争をあおり続けるようなことが許されることなのか。日本政府が’(ベトナム戦争やイラク戦争を全面的に支持するなど)米国の政策に追随することは極めて犯罪的であると考えるものです。〔米国が引き起こした戦争や紛争の犠牲者数についても遠藤誉は資料に基づいて試算していますが、それが正しければ第一次世界大戦の犠牲者数を超えています!〕沖縄と連帯するとっとりの会 にほんブログ村 ← よろしければ一押しお願いします。一日一回が有効教育育問題に関する特集も含めてHPしょうのページに(yahoo geocitiesの終了に伴ってHPのアドレスを変更しています。)「しょう」のブログ(2) もよろしくお願いします。生活指導の歩みと吉田和子に学ぶ、『綴方教師の誕生』から・・・ (生活指導と学校の力 、教育をつくりかえる道すじ 教育評価1 など
2023.07.23
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以前、欧州議会におけるクレア・デイリーの発言を紹介しましたが、彼女は孤立を恐れることなく欧州議会で勇気ある発言を継続しているようです。久々に動画を確認して、その素晴らしさを再確認しました。 いずれも簡潔に本質を突いた発言です。ぜひ、ご視聴ください。 欧米諸国は自分たちがやってきたことを棚に上げるのではなく、一度でいいから平和を生み出し戦争を止めるべき! ウクライナは戦争という闇商売のいいカモにされている!にほんブログ村 ← よろしければ一押しお願いします教育問題に関する特集も含めてHPしょうのページに(yahoo geocitiesの終了に伴ってHPのアドレスを変更しています。)「しょう」のブログ(2) もよろしくお願いします。生活指導の歩みと吉田和子に学ぶ、『綴方教師の誕生』から・・・ (生活指導と学校の力 、教育をつくりかえる道すじ 教育評価1 など
2023.03.04
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ブリンケン米国務長官が「中国がロシアに武器提供を検討している」と発言した背景・理由について遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授)が発信しています。「(そのような発言は)ゼレンスキーが中国を警戒する原因となり得るからだ」というのが結論ですが、「アメリカは常に停戦させない方向に動いてきた、」という開戦以来の流れ・事実を列挙し、明確な論拠を示しています。 以下、ポイントのみ紹介しますが、ぜひ遠藤誉自身の論考をご一読ください。◆ゼレンスキー大統領、初めて中国に警告・もともと中国とウクライナは非常に仲が良く、プーチンがウクライナ侵攻を始める寸前まで、緊密な関係を維持していた。ウクライナ戦争が始まってからも、中国の立場(軍事的には侵攻に賛同しない)を「中立」とみなして、ゼレンスキー大統領は中国を高く評価する傾向にあった。・今年2月18日、ドイツのミュンヘンで安全保障会議が開催される中、アメリカのブリンケン国務長官が「中国はロシアに武器の提供を検討している」と発言し、大きな問題になった。 中国はすぐさま否定。「武器の提供という意味では、アメリカほど戦場に武器を提供している国はなく、そのようなことを言う資格はない」と強く反発。Q なぜブリンケンがこのような発言をしたのか?A ミュンヘン会議後のゼレンスキーの言葉から推測できる。・「もし、中国がロシアと同盟を結ぶならば、第三次世界大戦が起こるだろう。中国はそれを分かっているはずだ。」(もっとも、ロシアに対する中国の軍事援助の兆候は見られないが。) ゼレンスキーが中国に「警告を発する」類の発言をしたことは初めてのこと。 ブリンケンは何を言えば、ゼレンスキーが中国を最も嫌うかを心得ていたのだ。武器を中国がロシアに提供しているとなれば、王毅がミュンヘン会議で伝える「習近平の提唱する和平論」には絶対乗らないだろう。ブリンケンの発言は、習近平の唱える「和平論」にゼレンスキーが乗らないようにするためだったにちがいない。◆アメリカは停戦になりそうになると、必ずそれを阻止してきたQ なぜそのような推論が成り立つか?A ウクライナ戦争を通して、アメリカが如何に「停戦」をさせないように動いてきたかを見れば一目瞭然。時系列的な図表を作成してみた。 「停戦」に関する米中ウ(米国・中国・ウクライナ)の言動。赤色で示したのは、アメリカが「停戦させまいとして動いた言動」を指している。遠藤誉 作成 2022年2月24日にプーチンによるウクライナ侵攻が始まると、その翌日の25日に習近平はプーチンに電話し、「話し合いによる解決」を呼びかけた(No.1)。 プーチンがそれに応じようとすると、アメリカのプライス報道官が「停戦交渉のオファーなど無意味だ」として、ゼレンスキーに「騙されるな」と警告(No.2)。 それでもベラルーシ国境付近で第一回の和平交渉が始まり(No.3)、少しずつ進み、3月10日から舞台はトルコに移っていったが(No.7)、3月17日にブリンケンが「中国がロシアに軍・装備品の支援を検討している」と大々的に言い始めた(No.9)。「停戦だけはさせたくない」と思ったからではないか。その証拠に、2022年4月20日にトルコの外相が「いくつかのNATO加盟国が、戦争が続くことを望んでいる」と発言した。(No.13) 基本的にゼレンスキーは中国に対して好意的で、中国に警告を発するようなことをしたことがない。ところが、王毅が、「和平案」をウクライナ戦争1周年に合わせて中国(習近平)が発表すると言った瞬間、ブリンケンは又もや「中国がロシアを軍事的に支援しようとしている」と発言した。(No.22) 両者に共通するのは、「停戦が進みそうだ(進むかもしれない)」というタイミングである。ということは、アメリカは「停戦させたくない」と思っていることの論拠になり得る。 現時点では誰もプーチンの狂気を是正させることはできない。ならば、せめて、ウクライナへの果てしない武器支援が、結果的に侵略を激化させ、ウクライナの庶民の命を奪っていくことにも目を向け、停戦に向かわせていく努力をするしかないのではないか。 そうでなければ、日本は台湾問題により第二のウクライナとなり、アメリカの餌食になっていく。 絶対に戦争をやめさせようとしないアメリカは正しいのか!?〔comment〕 そもそも米国大統領に、このたびのウクライナ侵攻を未然に防ぐ意思があったのか?「ロシアがウクライナの国境周辺で軍を増強させ緊張が高まる中、アメリカのジョー・バイデン大統領は(2021年12月)8日、ロシアが侵攻した場合に米軍をウクライナに派遣することは検討していないと述べた」事実、(バイデンは前日7日、プーチン大統領とビデオ会談したが、一貫してNATO 不拡大に関するロシアとの対話には一切応じなかったという事実)などから判断しても、本気で侵攻を防ごうとしなかったことは明らかだと私も考えています。 そして、中国(習近平)との電話会談やトルコの仲介で「ウクライナ中立化」、「ロシア軍撤退」という線で停戦が実現しかけた矢先に、「ウクライナへの戦車提供を検討する」とバイデン大統領が表明したことについては、強い憤りを覚えたものです。遠藤誉がまとめたように、米国が一貫して長期戦をあおっていることは明らかでしょう。ロシアによる侵略を「成功」に終わらせてはならない。これは言うまでもありませんが、他方、米国による代理戦争が「成功」してさらに長期化すれば、何が起こるでしょうか。(ウクライナ人に戦わせ、米国兵士は一兵も失うことなく米国軍需産業・シェールガスの業界が莫大な利益をあげている)。米国が中国を挑発し、「台湾有事」の「代理戦争」に台湾と日本を巻き込む可能性は、遠藤誉や私の杞憂ではないと考えるのですが・・・。にほんブログ村 ← よろしければ一押しお願いします教育問題に関する特集も含めてHPしょうのページに(yahoo geocitiesの終了に伴ってHPのアドレスを変更しています。)「しょう」のブログ(2) もよろしくお願いします。生活指導の歩みと吉田和子に学ぶ、『綴方教師の誕生』から・・・ (生活指導と学校の力 、教育をつくりかえる道すじ 教育評価1 など)
2023.02.24
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ウクライナ猛反撃後も見えぬ出口戦略 停戦しても残る「非承認国家・地域問題」 「AERA」作成した記事(「ウクライナ史・ロシア史の専門家で、東京大学法学部の松里公孝」及び軍事評論家の前田哲男へのインタビューに基づいた記事)。私自身は、湾岸・イラク戦争と同様、ひたすら「米英」中心にみえるウクライナ戦争報道に疑問を感じてきましたが、このたびの記事は比較的公正なものとして読めました。内容を紹介します。〔要約・紹介〕 ウクライナ史・ロシア史の専門家で、東京大学法学部の松里公孝教授がこう指摘する。・プーチン氏が当初狙ったのは、レジームチェンジ戦争。ゼレンスキー政権を屈服させるか転覆して、クリミアとドンバスの現状を認める傀儡政権にすることだった。・しかし、ウクライナの抵抗に遭って失敗すると、ドンバスの防衛に集中すると言いながら、実際には領土拡大戦争を始めた。飛び地のクリミアを陸上でつなぐ回廊を確保するために、ザポリージャ州、ヘルソン州まで併合。現代の国際法は、場合によっては分離を認めるが、領土併合は認めない」・ロシアが10月に併合したドンバス2州は、2014年に急進派が「ドネツク人民共和国」「ルガンスク人民共和国」樹立を宣言⇒ウクライナとの内戦を経て実効支配地域を確保。・ロシアは08年、武力紛争の末にセルビアから独立したコソボの例を挙げ、分離紛争への介入を正当化してきた。・コソボ独立は国際司法裁判所(ICJ)が合法とする判例があり、ドンバスの分離政体の主張は議論の余地がある。14年のクリミア併合も現地で強まった分離運動と協力して達成したもの。しかし、ザポリージャ州、ヘルソン州併合はいかにしても正当化できない。(ドンバスの)分離紛争に発展したのは、13年に始まった「ユーロマイダン革命」の影響が大きい。ウクライナとEUの連合協定調印を、当時のヤヌコビッチ大統領が取りやめたことに端を発する。革命派(マイダン派)は激しい抗議活動を行い、暴力事件が多発。翌14年、キーウの独立広場周辺で、狙撃によって数十人が犠牲になる虐殺事件が発生。ヤヌコビッチ氏はロシアに亡命。 オデーサでは労働組合会館前で座り込みをしていた反マイダン派をマイダン派群衆が襲撃。火炎瓶で40人以上が焼死した。マイダン派が特徴的だったのは、事件の凄惨な光景を撮影・録画して盛んにSNSで公開していたことだ。松里氏が説明する。「映像を見たクリミア、ドンバスの住民の多くはロシアに移るという3月の住民投票での自分たちの選択の正しさを確信し、ドンバス住民たちもロシア移行論がますます強くなった。親欧米か親ロかではなく、革命暴力からいかに逃げるかが最大の関心事になった」 ロシアはクリミアを併合したが、当初、ドンバスはウクライナに復帰させるつもりだったという。だが、ドンバスでは内戦が起き、暴力がさらに拡大。15年2月に調印されたミンスク合意では、ウクライナ国内でドンバスに特別な地位を与える恒久法が採択された。 19年12月、パリでプーチン氏とゼレンスキー氏は初めて顔を合わせた。ゼレンスキー氏がミンスク合意を履行する意思がないことを伝えると、プーチン氏は激怒。平和的解決を放棄することにつながったという。 開戦から9カ月。双方の死者数が増える中、泥沼化を回避して停戦する道はないのか。ゼレンスキー氏は15日のG20サミットにオンラインで参加し、「ロシアはすべての軍隊と武装勢力を撤退させなければならない」と訴えた。だが、松里氏は前述のような経緯から、クリミアとドンバスをウクライナに戻すのは無理ではないかという。■過去にもあった「核クライシス」「たとえドンバスがウクライナ側に戻っても爆弾を抱え込むようなもの。ドンバス住民のほうの人権状況も悪化する。国際法と住民の幸せが一致しない。新しい国境を双方が承認することが大切だが、難しい課題だ」 結局、14年以降8年間のクリミアやドンバスのように「非承認国家・地域問題」は残る。「私は、少なくとも国際社会が非承認国家・地域住民の人権を無視するのはやめてほしい。彼らは戦争捕虜が拷問死しても国際法廷に訴え出られない。・・・学生は留学の権利がないし、子どもが難病になっても海外で治療を受けさせることができない」(松里氏) たとえ停戦が成立しても、問題は続く。 もう一つ懸念されるのは、通常兵器で苦戦するロシアが「戦術核」のカードを切ること。 軍事評論家の前田哲男氏は、戦争の歴史から得た教訓として「武器の3原則」を唱える。(1)つくられた兵器は使われる兵器である(2)負けそうになった側はあらゆる兵器を使う(3)一度使うと止めどもなく使ってしまう──。 実際、“核クライシス”は何度か起きかけている。前田氏が説明する。 「記録を遡(さかのぼ)ると、米国の現地軍の司令官は核の使用を何度も進言している。典型的なのは朝鮮戦争で、核の使用を主張して解任されたマッカーサー。その後、ベトナム戦争・・・湾岸戦争でも核使用の進言があったが、そのたびホワイトハウスは却下。今回のウクライナ事態でクレムリンはどう判断するか。いま各国の指導者たちは心もとない」にほんブログ村 ← よろしければ一押しお願いします教育問題に関する特集も含めてHPしょうのページに(yahoo geocitiesの終了に伴ってHPのアドレスを変更しています。)「しょう」のブログ(2) もよろしくお願いします。生活指導の歩みと吉田和子に学ぶ、『綴方教師の誕生』から・・・ (生活指導と学校の力 、教育をつくりかえる道すじ 教育評価1 など)
2022.11.25
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「ウクライナ戦争が及ぼす国際秩序への影響と変化」というテーマで開催された国際会議(-ドイツとタイの二つの有力大学法学部が共同主催し、ドイツ外務省がスポンサー)における伊勢崎賢治の発言(本人がIWJに投稿した文章)を要約・紹介します。〔要約開始〕 ASEAN諸国の多くがロシアへの経済制裁に参加しておらず、そのギャップを何とかしたいというドイツ政府側の政治的意図が感じ取れる始まりだったが、最後にはその「対立」が一層明確に浮き彫りになった。 きっかけは、第一日目の後半にドイツ法学の"権威中の権威"と紹介された二人の学者に反論した僕(伊勢崎)の発言だったようだ。 この両法学者の主張を要約すると: ウクライナ戦争は国際法に対して"前例のない"決定的なダメージを及ぼした。それは、ロシアによる非力な国ウクライナに対する先制攻撃という、国連憲章第7章第51条で保障されている自衛権という概念への破壊行為である。 プーチンの言うウクライナ東部のロシア系住民へのジェノサイドは全く根拠がない。これは単純にロシアによる自衛権の壊滅的解釈の問題である。 今、ロシアの蛮行を止めるには、経済制裁をさらに尖鋭化させ継続することが必要である。経済制裁の法的正当性の問題より、ウクライナへの人道被害が大問題だ。 僕のコメントはつぎのとおり: 政治家ならともかく、法学の徒として問題にするべきは先制攻撃云々よりも、「集団的自衛権」である。一方的とはいえ民族自決を建前にしている限り、今回のロシアの武力侵攻を、イスラエルがパレスチナ住民にしているような武力による単純な土地収奪とするのは間違いだ。同じ侵略行為でも、戦端を切る法的な建て付けの問題を見ない限り、現行の国際法の根本的な瑕疵に対する学術的な議論にならない。 ロシアによる先制攻撃を問題にするなら、大量破壊兵器の所在を偽装してまでイラクへの侵攻を正当化した2003年のアメリカの行いと相対化されるべきである。一般市民20万人を犠牲にしたイラク戦争との比較・相対化を避ける法学的議論には、明確な政治的恣意が感じられる。 ロシア系住民へのジェノサイドはなかったと、この時点で言い切るのは反法学的発言だ。今年3月16日にウクライナの提訴を受けて国際司法裁判所が出した措置命令は、ロシアによるジェノサイドの訴えは軍事侵攻の理由にはならないから即刻侵攻を停止せよと言うに止まり、ジェノサイドの有無は言及せず、その係争はジェノサイド条約を批准するウクライナ・ロシア両国が同裁判所に付託せよ、というものだった。ジェノサイドの判定は、その時の判事の責務であり、いくら法学の権威とは言え、今のあなた方にその権限はない。 ジェノサイドの判定は非常に難しく時間がかかるものだ。一方で、同じ過去の例を見ても、"火のないところには煙はたたない"の例えのごとく、大量殺人級の事件が起きた確率は非常に高い。国際人道法に至高の価値を置く法学者なら、ロシアを外交的に利するかもしれないという政治的思惑より、なぜ非力な被害住民の側の視点に立てないのか。ここにも学術的議論への政治的恣意の侵蝕が感じられる。 言うまでもなく、国際人道法は、それが侵略国側であっても被侵略国側であっても、帰属によって「被害住民」を差別・区別しない。繰り返すが、あなた達は政治家ではない。この普遍性を愚直に訴えるのが、法学の徒の使命ではないのか。 あなた方の発言の端々に「プーチンが犯した戦争犯罪」が出てくるが、国際人道法とローマ規程に限らず、すべての法の原則である「推定無罪」をお忘れか。今大切なのは、戦争犯罪の起訴には多大な時間と労力を要するという現実を見据えて、中立な機関による犯罪の証拠の収集と保存に徹することだ。 これ以上の犯罪事例の増加と、時間の経過による証拠の風化を防ぐために国際社会がしなければならないのは、ウクライナの徹底抗戦を支援する武器供与と経済制裁ではなく、早期停戦の仲介工作である。これは、少なくとも法学の徒の主張であるべきだ。 国全体を対象にする経済制裁と要人を対象にする標的制裁は明確に区別されるべきだ。過去、国際社会が行ってきた経済制裁(対イラン・北朝鮮など)では必ず人道的考慮と措置がなされてきた。それは、ジュネーブ諸条約等の国際人道法が「集団懲罰collective punishment」を厳禁するからだ。 標的制裁の更なる尖鋭化は望まれるが、人道的考慮・措置が不在の経済制裁は即刻停止するべきである。〔comment〕 法学者による国際会議における伊勢崎の発言、非常に「まっとう」だと感じましたが、そう思うのは私だけではなさそうです。事実、この会議後、参加者が示した反応について伊勢崎は次のように報告しています。 以上、怒りに任せた口調だったからか、この二人の法学の権威は二の句がつけず、僕が論破する形になってしまいました。(これは僕の忌諱するものなので、非常に反省)。しかし、このやりとりの後のコーヒータイムには、特にASEAN諸国の学者たちに囲まれ、熱烈な賛辞をもらいました。その中にはアメリカの学者もおりました。これまで色々な国際会議に出席してまいりましたが、こんなことは初めてです。にほんブログ村 ← よろしければ一押しお願いします教育問題に関する特集も含めてHPしょうのページに(yahoo geocitiesの終了に伴ってHPのアドレスを変更しています。)「しょう」のブログ(2) もよろしくお願いします。生活指導の歩みと吉田和子に学ぶ、『綴方教師の誕生』から・・・ (生活指導と学校の力 、教育をつくりかえる道すじ 教育評価1 など)
2022.11.03
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ロシア高官による相次ぐ発言(=「ウクライナが汚い爆弾を使うかもしれない」「目的は、ロシアがウクライナで大量破壊兵器を使用したと非難し、それによってロシアの信用を失墜させることだ」)がさかんに報道されています。これに対してウクライナやNATO諸国は「ロシアによる情報操作だ、ロシアこそがその爆弾を使おうとしている」と主張します。 このような報道を受けて、「ロシアがまた大嘘を拡散している」と考える人は多いでしょう。私もその可能性はかなりあると考えています。しかし、「そうでない可能性がある」という思いも禁じえません。 理由は次の通りです。1、ロシアやウクライナなどの「戦争当事国」が「戦意高揚」や「国際的支援の拡大」をめざして嘘の情報を流したり事実を隠す可能性は(両国とも)常に存在する。国際的な人権NGOであるamnestyも「ウクライナ軍が民間人を人間の盾として利用する作戦を行っていた事実(隠されていた事実)」を報告した。2、この戦争において米国やNATO諸国も実質的な「戦争当事国」となっており、その報道内容を鵜呑みにするべきではない。(日本やNATO諸国の報道にかんする見解は過去記事で明らかにした。「仮に、各国のmediaが『侵攻したロシア側』の発表や主張だけを報道し、『ウクライナ側、侵攻された側』の発表、主張を無視したとすれば、そのようなことは許されないだろう。だが現実に『湾岸戦争』や『イラク戦争』では『侵攻した側』の米・英の発表や主張、両国の視点からの報道で埋め尽くされていた。」現在の報道は、その真逆に近い。)3、ロシアに侵攻以前にウクライナで「生物兵器」が製造されていた事実は米国上院でヌーランドが認めている。(当初、安全保障理事会に訴えたロシアの主張は大嘘だということになっていたが、そうでないことが明らかになった・・・。)4、過去において「汚い弾丸=劣化ウラン弾」が使われた例がある 1991年の湾岸戦争で、米軍がイラク戦車部隊に使用。使用量は公式には約300トン。その後、NATO による 多国籍軍がボスニア紛争およびコソボ紛争に介入し、ボスニアで約1万発、コソボでは約3万発の劣化ウラン弾を使用したことを公式に認めている。また、イラク戦争でも、米軍は劣化ウラン弾を大量に使用したといわれる。イラクに派遣された陸上自衛隊が駐留したサマーワ郊外においても、米軍がイラク戦争時に使用したものとみられる劣化ウラン弾が複数発見された。5、過去において「偽旗作戦」や虚偽に基づいて戦争が行われた例がある ベトナム戦争開戦時のトンキン湾事件、湾岸戦争開戦時の「ナイラ証言」、イラク戦争開戦時の「大量破壊兵器保有疑惑」。いずれも大嘘を機に侵攻が行われた。 ウクライナ戦争の「汚い爆弾」問題にしても、ロシア側の大嘘である可能性はあるが、「爆発させた汚い爆弾の被害」をロシアのせいにして、「ウクライナ支援疲れ」が見えるNATO諸国からの支援拡大につなげようとした可能性も否定できない。(主語はウクライナ或いはNATO関係者、或いは米国CIA関係者。)にほんブログ村 ← よろしければ一押しお願いします教育問題に関する特集も含めてHPしょうのページに(yahoo geocitiesの終了に伴ってHPのアドレスを変更しています。)「しょう」のブログ(2) もよろしくお願いします。生活指導の歩みと吉田和子に学ぶ、『綴方教師の誕生』から・・・ (生活指導と学校の力 、教育をつくりかえる道すじ 教育評価1 など)
2022.10.30
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この間、私はほぼ一貫して次のことを主張してきました。1, 戦争は起こさないことが何よりも大切である。プーチンによる侵攻が非難されるべきは当然だが、「ウクライナ戦争」は未然に防ぐことができたし、防ぐための十分な動きをしなかった点(NATO加盟〔拡大〕問題についてロシアとの協議に一切応じなかったこと)については、バイデンにもゼレンスキーにも他のNATO諸国指導者にも大きな問題がある。2, 命を大切にするという観点からすると、「起こってしまった戦争」は一刻も早く停めることが大切であり、3月に「トルコ」が仲介して「ウクライナの中立化」という方向で停戦交渉が進んだことは評価すべきである。その時点で何としても停めるべきだったと考えるが、交渉が進展しようとした矢先に「戦車の提供」を表明し、戦争の長期化をあおったバイデンには大きな問題がある。3, 停戦を実現するためには、聞きたくない相手-プーチンの主張にも耳を傾ける必要がある。ロシア軍とプーチンを一方的に「悪魔化」する西側media、日本のmedia報道には大きな問題がある。特に3に関わって、「湾岸戦争」「イラク戦争」と比較しながら、改めて考えてみたいと思います。仮に、各国のmediaが「侵攻したロシア側」の発表や主張だけを報道し、「ウクライナ側」、「侵攻された側」の発表、主張をほとんど無視したとすればどうでしょうか。そのようなことは許されない、とだれでもそう思います。しかしながら、現実に「湾岸戦争」や「イラク戦争」では「侵攻した側」の米国・英国の発表や主張、両国の視点からの報道で埋め尽くされていたのではないでしょうか。侵攻されたイラク側の発表・主張の報道はほとんど記憶に残らないほど少ないものでした。例えば、イラクの軍事施設に対する「ピンポイント爆撃」が成功した映像など、何度も放映された記憶が鮮明に残っています。 現実には、どうだったのでしょう。米・英軍の爆撃は「精密誘導ミサイル」では(少なくともそれだけでは)ありませんでした。早々に制空権を握った米英は「爆撃機による大規模な攻撃」を地上戦に先立って行ったこともあり、イラク戦争だけで少なくとも50万人以上の犠牲者が出た、と言われます。 私が、「ウクライナ戦争に関する報道」‐ウクライナやNATO諸国の発表や主張は正しくロシア側の発表はすべてウソである‐に対して大きな疑問を持つのは、湾岸・イラク戦争報道とあまりにも違いすぎるのではないか(結局、米国を中心とする視点だけで報道されているのではないか)と感じるからです。 さて、ウクライナ軍による「反転攻勢」が本格化する中、プーチンは兵士の動員を強化する方向(ロシア軍予備役の部分動員)へ踏み出しました。西側諸国は「ロシア軍・当局のあせり」として冷静に受け止めていますが、プーチンの「発表(あせり)」に対し徴兵を避けて国外へ脱出する人や反戦運動に立ち上がる人々が出てくるのは当然でしょう。 しかしながら、そのことで「終わりが近づいた」などと楽観できないことも疑いありません。というのは、ベトナム戦争時、「民主国家米国」において、多くのジャーナリストによる戦争批判の報道が行われ、はるかに多くの人々が反戦運動に立ち上がり、脱走兵も続出したにもかかわらず、戦争終結まで何年もの月日を要したからです。 それどころか、このままでは(犠牲者や死者を生み出し続けるだけでなく)、より悪い状況に向かう可能性も否定できません。小泉悠は5月17日のNHKニュース9で「ロシアが戦術核を用いる可能性」について触れていました。「男子国民は片っ端から動けるやつを軍隊に招集します」ということをやって、軍隊の規模を今の2倍、3倍にする。でなければ、核兵器を使って暴力の烈度を一気に上げる。このいずれか、あるいはその両方の合わせ技が今後考えられると思いますし、その2つが両方とも排除されない可能性もある」と。 ロシア軍が優勢であっても、戦争が続く限り多くの命が奪われ、劣勢になってロシアが追い込まれても、危険な状況はますます危険なものになっていくでしょう。米国をはじめとするNATO諸国による「長期戦をあおる行動」は継続していますが、世界終末時計を破滅の24時に限りなく近づける危険な賭け!としか思えません。 あらゆる努力・方策を尽くして「即時停戦を!」という伊勢崎賢治の主張に強く賛同します。 なお、日刊IWJによれば、重要な事実が9月13日付の『ニューヨーク・タイムズ』によって報じられた、とのこと。その内容を、要約・紹介します。 11日にウクライナ軍がハリコフ(ハリキウ)州北東部の奪還に成功した舞台裏※ニューヨーク・タイムズ、2022年9月13日https://www.nytimes.com/2022/09/13/us/politics/ukraine-russia-pentagon.html「米国政府関係者によると」、ウクライナがここ数日で急速に軍事的利益を得た背景には、ウクライナの司令官と米英とが作戦計画の詳細を共有し、極秘のうちに反転攻勢計画を立案したことがある。(多数の米国高官が匿名を条件に取材に応じた、ということは、この記事の内容は、米国政府が事実上、公式に認めた事実だということを意味する。)「ウクライナ軍は大規模な攻撃を1回行う代わりに、2回の攻撃を提案した。1つはケルソンで、ロシア軍が集中しているため、劇的な成果が出るまでに数日から数週間かかる可能性が高い。もう1つは、ハリコフ(ハリキウ)近郊で計画されていた。」キエフ(キーウ)のある参謀によれば、この計画は米国の追加軍事援助の規模とペースに全面的に依存していたという。ケルソン攻撃は決してフェイントや陽動作戦ではなかったが、ハリコフ(ハリキウ)に比べれば、ロシア軍の数がはるかに多いため、反転攻勢はよりゆっくりと進んでいる。ウクライナ当局は、長期的な計画として「ザポリージャ原発の奪還」、マリウポリのロシア軍の補給路を東部から切り離す、ケルソンのロシア軍をドニプロ川の向こう側へ押し返すなど、が必要だと考えている。そして、3つの最重要計画の1つが、ザポリージャ原子力発電所の奪還である、ということ。これがウクライナ軍の計画だから、最初から、ザポリージャ原子力発電所の奪還に向け攻撃を仕掛けていたのは、ウクライナ軍だったということ。 ロシア軍が守備している原発をロシア軍が(貴重なミサイルを使って)攻撃するなど、通常はありえない。しかし、日本の大新聞、テレビはことごとに、この「論理的にありえない」ことを繰り返し報じてきた。ロシア軍がザポリージャ原子力発電所を制圧したときのように、ウクライナ軍には、無傷でザポリージャ原子力発電所を奪還できるほどの圧倒的な軍事的優位はない。危険を冒しつつ攻撃することになるが、一歩間違えば、欧州全域やロシアまで巻き込む大惨事になる。 『ニューヨーク・タイムズ』のインタビューを受けた米国政府高官は、ウクライナ軍のザポリージャ原発奪還計画を認めているだけでなく、これに関与している。 6基の原子炉を持ち、総出力600万キロワットのザポリージャ原子力発電所の破壊に、ドーヴァー海峡と大西洋を挟んで安全地帯にいる英国と米国が積極的に関与していることに、戦慄を覚える。 ザポリージャ原発が破壊されれば、ウクライナを中心にユーラシア大陸中央部は広く汚染されることになるが、それを何とも思わず、この計画の遂行をロシアのせいにしている。にほんブログ村 ← よろしければ一押しお願いします教育問題に関する特集も含めてHPしょうのページに(yahoo geocitiesの終了に伴ってHPのアドレスを変更しています。)「しょう」のブログ(2) もよろしくお願いします。生活指導の歩みと吉田和子に学ぶ、『綴方教師の誕生』から・・・ (生活指導と学校の力 、教育をつくりかえる道すじ 教育評価1 など)
2022.09.23
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アムネスティ ウクライナ軍について市民を危険にさらし「国際人道法に違反する」 との見方示す (TBSNEWS 8月5日配信より 以下、引用・抜粋) 国際人権団体のアムネスティ・インターナショナルはロシアに反撃するウクライナ軍が、市民を危険にさらすような戦術をとっているとして「国際人道法違反」との見方を示しました。アムネスティ・インターナショナルは4日、ロシアによる侵攻を受けたウクライナでの調査の結果、ウクライナ軍が戦闘の前線から離れた人口の多い住宅街から攻撃していた証拠が見つかったと指摘。市民を危険にさらすような戦術は国際人道法に違反するとの見方を示しました。ロシアの無差別攻撃を正当化するものではないとも説明していますが、・・・ゼレンスキー大統領は「侵略者と被害者が同じだと報告され、侵略者の行為が無視されるのは許されない」と反発しています。 〔引用・抜粋は以上〕「何を今さら」と言ってはいけないでしょうが、「西側(NATO)中心の報道」を鵜呑みにすることなく、「ウクライナ戦争」が起こった歴史的文脈(とりわけ2014年以降の事実を踏まえれば、この戦争は明らかに米国を中心とするNATOとロシアとの「代理戦争」であり未然に防ぐことは当然できた)に目を向けながら、この間の流れを批判的に見つめていれば、アムネスティが報告した上記のような事実は充分わかっていたことではないでしょうか。(アゾフ連隊などの「極右部隊」が2014年以降、ロシア語を話す住民に対して行っていた残虐行為は、このたびの侵攻前の段階で数多く報告されていたのです。)〔関連してフランス人ジャーナリストの取材・作成したdocument(53分)。現地の人々やウクライナ兵へのインタビューも含まれた映画です。:8月14日付記〕当blogにおいて、私は以下のような主張を続けてきました。ウクライナ戦争という「代理戦争」。欧米諸国は仲介の努力をするどころか(開戦以前には国連難民高等弁務官事務所などから極右と見なされていたウクライナの部隊に)大量の武器を提供し、長期戦もいとわず戦い続けることをあおってきました。米国の軍需産業は大儲け。欧州はウクライナを「多数の犠牲を出しながらもロシアに大きな損害を与える盾」にしているように見えます。長期戦をあおる欧米に加担するのではなく、報道機関は停める視点をもっと重視すべきと考えます。 なお、ウクライナ軍による「国際人道法違反」(このたびの報告)があったからと言って、ロシア軍の「ウクライナ侵略」が許されるわけでは断じてありません。しかし、だからと言って、ウクライナ軍による「国際人道法違反」は許してはならないのです。アムネスティの報告は、そのような「当たり前のこと」を指摘しているにすぎません。〔先に「充分わかっていたこと(ウクライナ軍-少なくとも一部-の人道法違反について)」と述べましたが、「両国から独立した国際的な組織」が、現地住民への丁寧な聴き取りや衛星画像等での確認をもとに報告書をまとめ、発表したことはやはり大きな意義を持つといえるでしょう。「NATO側のmedia」も無視するわけにはいきません。実際に報告を読んでそう感じました。:8月10日付記。 アムネスティのHP〕過去記事のrinkと表題を以下に列挙しておきます。ご一読・ご参考にしていただければ、幸いです。2022.03.04 ロシア-ウクライナ-NATO2022.03.10 争請負人=伊勢崎賢治さんの見解2022.03.20 ウクライナ問題に関する鮫島浩の危惧を共有する2022.04.02 ウクライナ侵略に関する山本太郎の会見2022.04.06 TBSへの「ご意見」2022.04.26 報道特集に猛省を求める2022.05.01 ウクライナの平和運動家ユリイ・シェリアジェンコの発言2022.05.07 遂につかんだ「バイデンの動かぬ証拠」 ―2014年ウクライナ親露政権打倒の首謀者2022.05.20 マリウポリから脱出した市民 証言の検証2022.06.04 『夜と霧』、そして現在の戦争2022.07.03 軍事的威嚇が戦争を防がない事実にほんブログ村 ← よろしければ一押しお願いします教育問題に関する特集も含めてHPしょうのページに(yahoo geocitiesの終了に伴ってHPのアドレスを変更しています。)「しょう」のブログ(2) もよろしくお願いします。生活指導の歩みと吉田和子に学ぶ、『綴方教師の誕生』から・・・ (生活指導と学校の力 、教育をつくりかえる道すじ 教育評価1 など)
2022.08.07
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米軍、ロシア標的の核攻撃演習実施 爆撃機がロシア国境から20キロ以内に接近 これは、「ウクライナ戦争」から3か月前(11月24日付)のNewsweek(日本版)の見出しです。ウクライナと連携して米軍は、「ロシア標的の核攻撃演習」を実施したのですが、「戦争抑止」には全く無効だったわけです。私は6月18日の記事の後半で次のような指摘をしました。「ウクライナ戦争」前の12月、米軍・NATO軍とウクライナ軍の大規模な合同軍事演習が黒海で行われ、米国から兵器を大量に購入しつつウクライナ政府軍は「ドンバス(ロシア語話者を中心に独立を宣言していた地域)」へのトルコ製ドローンによる攻撃をおこない、2月16日からはさらに砲撃を激化させていましたが、そのような「積極的な軍事演習や軍備の充実等」が戦争を未然に防がなかったことは、事実によって証明されています。 このような軍事演習や軍事威嚇(軍備拡大、ましてや軍事攻撃!)によって戦争を抑止できるという主張はすでに破たんしているというべきでしょう。冒頭の記事(爆撃機がロシア国境から20キロ以内に接近|ニューズウィーク日本版)によれば、「米戦略爆撃機の活動が活発化しており、今月(2021年11月)に入りロシアの近くで行われた飛行回数は30回と、昨年同時期から2.5倍以上」「米国の軍事演習『グローバル・サンダー』で、米国の戦略爆撃機10機が西方と東方からロシアに向け核兵器を発射する練習を行った」ということです。 その3カ月後にロシアによるウクライナ侵攻(「ウクライナ戦争」)が始まりました。「核兵器による威嚇」は少なくとも無効だったわけです。6月18日の記事でも述べましたが、日本はノルウェーの政策(軍事的緊張を引き起こさないために、ロシアとの国境付近には国軍を配置せず軍事演習も行わない)に学びつつ、緊張の緩和と外交による平和構築を模索するべきでしょう。軍事的な緊張が激化しやすい南西諸島を要塞化するなど、軍事衝突の危険性を拡大するだけです。 「ウクライナ侵攻」も含めて、戦争が起こった流れ(歴史的現実)を冷徹に見つめるならば、憲法9条が「戦争・戦闘への全面的参加を未然に防ぐ」という意味で重要な役割を果たしてきたことは疑いないように思われます。「1945年への道」で公開されている動画もあらためて見直していきたいものです。教育問題に関する特集も含めてHPしょうのページに(yahoo geocitiesの終了に伴ってHPのアドレスを変更しています。)「しょう」のブログ(2) もよろしくお願いします。生活指導の歩みと吉田和子に学ぶ、『綴方教師の誕生』から・・・ (生活指導と学校の力 、教育をつくりかえる道すじ 教育評価1 など) にほんブログ村 ← よろしければ一押しお願いします教育問題に関する特集も含めてHPしょうのページに(yahoo geocitiesの終了に伴ってHPのアドレスを変更しています。)「しょう」のブログ(2) もよろしくお願いします。生活指導の歩みと吉田和子に学ぶ、『綴方教師の誕生』から・・・ (生活指導と学校の力 、教育をつくりかえる道すじ 教育評価1 など)
2022.07.03
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久しぶりにヴィクトール・フランクルの『夜と霧』を開いてみました。フランクルがユダヤ人強制収容所での体験を思い起こし、記録した有名な書ですが、実に70年以上世界各国で読み継がれています。昨日、特に私の目に入ってきたのは、著者が「新版」を発行する際に新しい逸話(彼が最後に移送された収容所の所長〔ユダヤ人への残虐行為を行わず必要な援助を惜しまなかった〕の処遇を巡ってユダヤ人グループが米軍司令官と交渉した話)が挿入されたことでした。 パレスティナを巡って多くの血が流される中、「『夜と霧』の作者は、立場を異にする者同士が許しあい、尊厳を認め合うことの重要性を訴えるため、この逸話を新たに挿入したのだろう」(翻訳者)ということでした。さらに、訳者あとがきの最後の段落で次のように述べています。 「しかし、フランクルの思いとは裏腹に、『夜と霧』はいまだに過去のものではない。相変わらず情報操作という『アメリカの夜』〔人工的な夜を指す映画用語〕が私たちの目をくらませようとしている今、私たちは目覚めていたい。」 これは、2002年に書かれた「あとがき」ですから、まさにイラク戦争(大量破壊兵器の製造・保有疑惑を口実に、米英両軍がイラクを攻撃し、政権を崩壊させたのみならず、50万人を超える犠牲者を出したイラク戦争)の前夜にあたります。明らかに国連憲章違反にあたるこの戦争を日本政府は全面的に支持したわけですが、いまだに米国の戦争犯罪について(国連や米政府は)まともな調査さえ行っていません。「イラク侵略戦争」に加担した日本政府の責任も、私たち自身、まともに追及できていません。この時のような情報操作は、まさに現在、繰り返し行われていないでしょうか。私たちは、イラク戦争時の報道仕方と、「ウクライナ戦争」の報道仕方の大きな違いにまず注目すべきではないでしょうか。 さて、本blogでも何度か紹介した遠藤誉がスイスの平和energy研究所、ガンザー所長の見解を紹介しています。要約、抜粋しておきます。2013年末の反政府デモ(マイダン革命) スイスのガンザー博士がウクライナ戦争に関してアメリカが国際法違反をしていることを証明。日本(欧米)はこれを完全に無視し事実の半分の側面だけしか見ていない。戦争はこうして起こる。(・・・) ◆スイス平和エネルギー研究所のガンザー所長が語るウクライナ戦争:真実の裏側 2022年4月12日、スイス平和エネルギー研究所の所長であるダニエル・ガンザー博士がRubikon.newsに寄稿し、「8年前のオバマ大統領の国際法違反がなければ、プーチンの違法な軍事侵攻はおそらく起こらなかったでしょう」と語った。 動画のタイトルは<ガンザー博士が語るウクライナ紛争:真実の裏側>。 なぜ、この動画にたどり着いたかというと、実は映画監督オリバー・ストーンのトークを見て、彼がドキュメンタリー『ウクライナ・オン・ファイヤー』を制作していたことを知ったからだ。ところがこの映画は、「あまりに真実を語っている」ことからか、アメリカ政府が妨害して見られないようにしているため、規制がかかってなかなかアクセスできない。さまざまなルートがあり、こちらもアクセスしたが、うまくいかない。民主主義国家のはずなのに、偏った事実しか知らせず、都合の悪い事実は知られないようにするという、まるで中国大陸のようなやり方だ。 そこで若手のパソコンに強い人にお願いしてやっとたどり着いたのが、このスイス平和エネルギー研究所の動画である。(・・・)概略をご紹介したい。◆ウクライナ戦争の出発点 2022年2月24日、ロシアのプーチン大統領は軍隊にウクライナへの侵攻を命じたが、これは国連の暴力禁止規定に違反するため違法だ。一方、そのほぼ8年前の2014年2月20日、アメリカのバラク・オバマ大統領は、ウクライナをNATOに引き込むためにウクライナ政府を転覆させた。このクーデターがウクライナ戦争の出発点だ。 (・・・)メディアではプーチンの侵攻について多く報道され、正しく批判されている。しかし、オバマのクーデターについては、ほとんど報じられていない。なぜ、物語の半分しか語られないのか?「欧米が主導したクーデターであることは間違いない」と、元CIA職員のレイ・マクガバンは認めている。(・・・)◆NATOの東方拡大 米国はロシアにNATO不拡大を約束していたにもかかわらず、NATOは拡大され続けた。ロシアは激怒し、米国でも注意喚起の声が上がった。「もし中国が強力な軍事同盟を結び、カナダやメキシコを参加させようとしたら、そのときのワシントンの怒りを想像してみたらよい」と、シカゴ大学の政治学者ジョン・ミアシャイマー氏が警告した。(・・・)◆マイダンでのジョン・マケイン上院議員 2013年末、ウクライナの首都キエフの中央広場「マイダン」では、ヴィクトル・ヤヌコヴィッチ大統領の政権に反対するデモが行われていた。(・・・)この緊迫した状況の中、米国の有力上院議員ジョン・マケインがウクライナに飛び、12月15日、マイダンの抗議者陣営を訪問し、米国の上院議員がデモ隊にウクライナ政府転覆を促した。 もし、ロシアの有名な国会議員がカナダに飛び、首都オタワでカナダ政府を転覆させようとするデモ隊を支援したら、米政府はどれほど怒り狂うだろうか?(・・・)◆駐キエフ米大使館が抗議行動をコーディネート (・・・)バイデン米大統領もマイダンのデモを支持し、クーデターに直接関与していた。◆ビクトリア・ヌーランドの50億円 米国務省でクーデターを担当していたのは、ビクトリア・ヌーランドだ。ヌーランドはウクライナをNATOに加盟させるため、ヤヌコビッチ大統領を引きずり落とそうとしていた。マイダンのデモの指導者たちは、米大使館から指令を受けただけでなく、報酬も受けていた。(・・・)◆2014年2月20日、狙撃手が状況をエスカレートさせる (・・・)2014年2月20日、正体不明の狙撃手が複数の建物から警察官やデモ隊に発砲し、40人以上の死者を出すという大虐殺が発生し、状況は混乱した。ただちに当時のヤヌコビッチ政権とその警察組織は虐殺の責任を負わされたが、彼らには事態をエスカレートさせることに何の得もない。彼らとしては政権の転覆を避けたかったからだ。(・・・)◆プーチンがクーデターについて語る ロシア人は米国がクーデターを組織したことを知っており、激しい怒りを覚えていた。もし米国と欧州が違憲行為を行った者達に対して、「そんなやり方(議会と政府の建物を暴力的に占拠:補)で政権を取っても決して支持しない」、「選挙をやって勝てばいいんだ」と告げていたら、 状況はまったく違っていただろうとプーチン大統領は語った。 ◆クリミアの分離独立 プーチン大統領は、ヤヌコビッチ政権崩壊直後、クリミアの「奪還」開始を指示した。(・・・)ロシア兵がすべての戦略地点を占拠し2014年3月16日、クリミアの人口の97%がウクライナから離脱し、ロシアに加盟することに票を投じた。それ以来、クリミア半島はウクライナではなく、ロシアに属している。 ウクライナ戦争では、米国もロシアも国際法を遵守していない。まずオバマが2014年2月20日のクーデターで国際法を破った。これに対し、プーチンは2014年2月23日にクリミアを占領して国際法を破った。 ロシアのクリミア占領は「現行の国際法に対する侵犯」であり、「ウクライナの主権と領土保全が侵害された」と、西側諸国はプーチンを厳しく批判しているが、西側諸国も数々のケースで現行の国際法に繰り返し違反している。プーチンを批判する資格に疑問符が付される。◆ドンバスの分裂 キエフのクーデターとクリミアの分離独立後、ウクライナは内戦状態に陥った。新首相のヤツェニュク氏は、軍、諜報機関、警察の力で国全体を支配下に置こうとしたが、ロシアと国境を接するウクライナ東部のロシア語圏では、ドネツク地区とルガンスク地区がキエフのクーデター政権を承認しないことを宣言した。(・・・) ヤツェニュク首相はこれに激しく反発し、分離主義者はすべてテロリストであると断じた。(・・・)2014年4月15日、ウクライナ軍は米国の支援を得て「対テロ特別作戦」を開始し、ドネツク地区のスラビャンスク市を戦車や装甲兵員輸送車などで攻撃した。 これがウクライナ内戦の始まりで、(東部、ロシア語圏を中心に)8年間で1万3千人以上の命が失われ、それが2022年2月24日のプーチンによる不法侵攻につながったのだ。 キエフでのクーデターは、プーチンのウクライナ侵攻を正当化するものではなく、それが国際法の侵犯であることに変わりはない。しかし、私たち西側諸国が2014年のクーデターを無視するならば、ウクライナ戦争を理解することはできないだろう。(抜粋は以上) 歴史的な文脈にきちんと目を向ければ、「戦争を防ぐ道」「停めるために今なすべきこと」も見えてきくるのでは? 大切なのは相手を「理解不能な狂人・怪物」とみなして、戦いをあおることではないはずです。〔なお、5兆円防衛費を増やす(自民党の提言)代わりにできることを東京新聞がまとめていましたので、こちらもご一読を。〕にほんブログ村 ← よろしければ一押しお願いします教育問題に関する特集も含めてHPしょうのページに(yahoo geocitiesの終了に伴ってHPのアドレスを変更しています。)「しょう」のブログ(2) もよろしくお願いします。生活指導の歩みと吉田和子に学ぶ、『綴方教師の誕生』から・・・ (生活指導と学校の力 、教育をつくりかえる道すじ 教育評価1 など)
2022.06.04
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遠藤誉が注目すべき新しい記事(題名は上記)を公開しています。冒頭の文を引用しておきましょう。「ヌーランドの会話録音の中にバイデンという言葉があり、バイデンの自叙伝を詳細に分析したところ、マイダン革命の首謀者がバイデンで、ヤヌコーヴィチ大統領(※註)に亡命を迫ったのもバイデンだったことが判明した。」〔※註:この大統領の政権は、西側のmediaでは「親ロ政権」と報道される。この言葉からは「ロシアの傀儡政権」のような印象を受けるが、軍事的にはNATOにも入らずロシアとの軍事同盟にも入らない中立政策(この点ベラルーシとは決定的に異なり、フィンランドの中立政策とほぼ同じ)をとっていた。この時代は「東部における内戦」もなく、ウクライナは平和だったのだ。〕 Pointを列挙すると①ヌーランドの会話録音の中に一ヵ所「バイデン」が <2014年、ウクライナにアメリカの傀儡政権を樹立させたバイデンと「クッキーを配るヌーランド」>でヌーランドの音声を拾った。〔この録音内容は、ヤヌコーヴィチ政権を倒すためのマイダン革命において、米国が背後で動いていたというもの。新たな政権の人事にまで介入していたことが判明〕が、そのとき、後半に出てくるバイデンという言葉には言及しなかった。②なぜなら、バイデンに関しては、マイダン革命が起きてから、親露派のヤヌコーヴィチ大統領がロシアに亡命するまでの3ヵ月の間に9回も電話しているという情報があり、そのことはバイデン自叙伝に書いてあるとのことなので、真相を確認してから書こうと思っていたからだ。③革命への米政権の関与は2015年1月に当時のオバマ大統領がCNNの取材でも認めており、その具体的な動きに関する会話(当時のヌーランド国務次官補と駐ウクライナのアメリカ大使との会話がリークされた。「背後でアメリカが動いていた」その人物たちのトップには「バイデン副大統領がいた」という。)④バイデンの自叙伝に書いてあるヤヌコーヴィチとの電話●私はヤヌコーヴィチとは2009年にウクライナに行った時から接触している。●2014年2月下旬(2月20日)に掛けた電話で、私(バイデン)はヤヌコーヴィチに「あなたは立ち去らなければならないという時が来た(=立ち去るべきだ)」と言った。「あなたの唯一の支持者は、政治の後援者とクレムリンだけだ」ということを、私は彼に忠告した。●この不名誉な大統領は翌日、ウクライナから逃亡し・・・。 ウクライナの国営放送のウェブサイトにある通り、「バイデンがヤヌコーヴィチをロシア亡命へと追いやった」のである。ヤヌコーヴィチがウクライナからいなくなれば、「親ロ政権」は完全に崩壊し、ウクライナはバイデンたちが人事まで決めている親米政権になる。(抜粋・引用は以上) 本人が自叙伝に書いているのですから内容に間違いはありません。中立政策をとり平和な暮らしをしていたウクライナの政権を転覆させただけではなく、その後のバイデンはNATOへの加盟をたきつけ、2021年12月にはウクライナ・米国・NATO軍の大規模な合同軍事演習を行い、爆撃用のドローンや対戦車砲を数多くウクライナに提供し、「レッドラインを越えるな」と警告するプーチンに対して、「戦闘が始まっても米軍は動かない」ことをわざわざ伝える。 現在、米国の軍需企業の株価は上がり、大量のシェールガスが欧州各国に購入される状況になっていますが、一連のバイデンの行動は極めて犯罪的だといわざるを得ません。そして現在も大量の兵器をウクライナに提供することで、長期戦へと煽り続けているのです。(米国をはじめとする軍需産業界は色めきたっている) オリバーストーンが制作にかかわった「ウクライナ・オン・ファイアー」(陰謀論として一蹴する人もいるが、私なりに検証した)の末尾には、世界終末時計が出てきます。「世界終末時計は(破滅を意味する)午前0時まであと3分に迫っています。なぜなら、各国の指導者たちは最も大切な義務を果たしていないからです。」 まさにそのとおりであることを確信しました。バイデンとプーチン(70歳をこえる大国の指導者)の暴挙によって、多くの犠牲者を生み出す戦闘・さらに核戦争の危機は拡大し、喫緊の問題である気候変動への取り組みも押しやられてしまっています。 若者の、そして世界全体の運命をこのような「指導者」によって決めさせてはならない。即時停戦と、紛争解決への対話、そして持続可能な世界の創造のために、私たちは事実に基づいて発言・行動・意思表示をすべきではないでしょうか。にほんブログ村 ← よろしければ一押しお願いします教育問題に関する特集も含めてHPしょうのページに(yahoo geocitiesの終了に伴ってHPのアドレスを変更しています。)「しょう」のブログ(2) もよろしくお願いします。生活指導の歩みと吉田和子に学ぶ、『綴方教師の誕生』から・・・ (生活指導と学校の力 、教育をつくりかえる道すじ 教育評価1 など)
2022.05.07
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