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2005年01月29日

中越地震と大工さん

(1)

カテゴリ：だんなっち

中越地震の復興作業で大工さんが大変だと言う、ニュースがあっていた。
何しろ仕事に対して、人が足りないとのこと。

遠い福岡にいてそのわけが自分なりに分かる気がした。

福岡の大工の間では、神戸の地震のときどうだったと言う話がよく出るのだそうだ。
神戸の地震のとき、福岡の職人は、仕事が少なかったのもあったし、もちろん、居てもたってもいられない気持ちで行った人もたくさんいたらしい。とにかく、たくさんの職人さんが、地震後の神戸に行った。

それで、その時の話が、今でも語り草になっているのだ。

神戸に行ったとき、まず、頼まれた会社に行くまでが大変だった。何しろ大工は車がないと仕事にならない。
現場にいこうにもそれが大変だった。

仮設住宅を、いざ作ろうとした時、現場で本当に大工らしい人が居なかった。←日当制だったので、素人が、日当目当てで、大工のフリをして何もせずお金だけをもらっていく人が多かった。
その中でも、一生懸命働いたぞ、と誇らしげに話してくれた。

ボランティアの人には、食料、住宅、風呂などが、用意されているが、大工は、営業目的のためそれもなく、車の中に寝て、食料を調達しようにも、店にもないお風呂ももちろん入れずという状態。
冗談無しで、お腹がすいてたまらなくなって、帰った人が何人もいる。
たまらず、自衛隊や、ボランティアの人に、食料を頼んだら、住民優先ですから・・・。と、いわれ断られる。

食料を持っていけばよかったやん。と言われればそれまでだが、そのとき、そういう知識を持った人が、どれだけ居ただろう。

とにかく、水も食料もないような、限界の中で、やっと、作り上げた人も、給料をもらえなかったり。
↑
闇ブローカーのような人が中に入っていたり、地元企業だけではなく、とにかく寄せ集め。
給料がどこかに流れていった。
ボランティアじゃなかったの？と言われ、引き下がった人もいるとのこと。

とにかく、福岡の大工の間では、震災の後は、怖くていかれないということが、定説になってしまっている。
悲しいことに、旦那を含め、中越地震に駆けつけたと言う大工を、聞いたことがない。

震災の後、泥棒に入る人たちが居ると言うニュースを聞いた。たぶん、闇ブローカーもその類なんだろう。

でも、そういう人が、そういう時期に山のように出てくる。
と言うことを、福岡大工たちは知ってしまったのだ。
きっと、中越地震でも、いるかもしれない。いや、いるだろう。と思うと、怖くて誰もいけないのだ。

中越の大工さんたちは、寝る間のないぐらい働いても、まだ追いつきませんと言っていた。
本当に、人手が足りないのだろう。
本当に、過酷な状態の中、働いているのだと思う。
なんちゃって、大工さんは来ても、本物の大工さんは、少ないのかもしれない。

震災後に働きにいける体制を、きっとこの１０年で日本は学べなかったんだろうなぁ。と思った。
悲しい。悔しい。後ろめたい。そんな気持ちの福岡大工たちの、震災体験話は、今日も現場で繰り広げられるのだろう。

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