Tapestry

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ボウリング・フォー・コロンバイン

ボウリング・フォー・コロンバイン 10/16/2004




今更だけど、この映画を観ました。
なんかね、これ観てから色~んな事を考えて、悶々としてます。
(注:英語の理解力が低いため、きちんと理解出来てない部分もあるかもしれません。
それは違うよ、そうじゃないよ、って言うご意見があれば、是非教えて下さい。)

まずはドキュメンタリー映画としては面白いし、
ずっと画面に目が釘付けで、興奮度も高かった。
ムーア監督の真実を突き詰めるっていう姿勢も共感は出来る。

でもね~、なんか消化不良なんよ。
しかもお腹まで行かずに喉元でひっかかってつっかえてる感じ。
なんでか、って考えたんだけど、矛盾が多いんだよ。

そもそも、ティーンエイジャーが簡単に銃を手に入れる事が出来る
アメリカ社会がおかしい、ってのはよく分かるし、
アメリカ人の銃に対する考えも、日本人なんかにはなかなか理解しにくいモノだって言うのも分かる。

隣国カナダでは、銃所持者が多いにもかかわらず、アメリカに比べてかなり銃犯罪が少ないし、
人々が持っている危機感も、比べ物にならないほど少ないのだ。
家に鍵をかけない人が普通にいるとは、オドロキである。

そのアメリカとカナダとの違いは何?という答えは、
カナダに比べて、毎日毎日メディアで銃犯罪の多さを目にし、必要以上に恐怖心をあおられている、って事。
必要以上に、衝撃のシーンを何度も何度も流す、と言うのは、そりゃあ、効果的だろう。
だからこそ、自分や家族を守るために、アメリカ人にとって銃の所持は必須なのだ。
いつ何時、銃を持ったクレイジーな殺し屋が、自分の家にやってくるかも解らない。
映画や小説の話ではなく、アメリカ人にとっては、それらの事件は
いつどこで起こってもおかしくない、現実的な出来事なのだ。

しかし、もしもそれが事実なら(事実だとワタシも思うが)
わざわざKマートまで出向いて、これからは銃弾を売らない、などという
声明を発表させるのに、何の意味があるんだ?

もちろん、あのコロンバイン高校で負傷した生徒達にとっては
自分たちを傷つけた銃弾が、Kマートでいとも簡単に手に入った、と言う事が
重要な意味を持つのは理解出来る。

でも、たとえKマートで一切 銃関連のモノは売らなくなったとしても
町のいたるところにガン・ショップはあるし、わざわざそこまで出向かなくても、
オンラインやカタログ通販で、簡単に買う事が出来るというのに。
しかも、ティーンエイジャーでも、簡単に手の届く値段で。

それにしても,コロンバイン高校で銃乱射事件が起こってからまだ間もない時期に
リトルトンのすぐ近くのデンバーで、NRAの集会が行われたと言うのは、
無神経このうえないし、遺族の怒りももっともである。
偉そうに演説をぶっていたチャールトン・ヘストンだったが
ムーアのインタビューにも、まともに答えられていなかった。
結局は、皆、単なる仕事、お金もうけのためだけなのだ。

ミシガン州で起こった、6歳の男の子が、同じクラスの女の子を撃ったやりきれない事件。
あれだって、もちろん、子供が手の届く所に銃を置いておく大人が悪いのは解りきった事。
けれども、あの母親は、バスに乗って隣の町まで、働きに出ていた。
幼い息子を放ったらかしにして。貧しさゆえの事だ。
銃があるから、銃が自由に手に入るから、と言う以前の問題だ。

結局は、とことん資本主義であるアメリカで、図太く生きていくには
お金をたくさん持って、そういう底辺の事件には目も向けず生きていくか
(チャールトン・ヘストンが、殺された女の子の写真を見ようともしなかったように。)
身を守るために、銃を所持するか、どちらかしかないんじゃないか、と言う
絶望的な気持ちになった。
いまさら銃を規制したところで、問題は何も解決しないだろう。
そこまで深刻で取り返しのつかない事態になっているんだ、と改めて気づかされた。

アメリカに住んでいたら、どれだけ銃が身近にあるのか、って言うのが
嫌でも心の中に染み付いてくる。

ポパイだって銃は賛成派だし(何といってもサバイバル野郎だからね。)
実を言うと、我が家にもある。
それがいい事か、悪い事か、ポパイとケンカしながらもずっと考え続けてきた。
だからこそ、ポパイにもこの映画を観て欲しかったのだが
一緒に観て、ますます混乱してしまったワタシ。
ポパイも同じ様な感想を持ったようだし。

メディアが国民の恐怖心をあおり、(恐怖心だけでなく、どれほどメディアに
躍らされているアメリカ人が多い事か)
銃の売り上げを伸ばしているのかもしれないが、結局はムーア監督
あなただって、メディアの人じゃない?と皮肉にも感じてしまった。
彼の他の作品は、観た事ないので、決め付ける訳ではないけど、説得力なさすぎ。
矛盾多すぎ。このもやもやとした気持ちをどうにかして欲しいもんだ。
悶々と考える機会を持たせるのが狙いだとしたら、
ムーアさん、もうバッチリですよ。

映画の中で、一番納得出来たのは、この事件で息子を亡くしたお父さんの言葉。

「Somthing is wrong.」

この言葉に、「いったい何がおかしいのか?間違っているのか?」と問う監督に

「I don’t know.」

これが一番説得力があったよ。


何かが間違っている、それは誰しも感じている事。
でもそれが何なのか、どうすればよくなるのかは誰にも答えが出せないのだ。


ま、映画としては★★★★くらいでしょうか。
合格点ではあると思います。

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