Tapestry

I am Sam

I am Sam（アイ・アム・サム） 10/26/2004

★★★★★

ショーン・ペンが知的障害者を演じたこの映画、彼の演技はもとより、
ストーリー・音楽・キャスティングなど、全てがピッタリはまっていて
とても上手に作っていて、大好きになった。

７歳の知能しかないのに、一人娘ルーシーをずっと育てて来たサム。
隣人や友人の助けもあり、ルーシーもすくすくと賢い子に育っている。

けれども、ルーシーが７歳になった時点で、娘が父親の知能を超えるから、と言う理由で
サムには娘を育てていく資格がない、と言われ、
ソーシャルワーカーによって、引き離されてしまう。

どうしても、娘を取り戻したいサムは、弁護士リタ（ミッシェル・ファイファー）に助けを求める。
リタの頑張りも虚しく、養育権を失ってしまうサムだけれど
引き離されてもお互いを必要としている、サムとルーシー。
２人の強い絆に感動した。夜な夜なベッドを抜け出し、
サムの元へ行くルーシーちゃん、可愛すぎ。

なんでか解らないけど、ルーシー役のダコタ・ファニングの淡々とした、
けれどもとても可愛らしい演技が、なんとなくピグレットのイメージと重なった。
そしてこれまた何故だか解らないけど、サムが自分とダブってしまい、
すごく感情移入してしまって、観ている間中、涙が止まらなかった。

そんな訳で、あまりちゃんとした感想が書けそうもない気がするんやけど。（^^;）

サムがルーシーに、Dr.Seussの「Green Eggs and Ham」を
読んであげるシーンが何度も出てくるが、ワタシもプーが小さい頃
この本を､何度も何度も読んであげた思い出がある。

（ちょっと余談だけど、タイトルの「I am Sam」はこの絵本から取られているはず。
「I am Sam」「Sam I am」のフレーズが、何度も何度も出てくるのだ。
それに、この本は７歳の知能であるサムでも十分に読めるくらい、
簡単なで同じ単語が何度も出て来るので
きっと、サム自身がこの本が大好きだったのだろう。^^）

だからかもしれないが、子供が寝る前に､本を読んであげる､と言う事の意味が
切ないほどよく分かるのだ。
毎晩眠りに着く前に、お父さんやお母さんに本を読んでもらう事、
そのさり気ない日常が、どれほど大切で、どれほどあっという間に
過ぎ去ってしまう事か。

子供はあっという間に大きくなる。
両親が､知的障害者であれ､健常者であれ、どちらにしても同じ様に
子供達は、あっという間に親を超えた存在になるのだ。
親になるのに、知能なんてどうでもいいじゃないの、そんな気にもさせられた。
現実問題としてありうるかどうかはおいといて、
惜しみない愛情よりも知能の方が大切だなんて、そんな事誰が言えるのか？
知能は歳相応にあっても、子供に愛情を持って育てられない親だって
たくさんいるというのに。

裁判の中で、証人であるソーシャルワーカー（？）が、リタに
「自分の子供に何かあったときに、自分が大きな間違いをしたと
感じる事はない？」
（実際は、ちょっと違う言葉だったけど、訳せない。^^;）
と尋ねられて、涙を流すシーンがあるが
どんな親だって同じなのだ。実際、弁護士としてキャリアのあるリタでさえ
ひとり息子とちゃんと向き合えなくて、その事で思い悩んでいるのだから。

ショーン・ペンの演技は完璧だった。演技だとは思えないほどだった。
言葉に詰まってオロオロし、涙を流す所など、辛くて見ていられないほどだった。
ルーシーを手放したくない、その気持ちは変わらないけれど、
７歳の知能であっても、何がルーシーにとって幸せなのか、きちんと考えていたサム。

「どうしても僕が叶えてあげられない事がひとつある･･･。
ルーシーにお母さんを持たせてあげたい。」
里親のランディに言ったこの言葉は、彼の真の愛情なんだろう。

弁護士役のミッシェル・ファイファーや、里親役のローラ・ダーンも
とってもはまり役で、良かった。

音楽も良かったし、いろんな箇所で出てくる、ビートルズの逸話が面白かった。
「Lucy in The Sky with Diamonds」のメロディに乗って
ルーシーとサムがブランコで揺れてるシーン、可愛かったな。
音楽もビートルズのエピソードも、すべてがそのシーンに
ぴったりとハマっていたってのも、最後まで飽きずに観られた理由かも。
サウンド・トラックが欲しくなったよ。

それにしても、ハッピーエンドで良かった。
そうじゃなきゃ、切なすぎてしばらく立ち直れなかったかも。
映画を観おわったときに、一番に思ったのは、
早く息子達を抱きしめたい！って事だったよ。（^^）