Tapestry

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Talk to her

Talk to her 11/28/2004

トラックバックもさせて頂きましたが、映画が大好きで

映画に対する愛情いっぱいのレビューを書き続けておられる

cieloさん の日記に触発されて、観る事に。


一言で言って、素晴らしく美しい映画です。★★★★★


ストーリーの好き嫌いは置いておいても、映像の美しさと俳優達の素晴らしい演技

この二つの点だけでも、ワタシにとっては かなりの高得点。

大きな盛り上がりやドキドキするシーンがあまりないのに

ドンドン画面に引き込まれて行くのは何故だろう。


しかし、cieloさんも書いておられたが、好き嫌いが大きく分かれる映画でもあると思う。


美しいバレエダンサーだったアリシアは、突然の交通事故で植物人間になってしまう。

密かに彼女に恋心を抱いていた看護士のベニグノは

これ以上出来ないほどの手厚い看護と身の回りの世話を買って出る。

アリシアも美しかったが、ベニグノが丁寧に彼女を世話する様子までもが美しい。


体を丹念に拭いてあげ、髪を梳かして奇麗にまとめ、

まるで意識ある人間に対するように、優しく彼女に話し掛けるベニグノ。


そう、映画全体が、なにからなにまで全てが

とても清潔感いっぱいで 美しすぎて

そういう意味ではかなり現実離れしていたと思うし

観る人によっては、ベニグノもただのキモいストーカーと写るかもしれない。


しかし、同じ様な境遇にあるもう一組のカップル、

マルコとリディアの関係と対比してみると、

決してそれが恐ろしいモノではない、と思えてくるから不思議。

というか、この辺りの観せ方は、監督の手腕ではないだろうか、と

ワタシには感じられた。


ベニグノのアリシアに対する愛情と、マルコのリディアに対する愛情とでは

一体なにが違っていたのか。

マルコのそれには迷いがあった。

けれどもベニグノのアリシアに対する愛情には一点の曇りもなかった。


結局、人間的な幼さゆえに、愚かな罪を犯してしまうベニグノだったし

彼自身の結末は、悲しいものであるようにもみえるが

帰らぬ人となったリディアに対する愛情に後悔するマルコよりも

献身的に尽くし続けたベニグノの方がずっと幸せだっただろう。


じゃ、アリシアはどうなの?って言われると、これはもう想像にしか過ぎないけれど

もしも彼女が事実を知ってしまったら、

ベニグノに対して嫌悪と憎悪の感情を最初は抱くだろうけれども、

時が経つに連れ、その愛情の意味を理解していくのではないか・・・

と楽観的に考える。

とんでもない事をしたベニグノだけれども、アリシアを本当の意味で救ったのは

彼以外の誰でもないのだから。


映画の中で出てくる、幾つかのバレエ公演や、コンサート、

無声映画などなど、その劇中劇ひとつひとつ取っても、

どれも完成度も高く、そのおかげか、映画全体を芸術的な物に観せいてる。

笑える部分もあったし。

無声映画も笑えたけど、それを観た後のベニグノの心情に

何故か可笑しさと悲しさの両方を感じた。

あんな笑える映画に感化されてしまう幼稚さ。

幼稚であるが故に、あまりにも純粋で汚れのない愛。

あぁ、彼は女性に対してまともな愛し方(世間一般で言う所の)が

できないんだな、ずっと母親だけを観て成長したから・・・と。



街並みも美しい、インテリアも美しい、女優さん2人とも奇麗。

それだけでも観る価値がある。

舞台はスペイン(?)だと思うが、垢抜けたラテン文化と言うものの

垣間見えて、ああいうのが好きでない人にとっては、つまらないかもしれないけど

ワタシは大好き。闘牛の場面は残酷でもあり、美しくもある。

もちろん、映画に出てきたのは、お金持ちで清潔な部分だけなのだけどね。

映像的に汚い部分が出てこない映画って言う意味でも、貴重だと思う。

刑務所でさえ、清潔で奇麗すぎるくらいだったもの。


ストーリーだけを考えると、本当に考えさせられる重いテーマだし

生理的に受け入れられないって人も多いかもしれない。


ああ、でもワタシには、久しぶりに「映画の素晴らしさ」を

与えてくれた映画だと思う。


昨夜観たばかりなので、まだ余韻が残っていて、冷静になってない部分もあるが

きっと何度も観たくなるだろう。


トーク・トゥ・ハー スタンダード・エディション


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