Tapestry

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ABOUT SCHMIDT

「アバウト・シュミット(ABOUT SCHMIDT)」 2005-05-22

若者が観たら面白くもなんともないのでは?と思えるような、
老後の寂しい生活を描いた映画だが、淡々とした中に、コミカルな描写がたくさんあって、
いい映画に仕上がっていると思う。でもまぁ、好みが分れるではあろう。
ワタシはといえば、これがジャック・ニコルソンでなかったら、
きっとつまらないとがっかりしていたかもしれない。
とは言え、嫌いではないし、じんわりと心に残る映画でもある。
彼がずいぶんおじいちゃんになってしまったことが、少し寂しい気はしたけど、
年輪を感じる表情で見せる演技はとても良かったと思う。

多分、仕事が生き甲斐だったのだろう、と思われるウォーレン。
リタイアして張り合いもなくなり、寂しい毎日を過ごす。
それに比べて妻の方は「人生これから」とでも言わんばかりに張り切っている。
それなのに、妻の方が突然ぽっくり逝ってしまう。人生とはなんと皮肉なことか。
亡くして初めて妻の大切さに気づき、愕然とするウォレット。
それに加えて、過去に起こった妻の小さな浮気まで発見してしまう・・・。

妻の趣味や性格、些細な仕草などが、全てウォーレンの目線で描かれており、
あぁ、長年連れ添った夫が見た妻って言うのは、こういう風に写っているのか・・・
と言うことにかなり感動したワタシ。
惚れて結婚した相手も、いつのまにか年老いたばあちゃんになってしまい、
ババくさい仕草やたるんだ脂肪、つまらない付き合いや趣味に勤しむ妻に、
半ば幻滅を感じながらも、深い愛情を感じているんだと言うのが伝わってきて、
寂しいと同時に微笑ましい気持ちになった。
この辺りの微妙な心情がとても上手く現われていたのは、
ジャックの演技と、演出の良さだろう。
長年連れ添った伴侶に先立たれると言うのは、たまらなく寂しい事なのだろうな・・・
と想像すると、居たたまれない気持ちにもなった。

もうひとつ、上手く表現されていたなぁ・・・と感心したのは、
アメリカの田舎の老人たちの生活。
引退時のパーティの様子、キャンピングカーで旅をしたり食事をしたり、
テレビを見て恵まれない子供達の養父になろうとしたり、
友達との食事、そしてお葬式で故人の家族にかける言葉、などなど、
アメリカ人から見たらごく当たり前の風景が、
ワタシには「いかにもアメリカ!」という感じがして、面白かった。
上手く言えないんだけど、日本に比べて、歳を取る事に悲惨なイメージが少ないんだよね。

あと、ウォーレンの娘ジーニーの婚約者のランドール。
ああいう男性も、アメリカの田舎にゴロゴロいそうなタイプなんだよね。
ヘアスタイルも変だしいい人なんだかいい加減な奴なんだか、よく解らんようなキャラ。
あの家族もいいのか悪いのか解らんような。
息子の婚約相手の父親の前で、いきなりヌードになるようなおばちゃん(キャシー・ベイツ)も、
結構いそうな気もしたりして。

そんな印象を持ったので、この映画を一言で言うと、
アメリカを非常にリアルにコミカルに映し出した映画ではないか~、と痛感した次第である。


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