Tapestry

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The Motorcycle Diaries




後にキューバ革命の指導者となったチェ・ゲバラが、
医学生時代の南米バイク旅行を記した『モーターサイクル南米旅行日記』を
下敷きに作られた作品。
この旅が、世界を変えたい、革命を起こしたいと言う気持ちに大きな影響を与えたと言える。
ゲバラを演じたのは、「天国の口、終りの楽園」のガエル・ガルシア・ベルナル。

1952年、アルゼンチン、ブエノスアイレスの医学生だった
エルネスト・ゲバラは友人のアルベルト・グラナード(ロドリゴ・デ・ラ・セルナ)と共に、
おんぼろバイクで南米横断の旅に出る。
お金も止まる場所もない、無計画で無鉄砲な旅。
道中、突風でテントが飛んでいったり、バイクが故障して歩く羽目になったり、
様々な困難が待ち受ける。

自分の国に居ながら住む場所を奪われ、仕事を貰うために砂漠を歩いて旅する夫婦の悲しい目、
たまたまボランティアとして働く事になった、サン・パブロの医療施設での
病人達との出会い等など、そういう貴重な出会いを経験して、
自分達が知らなかった南米のもうひとつの世界に初めて触れたときに、
2人の中で何かが変わっていく。

伝説の革命家の原点ともいえる旅だが、この映画では、どちらかといえば
そういう思想的な部分よりも、夢と好奇心を持ったごく普通の2人の若者、
エルネストとアルベルトが成長していく過程のロードムービー、
青春のひとこまとして描かれている様に思う。
上手く言えないのだが、それだからこそ、失われた遺跡に対する儚い想いを感じ取ったり、
貧しい人々に出会って心を揺り動かされたり、
病気で苦しんでいる人々を何とかしてあげたいと思ったりする、
そんな彼らの気持ちの変化を、一人の人間として敏感に感じ取る事が出来るのだ。
彼らの道程と共に観る側も何かを感じ取り、考えさせらる、そんな映画だった様に思う。

男性的で硬派だけど、心優しい作品・・・一言で言えばそんな感じだろうか。
壮大な南米の山々や遺跡がとても美しかったし、
それがまた、穏やかな気持ちにしてくれる。
革命家として、最後は処刑されたチェ・ゲバラだが、
今でも人々に愛される彼の魅力がよく表れていた。
一見の価値在り、である。


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