February 9, 2006
XML
お つ き さ ま。

午後、冬晴れの青空にうっすらと見える、白い月を指して母親が言う。

しかし、その幼い女の子は、てんで納得がいかない。

成る程、その子は夜の月だけを月だと認識していたのだ。星空に明るく光る月を。

そういえば、絵本だって映画だって、月といえば夜空に輝くところしか描いていない。

なぜだろう? 美しいから?

しかし、その輝きは 太陽の光。月自身が発しているものではない。

そう考えると、昼間のこの白い月のほうが、本当の姿に近いのだろう。

そんなことは誰でも解っているさ。解っていながら人々は、夜の月だけを見つめる。

女の子が母親に言う。

あれは、お空に映った 地球だよ。

それを聞くと母親は、白く消えそうな月をしばらく見つめていた。

そう、そうだったかもしれない。

そして、悲しそうに笑った。









お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  February 10, 2006 02:09:43 AM
[大人のための童話集] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: