『未熟なボクら ―もう一つのNARUTO-ナルト物語― 』
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第51話「犠牲」
「まずは状況確認だ」
シカマルは真ん中で腕を組み語り出す。
「昨日の戦闘において、味方の重傷者はリー一名だけ。けど手術が成功して、もうだいじょうぶだ。他の者は砂のヤツらも含めてかなり痛手を負ったが、命に別状はねぇ。んで敵は六名のうち五名を捕獲。一名は死んだ……」
夢之助は、かすかに震える。死んだ敵は、夢之助が発した光とともに消えた。
「敵の医療忍者をキバの治療にあてさせキバは回復。オレたちは深手は負ったもののこうして皆無事だ。んで、木ノ葉と霞の国の話に移るが……」
夢之助は、ますます体を固くする。
「爆弾の正体が分かった以上、木ノ葉に弱みはねぇ。遠隔装置の話もただの脅しで、うそっぱちだったそうだ。危険分子である霞の国は昨日のうちに任務帰りのアスマ、カカシ、ガイを中心とする小隊が攻め落とし降伏させた。暗部の調べによると、夢之助みたいな存在は他にいないらしい。いや、正確にいえば、芽の国を全滅させたとき、夢之助と同じ存在だった子供が呪印の発動とともに爆破して……死んだそうだ」
皆はしんとする。夢之助は、うつむいたまま微動だにしない。
「つまり、小さな霞の国は、大国を落としのし上がるために大きな武力が必要だった。そこで研究を重ね、十数年前ついに人間を強力な爆弾にする術を編み出した。その術で発動される爆発は、強烈に発せられる光の中、爆風もなく爆音だけが響き、地面がえぐり取られることもなく……人間だけを爆死させ、そして術発動者も同時に爆破して跡形もなく散ってしまうらしい……。だから国の者は当然誰も犠牲になりたくねぇ。一度術をかけられた人間は、呪印を解かない限り爆発とともに自らも死ぬことになるからだ。だからよそ者の子供を犠牲にした。一人は霞の国の男と岩の国の女との間に出来た子供。もう一人は、同じく霞の国の男とうちは一族の女との間に出来た子供……夢之助だ」
夢之助はビクッとし、サスケは子供を見つめる。
「霞の国は、他国との結婚を認めてねぇ。他国に秘密を知られたくなかったからだ。だから夢之助の両親も、もう一人の子供の両親も、身を隠して子供を生んだ。だが霞の国の連中は親を殺し、子供に術を仕掛けた。それが夢之助の呪印の正体だ。さらには勝手に爆破出来ないよう呪印の発動方法は教えられず、今回の任務で発動されてからは十日後に爆破するように術が仕組まれていたそうだ」
皆、息を呑み夢之助を見つめる。
「夢之助の任務は、木ノ葉の里を、身をもって壊滅させること。そのために霞の国は、用意周到な計画を立てた。夢之助の呪印を発動させ、そこから計画の実行は始まる。あらかじめ効果の弱い起爆札で夢之助の体に怪我をさせ、芽の国の生き残りとしての役を演じさせた。暗部が夢之助を情報源として木ノ葉に連れ帰ることも、敵の作戦だったんだ」
シカマルは腕を組み、何かを睨むように前を見つめる。
「……でも、この子そんな状況だったのに、なんであわてたり助けを求めたりしなかったのかしら……」
いのが首をかしげる。
「……コイツ見てみろ。夢之助やもう一人の子供は、生きる幸せなんて何一つ与えられずに育てられたんだ。任務を忠実にこなせるように。だから、命捨てることに躊躇ない。一方で、生きることにむなしさを覚える。だから呪印の発動方法はもちろんのこと、それができる能力、つまり忍術はいっさい教えられなかった。ようするに夢之助は、自分で爆発を止めることが出来ないが、そのことになんの感情も持たないよう教育されてきたんだ」
皆の脳裏に、冷めた夢之助の態度が思い出された。何事にも執着しない夢之助。笑わない夢之助。菓子を食べたこともなかった夢之助。
「お前、呪印を解除しようとしたのではなく、爆破までの時間を早めさせたのだな」
ネジは夢之助を強く睨む。夢之助は無言のまま、相変わらずうつむいている。
「けどさ、爆破したら、本人は死ぬんだろ? だけど夢之助は、生きてるってばよ」
ナルトは、夢之助をかばうように言う。
「それが少しややこしい話なんだが……。ちょっと頭あげてくれ、夢之助」
シカマルは夢之助の額に手を当て、髪をかき上げる。
ナルト『次回は……急展開! 任務命令に逆らってオレたちは……!!』
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ハロウィンイラスト るろうに剣心 October 29, 2012
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