大英家族博物館

大英家族博物館

隣人編2



自分の国だって近所トラブルはブルー。
それなのにイギリスでこんな目に遭おうとは。
住めば都と言うじゃないかと自分を励ましつつ、日々を過ごしていた。

あの一件依頼、エレベーターで挨拶しても、
道で挨拶しても完全無視のサイコ。
なんか子供じみてる人だなと言うのが正直な感想だった。
しかも夫には挨拶する。感じ悪い事この上ない。

そんなある晩、真夜中2時ごろドアチャイムの連打が!
こんな夜中に何事??と怖いので最初は無視するも
連打は止まずついにイブちゃんも起きて泣き出す始末。
夫がついに対応に出た。

ドアの前にはサイコ。
今何時だと思ってるのよ!アンタ達のせいで眠れないじゃないの!etc...
あまりの剣幕にびっくりするも
「うちは寝てましたよ。他の方じゃないですか?
こんな夜中に大声を出して。迷惑です。
子供も怖がってるし、お引取り下さい。」と丁寧ながらも毅然と言った。
(偉いぞ、キウイ君!)

しかし、サイコはそんなわけ無いだの、
嘘つくなだの騒ぎ立てて帰る気配も無い。
最後には「それ以上怒鳴るなら警察呼びます。」と夫
これには悪態をつくサイコも一瞬ひるみ。
こっちが警察に電話してやる!といって帰っていった。

数日後不動産屋から手紙。
夜中の2時まで騒ぐなんて非常識な事はやめること。
子供を騒がせない。
サイコとの約束どおり一ヶ月以内に家中にカーペットをひく事。
閑静な住宅地にふさわしいマナーで生活せよ。
との内容だった。

カチーン!!ときましたよ。
人の話も委細聞かないで、突然こんな失礼な手紙。
一体あなたのお客はどっちなのよ?
第一カーペットの約束???知らないよそんな事!!

イギリスでは家を借りる場合家具つきの物件が非常に多い。
うちはわざわざ探してアンファーニシュッド(家具なし)の物件だった。
それにしたってうちがカーペットなんて引く筋合いの話じゃないし、
どうしてもと言うなら大家がやるべき問題だ。

早速苦情の電話を入れると、
担当者も最初はかなりきつい口調だったが最後にようやく事の次第を話した。
「あまりにしつこくサイコが連絡してくるので根負けした。
ここだけの話、彼女は偏執狂ですよね」

はぁ??もう勘弁してよ。
そういう事を処理する為に高いマネージメント料取ってるんでしょ!
しっかり対応するように、
またサイコにも変な事をしないようにきちんと言え!と釘をさした。

すると、数日後の夕方玄関から一通の手紙が差し込まれた。
内容は思い出すのも腹立たしい誹謗中傷、人種差別的発言、
及び娘に対する誹謗だった。
しかも名前は無いプリントされたものだった。卑怯にも程がある。
差出人はサイコしかいないだろうに!!

あまりの内容に涙が溢れながらも私は完全に怒った。
自分の事なら我慢もなるけれど、
まだ何にも分からない娘の事をいい年をした大人がここまで言うとは!
許せない。

夫が帰るのを待ち、サイコ宅に行ってもらった。
しばらくサイコの泣き声その後怒鳴り声が聞こえたが
1時間近くたっても夫は戻らない。
何かあったのか?と心配になり階下に下りるとそこには見知らぬ男性が。

サイコのだんなにしてはおじいさん過ぎるし、
誰?と思っていると
夫が最上階の方だよ。と紹介。
???と思いつつも挨拶をして別れる。

家に帰って夫の話を聞くと、
サイコは手紙を出したのは自分であるとすぐに認め、
うちが来るだろうと予想して片っ端から近所の家を訪問。
うちが怒鳴り込みに来るから助けて!と呼びにまわったらしい。
結局断られたり、いなかったりで最上階まで行き
人の良さそうなおじいさんを掴まえたらしいのだ。

おじいさんも、サイコとは初対面ながら決死の形相だったので
ひとまず家で一緒に待ってあげたそうだ。

ところが、うちの夫は怒鳴り込みなどせず、
淡々と手紙の主はサイコか確認し、
その上でこのような事は犯罪であるし、常軌を逸している。
うるさいと言うならば、
うちも最大限の努力をするのでもう少し友好的に話し合おう。
云々と言ったらしい。

ただ泣き喚き、怒鳴りまくるサイコと冷静な夫を見たおじいさんは
事を悟ったらしく、
サイコにこういう非常識な事は止めなさいと諭してくれた。
夫にはここだけの話にして欲しいが、
彼女は多分誰かの助けが必要でしょうね。病気です。
と話したそうだ。

夫と検討した結果、何かあってからでは遅いと言う事になり
警察に通報する事になったのだ。

日本人馬鹿にするなよ~!反撃開始だぁ!!


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