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2022.01.20
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上阳赋 The Rebel Princess
第39話「公主選び」

その夜、宮殿で忽蘭(クラン)の使節団を歓迎する宴が開かれた。
王儇(オウケン)は顧采薇(コサイビ)の着替えを済ませて大殿に向ったが、ちょうど門前で皇后・謝宛如(シャエンジョ)と出くわす。
宛如は旧情を温めるふりをして寛大な皇后を演じたが、王儇と別れると途端に眉を吊り上げた。

宴席には王夙(オウシュク)の姿もあった。
王儇は兄に中書・顧閔汶(コビンムン)の妹である采薇を紹介してから豫章王・蕭綦(ショウキ)と上座の席に向かう。
すでに着席していた王倩(オウセン)は優雅に歩いてくる王儇に気づいて悪態をついたが、母に諌められた。
すると豫章王夫妻の正面の席に不敵な笑みを浮かべる賀蘭箴(ガランシン)の姿がある。
蕭綦は賀蘭箴を睨みつけながら座ったが、王儇はあからさまに視線をそらした。

宴席に皇帝・馬子隆(バシリュウ)、皇太后、皇后がお出ましになり、いよいよ祝宴が始まった。
すると皇帝が頃合いを見て士族の娘たちに特技を披露させる。
くじ引きにより王倩は舞踊、采薇は″水のほとり″という題で画を描いた。
才色兼備の娘たちに目を細める皇帝、そこで実は王子の来訪は忽蘭へ嫁ぐ公主を選ぶためでもあったと公表する。
公主はすでに采薇に決まっていたが、皇帝が発表しようとした矢先、突然、賀蘭箴が話を遮った。
「陛下にお願いがあります、王氏の女人を公主に封じて頂きたい」
賀蘭箴は王氏の女を嫁に迎えて大成と姻戚になった暁には軍を100里退け、この先は戦を起こさないと約束する。
予想外の展開に言葉を失う皇太后、子隆は母の手前、返答に困ったが決断した。
「いいだろう」
その瞬間、絶望した薛(セツ)夫人の悲鳴が殿内に響き渡った。

突然の変事で采薇は難を逃れた。
しかし代わりに王倩が嫁ぐことになり、従姉としては王儇も辛い。
「私のせいで巻き込まれたのね…」
蕭綦は大成一の士族である王氏の娘を望むのは当然だと否定し、気立が良くない王倩が入宮すればむしろ災いの種になると言った。

子隆は永安宮に母を訪ねた。
皇太后は側室選びの苦労が水の泡となり落胆していたが、子隆が国の平和を優先したことを喜んでくれる。
しかしその笑顔の裏にはある思惑があった。
実は皇太后は王倩をあきらめても、また王氏の中から娘を選んで入宮させるつもりだという。
「宛如の子が公主なら何の問題もないけれど、もし皇子なら太子に封じてはだめです」
「母后、宛如は皇后なのですよ?!」
「″今は″皇后よ」

その頃、昭陽殿に戻った宛如は笑いが止まらなかった。
賀蘭箴が皇太后に一泡吹かせ、悩みの種だった側室問題をあっけなく片付けてくれるとはありがたい。
思えば謝貴妃は愛情深い人だったが、分かっていなかったことがあった。
後宮の女は誰であれ、本気で皇帝を愛すれば行く末は惨めなだけだ。

王倩は皇太后に助けを求めようとしたが、門前払いされた。
仕方なく屋敷に戻り荒れ狂う王倩、しかし王夙はなす術なく静観を決め込む。
一方、王儇も悶々とした夜を過ごしていた。
いくら倩児を許せなくても、以前の自分を見ているようで眠れない。
…王氏の女は朝廷の犠牲になる運命なのだろうか、私には何もできないの?…

早朝から薛夫人が豫章王府に乗り込んできた。
侍女たちは王妃を起こさぬよう止めたが、薛夫人は寝殿の前でひざまずき動かない。
その時、まだ着替えも済ませていない王儇が戸を開けた。
「王妃!夫に先立たれ、息子も戦死してしまった…もうあの子しかいないのです!
 あの子に何かあれば…私は生きていけない!」
叔母の必死な姿を目の当たりにした王儇はかつて自分を守ろうとした母の姿を思い浮かべた。

拷問を免除された謝守正(シャシュセイ)は調べに応じなかった。
蕭綦は手下を追い詰めるよう指示、明日は自ら大理寺へ向かうと決める。
永安宮、皇太后は王倩が一晩中、泣き叫び、死ぬと騒いでいたと聞いた。
やはり阿嫵(アーウォ)とは雲泥の差、すると侍女が駆けつけ豫章王妃が参内していると報告する。
「倩児の件で来たのね…」

王倩の公主冊封の準備は早急に進み、婚礼の支度はすでに整っていた。
すると珍しく王儇が謁見を願い出ているという。
子隆は喜んで書室に通したが、王倩の婚姻の件だと分かっていた。
「この件は望む答えをやれぬ…」
「…皇帝らしくなりました」
すでに子隆は国を第一に考える立派な皇帝になっていた。
和親を反故にすることなど不可能だと分かっていたが、王儇はやはり何も言えなくなってしまう。

宛如は王妃と一緒に参内していた蘇錦児(ソキンジ)を密かに呼びつけた。
安平王・馬子澹(バシタン)を餌にすれば錦児を操るのは簡単、そこで今や子澹の帰りを待ち望んでいるのは自分たち2人しかいないと告げる。
「あの女は別の男の腕に抱かれ幸せを味わってるのにね…」
すると錦児は安平王が過去の栄光を取り戻せるなら何でもすると誓った。
「…ふふっ、私が王儇を殺せと言っても?」
さすがに錦児が動揺すると、宛如は悪い冗談だと笑った。
しかしその程度の覚悟なら用なしだと突き放す。
焦った錦児はその場にひざまずき、代わりに重要な秘密を明かした。



昭陽殿に戻った宛如は上機嫌だった。
錦児の情報では豫章王が王儇に避妊薬を飲ませているという。
さすがは頭が切れる豫章王のこと、王儇との婚姻が吉か凶か分からないため用心したのだろう。
すると外から激しく泣き叫ぶ声が聞こえて来た。

皇太后に見捨てられた王倩は皇后に助けを求めた。
すると宛如はある企みを思いつく。
「泣かないで…私もあなたが心配で眠れなかったの、でも良い方法を思いついたわ」

つづく


(´-ω-`)ジンR…恩義より男とは…





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最終更新日  2022.01.20 13:08:06
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