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2024.03.09
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花琉璃轶闻 Royal Rumours
第12話「発揮された実力」

県主・花琉璃(カリィウリ)と郡主・田嘉敏(デンカビン)が行方不明になった。
皇太子・姫元溯(キゲンソ)は琉璃を救うため寝る間も惜しんで奔走、一方、母妃に関わらないよう釘を刺された英(エイ)王・姫元灝(キゲンコウ)も許嫁と同志を救うため捜索に参加する。
しかしようやく見つけた隠れ家はすでにもぬけの殻だった。
元溯は争った形跡がないことから2人が無事だと確認できたが、そこへ新たな情報が届く。
「殿下、轍(ワダチ)が南へ続いています」
そこで元溯は二手に別れて探そうと提案し、英王には南へ行くよう頼んだ。

姫元溯は南州なら刺客と遭遇せず比較的安全なため兄を向かわせた。
「黒甲軍の精鋭を率いて山嶺(サンレイ)州へ」
しかし皇太子が留守の間に都にいる間者の半数が始末されてしまう。
一方、琉璃たちを乗せた馬車は山道を走っていた。
女の刺客はこの仕事を終えれば兄と共に自由になれると話したが、琉璃に隴西(ロウセイ)の出身だとばれてしまう。
「ところどころ隴西の訛りがあるから…でも本当に簡単に解放してもらえるのかしら?」
琉璃は安泰な暮らしができるよう自分の令牌を渡し、刺客の警戒を解いた。
「なぜ私を助ける?」
「私が花琉璃だと気づいていたのに黙っていてくれたでしょう?」
「…もう行くわ」
すると刺客は茶碗の破片を嘉敏に渡して車から出てしまう。
(* ゚ェ゚)<…これ、なぜ私にくれたの?
(^ꇴ^)<丈夫そうな方に渡したのよ

琉璃たちの馬車は林の中で止まった。
すると待ち構えていた別の男たちが琉璃と嘉敏を馬車から降ろし、ひとまず腹ごしらえを始める。
琉璃はその間に嘉敏から破片を受け取り、縛られた腕の縄を切り始めた。
しかし男たちが酔った勢いで琉璃たちをからかいにやって来る。
気が強い嘉敏は思わず両親が許さないと挑発、男たちが面白がってちょっかいをかけた。

一方、姫元溯は玉京を急いで離れるならこの道を使うはずだと確信していた。
しかし斥候の調べで山嶺州の出入りの記録に花県主と田郡主らしき者がいなかったと分かる。
小八(ショウハチ)は他を探すよう進言したが、その時、元溯は道端の木の枝に引っかかった手巾を見つけた。
すると手巾に発発(ファーファー)の刺繍がある。
…琉璃が残したのか?!やはりこの道で正しい…
実は琉璃は刺客の目を盗み、車の窓から手巾を捨てていた。

嘉敏は男たちにからかわれ、悲鳴をあげていた。
しかし突如、琉璃が目の前に現れたかと思うと、男がばったり倒れてしまう。
…私を怒らせたわね…
縄を切った琉璃は護身用に隠し持っていた軟剣を履き物から引き出し、鮮やかに男の首を切り裂いた。



琉璃は見事な武功で男たちを片づけた。
物陰に隠れていた田嘉敏はこれまで琉璃をいじめて来たことを深く後悔し、報復を恐れて泣き出してしまう。
しかしその頃、琉璃は怪しい人影を追っていた。

琉璃は自分たちを見ていた仮面の男を見つけ、剣を突きつけた。
「何者?…ん?賀遠亭(ガエンテイ)でしょ?!」
正体を見破られた賀遠亭は仕方なく仮面を外した。
「ひょっとしてあなたが私たちをさらわせた?」
「今やそなたは鴻臚寺卿(コウロジケイ)、金珀(キンハク)国の仕業に見せかけ殺されるやもと案じたのだ
 だいたい我らが殺すならわざわざこんな所まで連れて来るものか
 そなたは私の女ゆえ灰と化しても分かる…では失礼」
「万国朝拝会には来るでしょう?」
「いいや」
「あの5人の間抜けな刺客を始末してもいいのね?」
すると賀遠亭は悔しそうな顔で帰って行った。

琉璃は嘉敏の元へ戻ると、何事もなかったかのように病弱な花県主を装った。
呆気にとられる嘉敏だったが、辺境でつちかった琉璃の生き残り術のおかげで一夜を乗り切り、翌朝にはちょうど通りかかった夫婦の荷車に同乗させてもらうことに成功する。
親切な奥さんは2人に焼餅(シャオビン)や果実をくれた。
嘉敏は夫婦が娘への土産を分けてくれたと知り、自分の高価な耳飾りを外して荷物に忍ばせておく。
こうして琉璃と嘉敏は山嶺州の城門に到着、すると検問を見守る皇太子の姿を見つけた。
(^ꇴ^)ノ″<太子殿下~!

姫元溯は琉璃の無事な姿に安堵し、思わず駆け寄って抱きしめた。
「殿下、またお会いできて良かった」
「余も同じだ」
嘉敏は琉璃と皇太子の熱い抱擁に驚き、また秘密が増えてしまったと困惑してしまう。
…命を保てるかしら…
一方、英王はまだ南州で必死に琉璃たちを探していた。

琉璃は無事に屋敷へ到着、鳶尾(エンビ)と再会した。
しかし琉璃が郡主に助けてもらったと嘘をついたため、嘉敏は捜査への協力を求められ大理寺へ連れて行かれてしまう。
その頃、尚書府では田尚書(デンショウショ)と順安(ジュンアン)公主が娘の無事を喜んでいた。
聞けば娘が猛獣から花県主を守り抜いたとのこと、2人は立派に育った娘に感激し、手を取り合って涙する。
まさか娘が英雄になったおかげで遺体の確認まで押し付けられ、散々な目に遭っているとは知らずに…。

姫元溯は琉璃を心配して花府を訪ねた。
それにしても骸を見ることもできない郡主が獣に立ち向ったとは到底、思えない。
小八の話では骸に残っていた噛み痕は死後についたもので、死因は刺殺だった。
「県主にお尋ねを?」
「県主は答えまい」
「ではなぜここに?」
すると目を覚ました琉璃がやって来た。

琉璃は姫元溯が不眠不休で自分を探していたと知り、密かに安眠香を焚いた。
すると元溯は琉璃に探りを入れながら、そのまま居眠りしてしまう。
一方、屋敷に戻った賀遠亭も舞姫・絳紗(コウサ)が焚いた媚薬の匂いでむせていた。
「私には効かぬぞ、誘惑の術は縉(シン)国の太子か皇帝に使え」
絳紗はあっけなく追い出され、外に控えていた従者に不満を漏らした。
「効果があるはずでは?」
「二殿下は花琉璃という女にだまされて以来、女子に警戒している
 そなたはおとなしく待て、機嫌を損ねるな」



田嘉敏が大理寺から解放される頃にはすっかり日も暮れていた。
すると門前で英王が待っている。
嘉敏はてっきり英王が自分を心配して迎えに来てくれたと思ったが、姫元灝はあっけらかんと琉璃がここにいると聞いて駆けつけたと言った。
「か弱い花琉璃なら花府にいます…もう殿下とは会いません!」
しかし鈍感な元灝にはなぜ嘉敏が急に怒り出したのか分からなかった。

田嘉敏は尚書府の馬車にも乗らず、夜の町を独り歩いた。
…私って何て馬鹿なの、初めから私のことなんて眼中にないのね…
すると嘉敏は人気のない通りでしゃがみ込み、号泣してしまう。

つづく


( ๑≧ꇴ≦)やっと本編が始まったわ!w





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最終更新日  2024.03.10 18:11:52
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