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2024.03.14
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カテゴリ: 安楽伝 全39話


安乐传 The Legend Of Anle
第15話

慕青(ムーチン)は中庭で警戒しながら、誰が帝承恩(ディチォンエン)の命を狙ったのか考えていた。
琳琅(リンロウ)が助けてくれたのなら洛銘西(ルォミンシー)ではない。
そんな中、帝承恩のもとにふたたび赤い傘の書き付けが届いた。
…10年前の傘の縁により京城で帝小姐を庇護できればと…

一方、洛銘西を誤解していた任安楽(レンアンルー)は翌日、翎湘楼(レイショウロウ)へ足を運んだ。
気まずい安楽は黙って店に入ったが、侍女から席を準備してあると言われてしまう。
上階ではすでに洛銘西が待っていた。
「私が悪かったわ…ごめんなさい、あなたの言動は全て私を思ってのことよね?」
洛銘西は安楽のお詫びの一杯を受け取ったが、帝承恩には用心するよう釘を刺した。
しかし安楽は自分の身代わりになってくれた帝承恩に力を貸すべきだという。
洛銘西は仕方なく従うと約束したが、実は鍵を握るのは韓燁(ハンイェ)より安寧(アンニン)だと明かした。
「幼なじみの情に流されてはならぬぞ?」



その頃、安寧の侍衛・冷北(ランベイ)は妹を利用した姜瑜(キョウユ)の屋敷に潜入していた。
「…まさか大靖(セイ)の左丞相(サジョウショウ)が北秦(ホクシン)人とはな」
冷北は音もなく忍び寄り、姜瑜に短刀を突きつける。
「これは殿下、おめでとうございます、古婉瑩(コエンエイ)が太子妃の座を諦めた
 莫霜(バクソウ)公主が太子妃の座に一歩、近づきましたね?」
冷北は帝承恩に刺客を放ったのが古雲年(コウンネン)ではなく姜瑜だと気づいた。
ちょうど古雲年の地位が揺らぎ、西北から安寧が帰還したことで、不意打ちを食わすことにしたという。
「殿下こそ、公主のそばで5年も潜伏しておられますね?
 まさか殿下一人のお力で莫霜公主の身を守れると?莫霜公主のお命を握っているのは…」
「私には計画がある、妹を巻き込むな!」
「殿下、焦りは禁物です、それより力を貸すべきは他にいる…帝承恩です」
帝家は開国皇帝と共に天下を取った家柄、しかし今や帝家の血を引く者は帝承恩だけとなった。
実は西北の辺境には帝家の配下が今も大勢いるという。
「恐らく″傘の縁″による手助けに感激することでしょう」
「帝承恩はお前に任せる、西北の情勢は私に任せろ」

皇太后・孫瑜君(ソンユクン)は古雲年の娘が皇太子妃候補を辞退したと知った。
誰かが帝承恩を助けていると疑った皇太后は後宮の主が誰かを知らしめるべく、早速、古雲年を呼んで悪巧みする。
翌日、琳琅は帝承恩が皇太后に召し出されたまま半日も戻らないと報告した。
すると洛銘西は静養中の琳琅に代わり、錦瑟(キンシツ)に安寧と安楽に情報を知らせるよう指示する。
皇太后が帝承恩を呼んだと知れば安寧は激怒するはず、安楽にその様子を見せて安寧が内情を知っていると分からせたいという。
琳琅は自分に仕事はないか聞いたが、洛銘西はゆっくり休むことだと笑った。

韓燁は帝承恩を心配して静心(セイシン)堂に駆けつけた。
すると写経していた帝承恩が皇太子の姿に驚き、うっかり袖を墨に漬けてしまう。
皇太后は帝承恩が自ら仏前で写経しながら国の安泰を祈りたいと申し出たと嘘をつき、新しい衣を下賜するので着替えるよう促した。
そこで韓燁は帝承恩を連れて帰ると言ったが、帝承恩は皇太后の顔色をうかがい、衣をもらうと答えてしまう。

皇太后は皇太子に帝承恩の着替えが終わるまで偏殿で待つよう勧めた。
一方、帝承恩は下等宮女の衣をあてがわれ、孫(ソン)女官からここで写経を続けるよう命じられてしまう。
帝承恩は大人しく従ったが、皇太后の仕打ちに恨みを募らせた。

すっかり日も暮れた頃、静心堂の前が急に騒がしくなった。
皇太后は何事かと門を開けたが、驚いたことに剣を構えた安寧が衛兵に囲まれている。
安寧は久しぶりに顔を見せたかと思えば帝承恩を解放するよう要求、しかも自分に剣を向けた。
「母を失ったそなたを哀家はずっと甘やかし、かばってきた、何でも望みを聞いたわ
 西北への出征も皇上にお願いした、公主として広い世界を知るべきだとね
 なのに戻ってきたらここまで不孝者になっていたなんて…」
皇太后は激しく憤り、なぜそこまで自分を恨んでいるのかと迫った。
ようやく冷静になった安寧は剣を捨てると、帝承恩の無事を確かめたいだけだという。
皇太后は愛孫の変わりように驚愕し、仕方なく孫女官に安寧を帝承恩に合わせるよう命じた。

安寧は帝承恩の無事な姿に安堵し、連れて帰ることにした。
しかし帝承恩は安寧の手を振り解き、孫女官に写経が完成したらすぐ持って行くと伝える。
そこへ騒ぎを聞きつけた韓燁がやって来た。
帝承恩が女官の衣を着せられ、写経を続けていたと知った韓燁は激怒、焦った孫女官は帝承恩自ら写経を書き終えたいと言ったと釈明する。
安寧は嘘に決まっていると憤慨し、帝承恩を強引に引っ張って出て行った。



韓燁と安寧は帝承恩を宮殿の外で見送ることにした。
すると帝承恩が長時間の写経で脚に力が入らないと訴える。
何とか皇太子に近づこうと企む帝承恩、しかし慕青が駆けつけ、仕方なく引き上げた。

慕青は道すがら2人で瑇(タイ)山へ帰ろうと言った。
驚いた帝承恩は慕青の手を握り締め、戻りたくないと訴える。
「私にはあなたがいてくれる、そうでしょう?」
「君が望むなら私はずっとそばにいる」
帝承恩は慕青の情に甘えながら、誰とも知らない赤い傘を頼ろうとしていた。
…もう誰にも踏みにじられてたまるものですか…

韓燁が独り歩いていると、宮道で待ち構えていた安楽がひょっこり現れた。
そこで正直に帝承恩を娶るのは償いのためだと認め、安楽には自由に生きてほしいと願う。
「皇宮は君を苦しめる、君は貴族や富豪の令嬢ではない、海賊でいる方が幸せだ」
「太子殿下、忘れないで、この世に任安楽はただ一人…
 今、手放せば二度と手に入らない、それでもいいのね?」
すると安楽は寂しそうに帰ってしまう。




洛銘西の目論見は外れた。
安楽は安寧が必死に帝承恩をかばう姿を見て、安寧だけは傷つけたくないという。
一方、公主府では安寧が悪夢に襲われていた。
『誰にも知られぬよう文を届けて…』
当時、皇太后に育てられていた安寧は偶然、皇祖母が宦官に文を渡す様子を見てしまう。
良喜(リョウキ)は公主に見られたと気づき慌てた。
『公主、重大な秘密です、世に漏れたら韓家の天下は守れません』
すると良喜は首を吊って自害してしまう。
「何も知らない…何も見ていない…」
安寧がうなされていると冷北が寝殿に入ってきた。
姜瑜の話ではこの香を使えば当分、目が覚めないという。
そこで冷北は安寧が寝ている間に書卓にある上奏文を探った。

明日の皇太子妃選びを前に都中が舞い上がっていた。
しかし皇太子が任安楽に招待状を渡していないことが広まり、皇帝の知るところとなる。
「太子め、帝承恩を太子妃にするためなら何でもする覚悟らしい」
すると安楽が太子府に押しかけた。
安楽は江南での皇太子と女海賊の物語を渡し、噂になりたくなければ招待状と交換だと脅す。
…太子は酒をあおるとほろ酔い気分となり、衣を解きつつ任安楽を壁に押し付け…
「どう?気に入った?明日100部くらい刷って配れば話題になるわ~」
「分かった」
喜んだ温朔(ウェンショウ)は早速、安楽の招待状を取ろうとしたが、韓燁が止めた。
「″分かった″と言ったぞ、刷ればいい」
「太子殿下…本当にいいのね?」
「やましくないから評判など気にせぬ」
「お?言ったわね?…太子殿下が忘れたならあの夜のことを思い出させてあげる」
安楽は珍しく引き下がらない韓燁に抱きついた。

つづく


(  ̄꒳ ̄)いよいよ太子妃選びだわ~
やっぱり安寧が鍵を握っているのね





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最終更新日  2024.03.14 21:03:24
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