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2024.03.23
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花琉璃轶闻 Royal Rumours
第21話「流れ星に願いを」

皇太子・姫元溯(キゲンソ)は無事、和議の締結に漕ぎつけた花琉璃(カリィウリ)を労った。
琉璃は杜(ト)太師から先帝の鞭をもらったと報告したが、実は昔はあの鞭で杜太師が不届きな官吏を戒めていたと知る。
「そなたに贈ったのは認めてくれたからだろう」
そんな中、科挙の結果が発表され、花長空(カチョウクウ)は見事に首席で合格した。

杜府では杜琇瑩(トシュウエイ)が付ききりで祖父を介抱していた。
しかし杜太師が自分に構わず出かけるよう勧める。
「薬なら自分で飲める、早く行きなさい」
実は科挙の合格と和議調印の祝いを兼ねて群英食肆(グンエイショクシ)で宴が開かれていた。
姚文茵(ヨウブンイン)はなぜ英(エイ)王・姫元灝(キゲンコウ)と田嘉敏(デンカビン)が花家のために尽力するのか分からなかったが、嘉敏は自分を気にかけてくれない英王への怒りでそれどころではない。
一方、琉璃はせっかく祝宴に顔を出してくれた杜琇瑩の姿がないと気づき、探しに出かけた。

杜琇瑩は前庭で独り祖父を心配していた。
すると琉璃が現れ、気分転換に屋根に登って星を見ようと誘う。
屋根はおろか梯子さえ登ったこともない杜琇瑩、しかし琉璃に促されるまま一段一段ゆっくりと登っていくと、ついに屋根に上がった。

琉璃は幼い頃、青寒(セイカン)州の城楼に登って出征した家族の帰りを待ったものだと懐かしみ、誰にとっても家族は恋しく、離れ難い存在だと言った。
「ありがとう、慰めてくれて」
「泣きたい時は泣けばいいのよ?」
杜太師は孫娘に感情を表に出すべきではないと教えて来た。
しかし自分の死期を悟り、これからは外へ出て自分の代わりに世の中を見て欲しいと頼んだという。
杜琇瑩はこれからは祖父の目の代わりになると話し、思わず涙した。
その話をちょうど琉璃を探していた姫元溯が軒下で耳にする。
元溯は杜太師を案じ、明日一番で太師府に侍医を送って手を尽くさせるよう命じた。

田嘉敏と姚文茵も琉璃たちを探して外へ出た。
すると屋根から琉璃の声が聞こえる。
梯子を見た姚文茵は琉璃が相引きしていると疑ったが、一緒にいたのは嘉敏の従姉・杜琇瑩だった。
思いがけず屋根の上に集まった令嬢4人。
恋話に花を咲かせていると星が流れ、4人は急いで願掛けした。



翌日、姫元溯は琉璃を誘って太師府に見舞いへ出かけた。
琉璃は自分が杜太師から疎まれていると分かっていたが、病床の杜太師は皇太子や花郡主に厳しく接して来たのは誤りだったと認める。
「2人は見事にやってのけた…殿下がそなたのような伴侶に出会えて良かった」
そこで姫元溯は外出できない杜太師のために描かせた万国朝拝会で賑わう玉京の絵を見せた。
この百年、弱く貧しい国として侵略や略奪を受け続けてきた縉(シン)国。
長い苦しみを経てようやく繁栄を手に入れたが、今やこれほどの賑わいを見せていた。
「私は見誤っていた、やはり殿下は太子の器たる方です」

一方、金珀(キンハク)国の二皇子・賀遠亭(ガエンテイ)はこの数日の滞在で民たちの気質が分かったと感慨深かった。
「この地に暮らす者は寛容な一方で、決して仇を忘れぬ…」
確か50年前、縉国が干ばつの際、高昌(コウショウ)国が食料を贈った。
すると20年前の高昌国の内乱では縉国が平定を助け、さらに農具や木工、手工芸の職人を贈っている。
「高昌国は縉国の敵だ、仇を忘れたわけではないが、懐が深い、もし同じ国に生まれていれば…」

屋敷へ戻った琉璃は両親に杜太師を見舞ったと伝えた。
花応庭(カテイオウ)にとって杜太師は政敵だったが、見解の相違はあれど杜太師が多くの民を助けたことを知っているという。
「内心、杜太師を尊敬している」

琉璃は元気がない鳶尾(エンビ)を心配した。
すると鳶尾は盗まれた褲(ハカマ)の件に裴済懐(ハイセイカイ)が関わっているかもしれないと明かす。
「友だちだと言ってくれたのに…私を騙すなんて」
「実はね、太子殿下の策だったの」
鳶尾は安堵したが、ただの侍女では皇太子の腹心とは釣り合わないと卑下した。
しかし琉璃は自分の妹同然であり、青寒州では戦場で戦った校尉でもある鳶尾ならお似合いだと太鼓判を押す。
「直接、本人に聞きなさい、好きだと言われたら放してはダメよ」

一方、雲寒(ユンハン)は毒の発作に襲われ、気を失っていた。
すると裴済懐が現れ、皇太子に届けるよう命じられた薬をこっそり置いておく。
…雲寒、我々を失望させないでくれよ…

そんなある日、琉璃が屋敷を出ると賀遠亭が現れた。
「話がある、聞いてくれ」
賀遠亭は琉璃を連れて人目のない水辺の庭園に落ち着いた。
「初めて会った時、そなたの美しさに…」
「だから何?今さらそんな話をして意味があるの?」
すると賀遠亭は本題に入った。
「私も戦のために来たのではない、国の威信を取り戻したかっただけだ
 頼みがある…私が帰国してから力になってくれるなら両国の永遠の友好を約束する
 承諾してくれるなら秘密を明かそう、長年、隠されてきた縉国の秘密だ」
「いいわ、承諾する」
2人は手を打ち合わせた。

10年前の″雲倉嶺(ウンソウレイ)の役″での戦い、この時、琉璃の両親は死の瀬戸際に立たされた。
阿瓦将軍の父親はその戦で死んだという。
実は縉国のある野心家が漁夫の利を狙ったせいだった。
「密林でそなたに見つかった時、私は玉京に潜伏して調べていた
 当時、軍糧の輸送を担当していた連岳(レンガク)は今では縉国朝廷の官吏になっていたよ
 …朱(シュ)御史だ」
「(あの男だったの?)…ありがとう」

琉璃は自分で真相を確かめるべく足早に帰った。
阿瓦は第二皇子がなぜ花琉璃に秘密を教えたのか分からなかったが、賀遠亭は敵の内紛で漁夫の利が得られるという。
「郡主は賢すぎる…だますより真相を伝えた方がいい」




姫元溯は父皇が倒れたと聞いて宮中に駆けつけた。
皇帝は元気そうだったが、老体でつまずいた賢(ケン)妃を身体を張って支えるなど無謀すぎると呆れてしまう。
「しかし琉璃が現れて分かりました、愛なのですね、だから父皇は賢妃に尽くすのだと…
 だとすると私の母親は?」
「10年前、先の皇后は外戚と乱を起こし、混乱の中でお前の母は病で死んだ
 その死には裏がありそうだが、証拠は何もない」
すると元溯は自分に任せて欲しいと言った。

琉璃は安康苑(アンコウエン)で皇太子の帰りを待っていたが、諦めて屋敷に戻った。
確かに10年前、忘れもしない。
琉璃は軍糧を運ぶ途中に問題が起きて到着が遅れたと知り、両親と大兄が無事で戻れるのか心配でたまらず、城楼から動けなかった。
…花琉璃、何を迷うことがあるの?…
その夜、琉璃は誰にも言わず、黒装束に着替えて出かけてしまう。

つづく


( ๑≧ꇴ≦)エェェェェェ~!黒幕wwwww





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最終更新日  2024.03.23 21:43:49
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