すずね極楽世界

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2004年07月10日
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東京写真美術館で開催中の「世界報道写真展2004」と「奈良原一行展」に行ってまいりました。

「世界報道写真展」はやはりイラク関係の写真が多く、泣き出しそうなのにあまりにヘビーで涙すら出ませんでした。
全身やけどの末両腕を切断したイラク人少年、プラスチック弾で負傷した男性、頭から脳漿を垂らした幼子を抱いて泣き喚いてる母親、リベリアの内戦で生首を掲げて泣いている人、たくさんのたくさんの地獄が一つ一つのパネルの中に存在し、切り取られてここに持ってこられた地獄の実体は今もどこかで続いているのだということを眼前に突き出されました。

例えばニュースで「自爆テロにより300人が死亡しました」なんて言うと、そりゃひどいなとは思うけど300人が一つの塊になってしまっていて人間を感じさせない。
しかし、そのニュースの伝えるべきは、この写真に収められてるようなむごたらしい300の死体であり、それを抱き嘆くそれ以上の人たちの地獄である。
けれども平和な日本に居ながらにして入ってくる情報は無機的な統計でしかない。だから報道カメラマンの命を張った仕事が生きてくる。

私の尊敬するカメラマン、藤原新也さんは、そのエッセイで「我々カメラマンは戦争を売って生きている。腐肉を食って生きているゲンゴロウのようなものだ」というようなことを仰っていた。
確かにすでに仏になった人も、苦痛に泣き叫んでる人も、今にも死のうとしている人も、一種冷徹なくらいの目でフレームに切り取っていく。
人の不幸を金にしているという罪悪感と、これを世界に伝えねばという使命感は常に同居しているのだろう。
あまりにも非情だ、と糾弾されることだってあるかもしれない。だけど物事には必ず陰と陽の部分があり、その無残な写真によって反戦意識が高まって運動が起こるかもしれない。
少なくとも300人を十把一絡げにする報道よりもずっと人間的だと思う。

私も300人をひとまとめにせず、そこにあるはずの一人一人の生を描いていけるようになりたい、と思った。

なんだか報道写真のことばかりで奈良原一行さんのことにはろくに触れていないが、こちらも素晴らしかったです。
でもやっぱり、報道写真の衝撃が多きすぎてぼ~っとしちゃってましたね。いやはや。





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最終更新日  2004年07月11日 00時37分30秒
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