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November 22, 2009
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 先日、Yahoo! のニュースを読んでいたら、例の「島根県女子大生事件」に関するブログ集のリンクがあった。

 社会問題や政治、国際問題に関する専門的な意見を書く人が多いブログなのだが、一般の人もいろいろ書いている。

 たいていは、あの女子大生事件に関しては、「警察はガンバレ」とか、「あまりの酷さに、被害者の実名さえ書くこともはばかられる事件である」といった内容が多い。

 けれども、ただ一つ、私が「これは、ちょっと変じゃないの?」というブログがあった。

 それは、例の事件の内容に関し、ある程度医学的知識を持つ人が「事件を推理する」ような体裁をとっているのだが、変なのは、「あまりにも事件の詳細に踏み込み過ぎている」点だった。

 「犯人はまだ近くに居るのかも知れない」とタイトルを銘打って、「県立大から夢タウン(きっと駅前のショッピングセンターのことだろう)までの最短距離は、国道9号線を南下、山中の八幡神社を通るコースである」とか、「186号線を使うのは犯人には不利だ」

 「八幡神社以外に秋葉神社があるが、ここは周囲に住宅街もあり、拉致して乱暴を働くと被害者に騒がれ、人目につきやすいため、犯行には適さない」

 「八幡神社の裏(東)は、車を止めるスペースもあるし、山中である。被害者はここを通り、そして犯人は待ち伏せし、拉致した。殺害方法からすると、車中では無理なので、外で行った可能性がある」―

 などと、犯人がとったであろう行動を、詳しく克明に書いてある。新聞記者でも、警察関係者でもないことは、ブログの自己紹介で分かる。

 そうした職業についているとは一言も触れておらず、ただ「昔、何年間か南ドイツやアメリカに住んでいた。親から譲られた車を乗り回している」といった内容程度のプロフィール。

 まるで、「自分が犯人だから、犯人が犯行に及ぶまでのルートや、犯行に及んだ現場を知っている」と言いたいような書き方である。

 この人物は、「きっと犯人は、地元に住む人間で、今も何食わぬ顔して暮らしているのだろう。急に姿を消したらそれこそ怪しまれる」と書いているので、事件の起きた地元の人間ではない、とほのめかしているわけなのだが、それさえも一種のフェイク、偽造的記述に思えるほどだ。

 なぜ地元の住人でない者が、普通は考えたり、書いたりすることも恐ろしい事件の内容、犯人の行動ルートを詳細にブログに書き込むのだろうか。

 地元の住人なら、「ここにあの神社がある」とか「県立大と国道9号線の位置関係」などは当然、知ってはいるだろう。

 それでも、「自分の身近の地元で、こんなに恐ろしい事件が起きた」と普通は感じ、わざわざ、犯行のルートなどを詳細に調べることはできない。

 地元に詳しいからこそ、その街に暮らす人々は恐怖感で、そんなことができないはずだと思う。実際、駅前の繁華街や、コンビニなどから、「学生の姿が消えた」というほど、地元の人々は、夜の街におびえきっている。

 「いつも知っているあの国道、あの神社、あの山道、あの繁華街」が「とてつもなく怖い」という恐怖感に包まれて、外に出られない。犯人が早く捕まってほしいー

 地元の人々はそう思うのみである。

 だからといって、地元外の住人なら、犯行のルートや現場を詳細に調べるか、というと、やはり、事件の残虐さを考えると、そんな気持ちになれないのが普通だと思う。

 「推理作家を目指している」などの言い訳を、もしその人物がしたとしても通用しないほどの執拗さと念の入り様が恐ろしい。

 別の日のこの人物のブログで、「グーグル地図を見たのだが」とあるが、もし「単に推理が趣味」だとしても、行き過ぎている。

 もし犯人ではないのだとしたら、一般人がそんなブログを書いていたら、捜査関係者に怪しまれる、と普通は思うのじゃないか。

 このブログが更に「恐ろしい」と思ったのは、普通の人なら、とても文章に書けない、猟奇殺人の現場を、まるで今目前にしているか、記録映像を見ているかのように、残虐なやり口の手順を記載している、という点だった。

 普通の記事でも、ここまでは書かない。ただ、新たに発見された事実を客観視して、報道する。それは報道する必要性と義務が、記者や警察関係者にはあるからだ。

 でもこの人物は、犯人像を「カルト宗教の儀式か、屍体マニアであり、ホラービデオの愛好者だろう」と、一般的な意見を書きつつ、一方で、「警察の情報が細切れなので、仕方がないが」と前置きをして、実際に行われた犯行の手口の詳細に及び、被害者の遺体をどう犯人が取り扱ったかについて、残忍な内容を事細かに平然と、しかも長々と書いている。

 鑑識医であるなら、書くかもしれないが、それは専門的観点から書いているのだと普通は判断がつく。しかし、この人物の犯行に関する描写は苛酷なまでにグロテスクなもので、平常の感覚で書いているとは思えない。

 世にも恐ろしい猟奇的犯行を行っている最中の、犯人の気持ちや心情まで綴っているのも、明らかに異常だ。

 だいたい、「警察の情報が細切れなので、仕方がない」って何なのだ。

 まるで、愉快犯などが、「警察は自分の犯行をまだ詳細に掴んでいない。犯行の動機、手口、凶器が分かってないだろう。それじゃ、教えてやろうか」みたいな感じで、事件の真相を知っている超本人しか書けないようなことを書いている。

 ただ、語尾に「...なのだろう」とすれば、「私は犯人ではありませんよ」とのニュアンスができて、漠然と「推理しているだけですよ」といった感じが出るー

 そういったことを計算に入れつつ、「楽しみながら」酷い事件の詳細を、これでもか、これでもかと描いている、そういう印象を受けるほどである。

 また驚いたことに、この人物は、「人間の解体書」を最近購入して読んだ、とブログに書いてあった。

 捜査関係者は、「犯人はある程度医学的知識を持つ者ではないか」と述べているが、このブロガーは、そうした犯人像に近い感じがする。

 「犯人の方法は、最近買った解体の本を思わせる。解体は、熊を解体するのと同じである。この本は、写真入りで分かりやすく、医学書などより役に立つ」

 「医学書などよりいい」と言っているのだから、医者ではないことが分かる。

 それに、なぜ「人の解体」に関する本を買って読んだりするんだろう。

 「医学書より分かりやすくていい」と言っているほどだから、要するにこの手の本を喜んで手に取り、読んで満足している訳なのだ。

 自ら「犯人は屍マニアじゃないのか」と書いておきながら、本人が「解体」本を喜んで読んでいる。それこそ、「その手の猟奇マニアなんじゃないのか」とブログを読んだ人々から思われそうだ、と本人は気がつかないんだろうか。

 被害者の女子大生の葬儀は、今月15日に行われた。

 その葬儀にしても、事件の酷さに衝撃を受けた遺族側のコメントは、「あまりのことにショックを受け、何も言葉がみつかりません。気持の整理がつきません」と紙に書いた内容を、マスコミに渡すのが精一杯なほど、被害者のご両親は疲労困憊している。

 それなのに、このブロガーは、そうした遺族の気持ちを想い至る感覚さえ持ち合わせていない。

 今月の16日頃のこのブログでは、「パプアニューギニア辺りの食人族だった部族に聞いたことがあるが、人体で最もおいしいのは、二の腕と太ももだそうだ」などと書いてある。

 被害者のそうした部分が未発見であることを記事の冒頭あたりに書いておきながら、そんな恐ろしいことを、通常の感覚で書けるのだろうか。

 何よりも、「犠牲となった女性の苦しさや恐怖、無念さ」を悼む気持ちがひとかけらもない。

 本当に恐ろしい、気味の悪いブログである。それこそ、このブログを書いた人物こそが犯人ではなかろうか、と思いたくなるのも当然かもしれない。

 大都市でのネットカフェでの犯罪が大幅に増えたそうだが、なぜそうなるのかというと、ネットでは匿名性が有効だからだそうだ。

 個人情報は明かしたくない。犯罪に巻き込まれる。そうした意味で、ネットに記事を書く人々は匿名を通常使う。

 だが、その「匿名の利点」が、逆に犯罪を犯す者には都合が良いという、悪循環を生んでいる。

 もしかしたら、本当に、ブログを書く人々の中に、今回の事件の犯人がこっそり紛れ込んでいるのかも知れないし、そうであっても不思議ではない。

 鳩山政権への批判や、不況に関する記事も、この人物のブログにはあるが、そちらが「表の顔」で、女子大生事件に関する記事は、その異常性から考えると、「裏の顔」なのかも知れないのだから。






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Last updated  November 22, 2009 03:44:11 PM
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