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磯トンボ

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コロナ五類化に伴いこれからは自己管理となります。大自然の中で楽しむ釣りは、自然は勿論のこと地元の方々の生活の何事も害してはいけません。房総半島への釣行の際は、ご当地ルール順守して 節度ある釣行にご協力のほど 宜しくお願いいたします。

尚、当HP内での「釣り場(詳細)」は、諸般の事情(NET功罪)を鑑みて公開は自粛しております。 m(__)m

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2017年09月01日
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カテゴリ: 日々雑感
tonbo-anime.gif today diary


 = 高月芙蓉 =
                       (軈て;やがて)






触れられたくない過去もある

↓


『青き罪 蝉殻にさえ 目をそらす』
                        = トンボ =




今から遡ること半世紀も前のこと。
胸を夢を膨らませて入ったはずの地元高校、
その楽しいはずの学園生活が始まって間もない頃、
自分の将来に不安を持ち始めた。
(この頃、ひょんなことで本家への養子縁組話を知る)

夏休みも真近いある日のこと・・・
親しくなったクラスの男友達から紹介されたのがその人だった。
現状逃避のつもりの中途半端心で付き合いをスタートした。


同じ高校の昼間定時制クラスに通う同い歳の女学生。
その人の中学卒業アルバムを見せてもらったところ
色白の大人しそうで とても積極的な人には思えないが
何故・・・?
どことなく若い頃の母親に似ていた。





元々、異性から頼まれごとは断れない
はっきりしない優柔不断な性格な自分。

偶に手紙をやり取りする位で
放課後や休日に会うこともなかった。
まさか自分が付き合ってる人が居るとは
他の悪友等も誰も知らなかったと思う。

皆がするバースデープレゼントやクリスマスプレゼント
一度として渡さなかったし、貰うこともしなかった。
もしかしたら誕生日さえ知らなかった気がする。
これでは単なる文通友達である。

遅い反抗期と言え、あまりにも非常識な自分が居て、
それでもあの人は、何ひとつ 口に出さず居くれた。





そんな味気ない二年ちょっとの月日が流れ
卒業を向かえた三月上旬、友等は名残り日々を惜しむ中
しがらみのある本家や実家から逃げる様に
上野行き列車に飛び乗った。
その人に別れの挨拶さえせずに・・・





物事を冷静に考えられる様になったのはGW明け。
男として恥ずかしく、心も傷み
故郷のその人に正直な気持ちを便りにした。
これまで三年にも亘る所業素行を詫びた。

なのにその人がよこした手紙文が心優しくて泣けた。
今度は自分から遠距離だけど、交際を申し込んだ。
最初の出会いより、純粋にその人とのことを考える様になった。

夏が過ぎ、冬となって初めて田舎に帰省。
時間つぶしで利用した懐かしい町立図書館前で
その人と待ち合わせ、つき合って四年目にしての初デート。
映画を観たり、お茶をしたり、
素直に自分の気持ちをその人に伝えた。
そして年明けの春に東京で再会の約束をした。






定時制に四年間通ってたその人は
翌年の春、自分より一年後に卒業した。
内定していたのは在京の繊維業界関連会社。
会える日を心待ちにしていると・・・
運命の悪戯で名古屋営業所に配属変えとなった。

もし、配属が最初のままなら自分の人生も
その人の人生も違っていたと 今も思う。





自分の借りていたアパートには家電はなく、
電話は大家さん宅の呼び出し。
公衆電話が何より早い連絡手段の時代。

電話を掛けるのは自分。その人が居る女子寮のピンク電話。
その人からは掛かって来ることは一度としてなかった。







そして一年が過ぎ二人が二十歳となる年の初夏。
蝉時雨が聞こえ始めた頃、驚いたことにその人は
新幹線に乗り自分に会うために東京まで出てきた。

生まれて初めて 鳩バスで都内観光地巡り のデート。
皇居二重橋前で撮った鳩バスツアー記念写真。
整理したはずの古いアルバムに一枚だけ残っていた。

優しそうに微笑むその人とは対照的に
小生意気そうに口を真一文字に結んだ青い自分。
(本来ならモザイク処理をするところだが、
自分の生き恥をさらすつもりでしてない)


二年振りに会ったその人は
前よりも増して 色白 になっていて・・・気になった。
もしかして病気・・・? そう思った。



楽しい一日はあっと言う間に過ぎて
その夜は自分が借りてる狭い四畳半アパートで
自分の夢や二人の将来について表が白むまで語り明かし
翌日、名古屋に戻るその人を東京駅で見送った。

それがその人を見た最後になろうとは
この時は思いもしなかった。

もしわかっていたなら、話した歳じゃなく
ダブル生活(夜学)はやめて即刻にでも一緒になっていた。





会えない日が続きその年の暮れ
クリスマスツリー に明かりが灯る頃、
数ヶ月ぶりに故郷で会う約束をした。

ところがその人は輪番変更で帰れなくなり
それを知った自分は我儘を言い 困らせた。

三年も待ち続けたその人に比べ
たった一度だけのすれ違いを
愚痴った自分が子供だったと今更ながらに思う。

ある日の電話での会話の中で
「あなたの高校同級生と名古屋で会った」 と言われた。
もしかして自分の心を試しているつもりなのか?
当時の自分は心が貧しくて その人の愛情を総て受け入れられるほどの
ゆとりも 自信もなく 勝手な妄想とジェラシーだけが残った。

素直になれずそのうち気まづくなり連絡をしなくなった。
偶々、夜学も多忙を極めたのも重なったこともある。

人生で初めてあれほどまでに好きになり つき合った人なのに
翌年の蝉時雨の頃に何 告げることなく距離をおいた。






上司や先輩等からも そこそこ仕事も任せられる様になり
すっかりその人のことは忘れた二十歳代半ばの頃、
手元に届いた 「創立記念発行の同窓会名簿」
ついその人が載っているページを捲り、
なぞる人差し指がその人の載る行で止まる。
その人の名字が変わっていた。
後にその人が故郷に戻り、新潟の見知らぬ地に嫁いでいた。

本当はいつの日か・・・の淡い期待を持っていた。
うやむやな別れをしておいて今更、身勝手な話だ。

ならそれでいい、自分に合ってると思えた人と世帯を持ち、
それぞれ違う人生を歩き出し、これで終わったと。

その人の未来には自分なんか最初から居なかった。
元々、自分の気まぐれ心で その人の人生を遠回りさせた。
所詮、遠距離恋愛は成就しないなどと・・・

総てが自分が悪いのに 都合よく書き換え
素直な心を封印して 誤魔化した。
後ろめたさから その人の存在すら
自分の記憶から消そうともした。









なのに、今頃になって・・・
今初夏。

「高校卒業五十年の節目の同級会」に出席するために帰省、
疾うの昔にその人は病気(白血病…?)で亡くなっていたことを知り
愕然とした。



気づけば節目節目に蝉時雨を聞いた。
人には清涼感のある鳴き声の蝉時雨も
自分には青き頃にフラッシュバックするだけ。


「その人の人生」
「蝉の一生」 をダブらせ

どうしょうもない自分がまだこの世に居て
心優しいその人は短命で この世にもう居ない。

弱幸でない、多幸な生涯を過ごしたことを
心から願い   心から祈った。





暦は今日から九月。知った日から二ヶ月目。
夜釣りをしていて東の空から北斗七星が昇り
北西の海側に傾きかけると自然と手を合わせる。

多分、南房磯からその方角はその人が眠る糸魚川(新潟)。
所詮、独りよがりな黙祷供養でしかないのに。
今はそうすることしかできない自分が居る。


人生に "もしも" と言う言葉はない。
ないが、もしもあって やり直しができるものなら
タイムマシンにでも乗りあの青い歳に戻りたい。
戻ってちゃんと謝りたい。


自分が青春時代を過ごした故郷。
良きも悪きも思い出が一杯詰まった故郷。
既に両親・兄達は他界してしまい
年齢を重ねると共に故郷が遠のくこの頃。

次に開かれる高校同級会で故郷帰省する際、
その人が眠る墓に立ち寄ろうか 迷っている。



青臭い子供じみた茶番な昔話に
年甲斐もなく落ち込み、この夏
前より蝉が嫌いになったトンボである。

そして四ヶ月後・・・


















2017.09.01 アクセスレポート-01

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最終更新日  2022年07月02日 21時20分32秒
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