花の歳時記 (天南星の魅力&山野草)

花の歳時記 (天南星の魅力&山野草)

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2024.05.17
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カテゴリ: 園芸




千枚田輪島に田植悲願かな


      日本人を「米食民族」と呼ぶことがあるが、むしろ「米食悲願民
     族」と呼ぶのが正しい。稲作文化に詳しい渡部忠世さんが著書で語
     っていた。長い歴史で皆が常に米を食べられる時代は最近に限られ
     る。民は長く、もっと食べたいと渇望してきたという▼なるほど米
     は年貢であり、武士への給料であり、権力の基盤であったが、農家
     でも白米は特別な日のごちそうだったと聞く。一回でも多く食べた
     いと願う私たちの祖先は可能な限り田を開いた。山の斜面の棚田は
     、日本人の米への執着の象徴らしい▼奥能登・輪島の日本海沿いの
     棚田「白米千枚田」で田植えが始まった。地震で亀裂が入るなどし
     たが、1004枚のうち被災を免れたり修復したりした約120枚で植え  
     る▼作業をする地元有志団体の代表は田植え開始の式でマイクを握
     ると、途中で言葉を詰まらせた。寛永期に用水が開かれたという千
     枚田。今年も何とか伝統をつなぎ、思いがこみ上げたか▼千枚田に
     限らず奥能登の田の被害は大きいが、今年は無理でも来年はと修復
     に励む農家がいる。米への執着が絶えぬ人の存在に希望を見出した
     くなる▼渡部さんの本によると昔、海を望む佐渡の棚田を守る老人
     は「田植えの日は酒や餅などを供え、田を開いた知る限りの先祖の
     名を空と海に向かって叫ぶ」と語ったという。奥能登のご先祖様た
     ちも見てくれているだろうか。





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Last updated  2024.05.17 05:02:57
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