1.Shine On You Crazy Diamond (Part One) 2.Welcome To The Machine 3.Have A Cigar 4.Wish You Were Here 5.Shine On You Crazy Diamond (Part Two)
■どうやらずっと誤解していたらしい。「Wish You Were Here」の You とは、たとえば途方に暮れてしまった時に、底の深い穴みたいな所に落ち込んでしまった時に、助けをもたらしてくれるような、もしくは、ひどく荒んだ心を癒してくれるような「あなた」がここにいてくれたら、という意味だとばかり思っていた。
■The Dark Side of the Moon の次に出たアルバムである。メインの「狂ったダイアモンド」はパート1,パート2に分断され、間に入った3曲の意義がよくわからない。強いて関連をあげれば全体を流れる歌詞世界のムードはテクノロジーへの危惧とか、体制への不満といった社会的問題をテーマにしているように見える。でもフロイドを聴く時はあまり詩作の部分にはとらわれないようにしている。あえて暴論を書けば、こういうムードロックとも呼べる快楽的な音に言葉のメッセージは不要だ。むしろ聴き手が自由に気分を膨らませばよい。この曲を聴いて心情的に潤ったと思ったら、実は政治について歌っていた、なんてのは興ざめである。
■Pink Floyd の約半分はロジャー・ウォーターズだったんじゃないかと思っている。あの「狂気」も、原子心母の「If」も、そしてこのM1もM4も、彼の作品であり、彼の問題意識であった。彼がいなくなったあとのフロイドを思う時、ああ、あの「Wish You Were Here」で歌われたあいつって、結局ロジャー・ウォーターズが自分自身のことを歌っていたんだなと思うと、随分と腑に落ちるのである。