丑寅おじさんの開業奮闘記
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今年初めての日記です本日は、東京都社労士会の自主研究会の日です。テーマは標記のとおり「日本アムウェイ事件」です。この事件名で検索するとアムウェイ商法に係わる事件が出てきますが正しくは「配転無効確認等請求事件(通称 日本アムウェイ配転)」です。事件番号は、「平成16(ワ)22440」で、全文は次のURLにて見ることができます。http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070417100219.pdf配転事件の典型的な争点は、雇用契約による配転命令件の制限の可否、権利濫用の可否、強行法違反の成否(不当労働行為や差別的取扱い)ですが、この事件では強行法違反の成否に関しては出てきません。一般的に配転無効請求の裁判では、雇用契約の成否、配転命令の存在は争いがなく、主に配転命令の効力が争点になることが多いと思います。これは雇用契約による配転命令の成否、権利濫用の成否が争点になります。就業規則には、配転条項を規定している場合が多いのですが、労働者側はその無効原因を主張していきます。例えば、労働者の同意を得る慣行がある、業務上の必要性がない、生活上の著しい不利益がある等々の事実関係を主張していきます。日本アムウェイ事件では、配転命令は不当な動機・目的によるもので使用者側の権利濫用であり、無効とされました。退職か給与を半減かの選択を迫り、退職を拒否すると人事部付きとし、資格等級を2段階下げて給与を約半分として、これまでの経歴にない警備業務や安全点検業務等を課したということです。これが、退職拒否の労働者に対して退職に仕向ける不当な動機・目的であるとされ、合理性を欠いた配転・降格処分であったとされました。どう考えてもこれは会社側の稚拙な処分であったと思います。退職か給与を半額かで退職していった人はいたのでしょうが基本的にこのような判断がまかり通るわけがありません。もう少し上手にやりましょうよと言いたい事件でした。なお、配転で争点になるところは次の通りですので処分をする前には、この点を踏まえてするように致しましょう。雇用契約による配転命令の制限の成否は、1.職種の限定の有無2.勤務地の限定の有無権利濫用の成否は、1.業務上の必要性の有無2.著しい職業上又は生活上の不利益の有無3.不当な動機・目的の有無
2008.01.16
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