丑寅おじさんの開業奮闘記

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懲戒のことを書きながら、判例を出していませんでした。

本日は、判例の中から「 関西電力事件 」(最小判S58.9.8)を
紹介してみます。

就業時間外に社宅でビラ約350枚を配布したことに対して
就業規則に定める懲戒事由である
「その他特に不都合な行為があったとき」にあたるとして
就業規則に定める6種の懲戒のうち最も軽い「譴責」を課した。
これに対して譴責無効を求めて労働者が訴えたものです。

結果は、労働者側の敗訴でした。

勝った負けた論ずるのが、判例研究ではないので
その判決理由の要旨を書いてみます。

労働者は、労務提供義務を負うとともに企業秩序遵守義務を負い、
使用者は、企業秩序を維持し、企業の円滑な運営を図るため、
労働者の企業秩序違反行為を理由として、
労働者に対して懲戒を課することができる。

職場外でされた職務遂行に関係のない労働者の行為であっても、
企業の円滑な運営に支障を来たすおそれがあるなど
企業秩序に関係を有するものもあるから、使用者は、
そのような行為をも対象として労働者に懲戒を課すことも許される。

上記のような場合を除き、労働者は、職場外における職務遂行能力に
関係のない行為について、使用者による規制を受けるべきいわれはない。

本件では、ビラの内容が大部分事実に基づかず、
又は事実を誇張歪曲して被上告会社を非難攻撃し、
全体としてこれを誹謗中傷するものであり、
ビラの配布により労働者の会社に対する不信感を醸成して
企業秩序を乱し、又はそのおそれがあったものと認められない訳ではない。
したがって、本件ビラの配布は懲戒事由にあたり、
譴責を課したことは懲戒権に認められる裁量権の範囲を超えるものではない。



ここの結論は「労働者は労働契約の締結により、
企業秩序遵守義務を負っており、
使用者は企業秩序遵守義務違反に対する制裁として
懲戒を課すことができる」というものです。

これは、2つの学説のどちらの考え方でしょうか?





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Last updated  2006.09.26 15:20:09
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