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ショパンピアノ楽譜あれこれ



「ショパンの楽譜の一番のお薦めは?~エチュードOp10-3「別れの曲」とパデレフスキ版VSエキエル版~」というタイトルで、2004年10月31日に日記を書いたのだが、ここに、楽天内等で見つけられた楽譜も含めて、紹介として残しておくこととした。・・・ということで、以下、少しでも、ショパンの楽譜選定のお役にたてば幸い。

なお、以下は、Google等での検索結果をサマライズし、Tyees_Cafeにてアレンジしたものです。
Google等で、ショパン パデレフスキ版 エキエル版 等と入れて検索すれば、いくらでも色々な解説等が検索できますので、正確性を期される方は、以下のTyees_Cafe調査サマリー抜粋でなく、本来の解説なり、それぞれの原文コメント等を参照願います。


Tyees_Cafe調査サマリー-----------------------------------------------

(パデレフスキ版)
従来から、ショパンの楽譜において有名なものが、ドビュッシーとパデレフスキによる編纂であり、演奏することを前提に作られたパデレフスキ版は世界的に普及し、多くのピアニストに利用された。

なお、パデレフスキ版は、ショパン没後100年を記念したポーランドの国家事業として出版された(つまり「ナショナル・エディション」)初めてのショパン全集(全21巻)で、「ショパン自身の意図に最も近い楽譜をつくる」という編集方針のもとに、20世紀前半のポーランドの名ピアニスト、そして、ポーランドの初代首相兼外相を務めたパデレフスキとショパン研究所の研究者が力を合わせて編集したこの全集は、当時としては最も信頼の置ける、また広く知られた楽譜であった。

結局、現在でも全集版としてこのパデレフスキによる校訂版を使用することが最も多いようだ。 リプリントなので、ちょっと読みにくいが、日本語版もあり入手はしやすい。以下、何冊か紹介。

ショパン : ノクターン集/パデレフスキ版第7巻(PWM社日本語ライセンス版) (PWM/JAP) 〔YMM〕 ショパン : ノクターン集/パデレフスキ版第7巻(PWM社日本語ライセンス版) (PWM/JAP) 〔YMM〕

ショパン : 即興曲集/パデレフスキ版第4巻(PWM社日本語ライセンス版) (PWM/JAP) 〔YMM〕 ショパン : 即興曲集/パデレフスキ版第4巻(PWM社日本語ライセンス版) (PWM/JAP) 〔YMM〕

ショパン : ワルツ集/パデレフスキ版第9巻(PWM社日本語ライセンス版) (PWM/JAP) 〔YMM〕 ショパン : ワルツ集/パデレフスキ版第9巻(PWM社日本語ライセンス版) (PWM/JAP) 〔YMM〕

ショパン・ピアノ曲選集楽譜13冊+CD18枚 ショパン・ピアノ曲選集楽譜13冊+CD18枚
ショパン解釈の聖典パデレフスキ版の楽譜と演奏による初のショパン・ピアノ曲選集 楽譜付きです。
● パデレフスキ版=楽譜13冊,CD14枚(準拠版)
● ショパン国際ピアノ・コンクール・ライブ録音=CD4枚


(エキエル編ナショナル・エディション)
しかし、20世紀末をむかえ、さまざまな見地からショパン研究が進むにつれパデレフスキ版の問題点も明らかになってきた。特に、原資料の吟味の不徹底が大きな欠点として指摘されるようになり、1960年のショパン生誕150年を記念して、より厳密な意味での原典版を目指して新たに全集が編集・出版されることになった。この2番目の全集もポーランド国家評議会が、ショパン生誕150年記念国家事業として実施・出版され、これが、最近「ナショナル・エディション」と呼ばれ注目を集めている楽譜で、編集責任者は、ヤン・エキエルJan Ekier、全37巻で構成され、現在も刊行中。

エキエル編ナショナル・エディションは、ショパンの楽譜の中でも現在、最も高い信頼を得ている。自筆譜のみならず仏・独・英それぞれの初版、再版から弟子が使っていた楽譜にいたるまで、大変多くの資料を比較・検討、校正しており、他の楽譜と比べて信憑性も高い。ショパンの自筆譜を徹底的に見ることにより、極めて繊細な感覚に彩られた手書きのグラフィカルなものにこめられた、ショパンの意図をできる限り忠実に伝えようとしている。

そして、2005年ショパンコンクールは、ナショナルエディション(エキエル版)が推奨されているということもあり、必ずしもこれでなくてはいけないと言う事はないが、ショパンに関しては今後エキエル版が世界基準となっていくことになりそうだ。

ただし、エキエル版は研究色が強いとも言われるので、その点留意が必要。また、日本訳版がまだあまりでていないらしい。入手もやや難ありであろうか。

残念ながら、楽天の中では、エキエル編ナショナル・エディションは見つかりませんでした。



新たな原典版を出版しようという動きは、上記エキエル編ナショナル・エディションに加えウィーン原典版の試みがある。

(ウィーン原典版)
Badura-Skoda校訂のウィーン原典版は、Tyees所有のものでは、少々古く、Op10/25が580円と600円だったが、今でている赤表紙の最新のウィーン原典版は、この何倍もお値段がはるようだ。こちらには、パデレフスキー版はもとより、各版や最新のエキエル版を含めた比較が各ページ毎になされているそうで、それもそのはず、コンラート・ハンゼンやパウル・バドゥラ=スコダなどの校訂により始まり、その後、前回のショパンコンクールの審査委員長を務めたヤン・エキエルが加わり、編集の中心となっているとのこと。日本の音楽之友社など3社共同出版による原典版のシリーズとなっている。

もともと、パウル・バドゥーラ=スコダ編集・校訂・運指。過去のエディションの問題点など、この版を編集するに至った理由を記述した前書から素晴らしかった。またエキエル版と同様に、運指はショパンのものとバドゥーラ=スコダ氏によるものが併記されており、演奏する人は様々な可能性を検討することができる。

この版の最大の特徴は、通常は最後の方に追いやられる注釈や異稿をすべて楽譜内に盛り込んで、異稿の比較検討ができるところにある。各国初版や自筆譜はもとより、弟子の楽譜に書き込んだショパンの記述や、コルトー版、エキエル版といった20世紀の楽譜まで比較検討してあり、資料的な価値は他の追随を許さない。譜面そのもののレイアウトや印刷も秀逸で、見やすく、弾きやすく作られているところも良い。最新版は、Op.10と25がそれぞれ1800円、2200円也??。 高いのが難点か。

65 ショパン ノクターン集 〔音楽の友社〕 65 ショパン ノクターン集 〔音楽の友社〕
ヤン・エキエル校訂・運指のウィーン原典版。
いわゆるエキエル編ナショナル・エディションとは異なるが、エキエル校訂故、詳細比較には、有効。

61 ショパン スケルツォ集 〔音楽の友社〕 61 ショパン スケルツォ集 〔音楽の友社〕
ヤン・エキエル校訂・運指のウィーン原典版。
いわゆるエキエル編ナショナル・エディションとは異なるが、エキエル校訂故、詳細比較には、有効。

100 ショパン バラード集 〔音楽の友社〕 100 ショパン バラード集 〔音楽の友社〕
ヤン・エキエル校訂・運指のウィーン原典版。
いわゆるエキエル編ナショナル・エディションとは異なるが、エキエル校訂故、詳細比較には、有効。

58 ショパン 即興曲集 〔音楽の友社〕 58 ショパン 即興曲集 〔音楽の友社〕
ヤン・エキエル校訂・運指のウィーン原典版。
いわゆるエキエル編ナショナル・エディションとは異なるが、エキエル校訂故、詳細比較には、有効。


ショパン 24のプレリュード 作品28 〔音楽の友社〕 ショパン 24のプレリュード 作品28 〔音楽の友社〕
この版はきわめて入念な清書(原手稿)に基づく。異本との相違点は注解の中で言及。校訂:B.ハンゼン、運指法:J.デームス。

30 ショパン エテュード 作品10 〔音楽の友社〕 30 ショパン エテュード 作品10 〔音楽の友社〕
同等の信憑性をもつ幾つかの異稿を、それらの由来を明らかにしながら、楽譜中に並べて示した。校訂・運指法:B.=スコダ。

31 ショパン エテュード 作品25 〔音楽の友社〕 31 ショパン エテュード 作品25 〔音楽の友社〕
編集方針はOp.10と同じ。こうして初めてショパンの楽譜は正しく評価することができる。「3つの新しいエテュード」も収録。

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(その他、校訂版等)
Cortot (コルトー)校訂版 (Salabert Editions が出版)
日本語版あり。これは原典版ではなく、アルフレッド・コルトーによる独自の解釈版。1曲ごとに詳細な解説と練習方法が書かれているのが特徴。運指はもとより、ダイナミクス、トリル、スラーなど詳細な指導的説明が記されている。また、特に難易度の高いフレーズは、その部分だけ取り出した練習用フレーズを使うことにより、その部分の演奏が克服できるように留意されている。
原典版では必要最小限のペダル指示しかないが、ペダリングもコルトーによって補充されている。ペダル使用について細かに言及している楽譜は非常に少なく、その点では貴重。

Mikuli (ミクリ)校訂版 (G. Schirmer Limited が出版)
ショパンの弟子の一人だったミクリは、伝統を後世に伝えることにかけて熱心で、。序文に記されているショパンのレッスン内容についての記述は、貴重な資料。
------------------------------------------------------------調査サマリー抜粋おしまい




ついてはTyees_Cafe結論としては、以下と考えます。


・一般的には、パデレフスキー版が良い。今までの主たる推薦楽譜の第一候補であり、今までの多くの演奏や録音もこれでなされている。聞く側も耳がこれでなじんでいる。

・今後の練習、比較研究用としては、もしかすると、赤い表紙のウィーン原典版(しかも新しくて高いもの?)が一番良い。(各版の比較がみやすく掲載されており、最新の研究成果まで反映)

・2005年ショパンコンクールを受ける人、最新研究を重視する人にはエキエル版(ナショナルエディション)が良い。まだ、日本語訳版はあまりでていないようだが、これが今後の国際標準的な楽譜になる可能性は高い。



ショパンは好きですから楽譜にもこだわらざるをえないのですが、ショパンは、初稿からどんどん修正を加える人だったらしく、原典が複雑なことになってしまうのは仕方ないですね。

Tyees自身の練習としては、基本パデレフスキ版でいきます。が、気になる部分がある場合は、ウィーン原典版でチェックする予定です。

エキエル版は、日本語訳化が進み、安くなってくるのであれば、買おうかなあ。(お金が・・・)

ショパンコンクール2005を目指す方は、当然、エキエル版(ナショナルエディション)です。アマチュアには関係なし(笑; ですけれども。

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その他、エキエル編ナショナルエディション等でパデレフスキ版とは違うところの噂??

ショパンエチュード、Op10-3の31小節目と34小節目・・・

ウィーン原典版(音楽之友社、赤い表紙)でみると版の違いについての注解も記されているので、明々白々なのだが、基本的に、
ウィーン原典版は、31小節については、Cに#がついている。そして、34小節については、Dがナチュラルとなっている。
(パデレフスキー版は、31小節については、Cはナチュラル。そして、34小節については、Dには#がついている。)
ほとんどの人は、パデレフスキー版(全音版(ピアノピース含む)もこの部分は同じ)の方の音で耳もなじんでいるであろうと思われるが。

しかし、これは、最新の研究によると、ウィーン原典版が正しいとの話のようである。
(私の頭は、全音で覚えてしまっており、違和感がかなり強いのであるが・・・)


ショパンソナタ二番・・・

エキエル版は、一楽章の繰り返しの戻りの位置が違うらしい。冒頭のオクターブに戻るらしいですよ・・・??



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