たぬきぶたの日記2

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最後の伯備線撮影


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最後の伯備線撮影

昭和47年(1972)3月12日(日)

昨日予告したように本日は伯備線です。ネガの順番からすると、

どうやら最後の撮影みたいです。合計で4~5回行っているのですが、

ほとんどが相棒とSL同好会のみなさんとの合同撮影会みたいな感じで行っていました。

一人で行ったのは2回かなあ。あまり記憶がはっきりしません。まあいいか。

では、解説をしながら写真を載せていきましょう。



有名な布原信号所は新見駅の北側にあります。駅ではありません。

駅と駅の間が長いうえに急勾配があり、途中に列車の交換用の停車場が作られました。

ここの説明は以前にアップした布原信号所の記事にちょっと詳しく書いています。

3つ北の足立駅から回送のD51をつけたところ三重連となり、おりしもSLブームのさなか

全国的に有名になりました。写真を載せながら解説したほうがよさそうですね。



これが撮影地の鉄橋です。向こうに見えるのが布原信号所。駅ではありませんが、

切符はありました。ぞろぞろと歩いて鉄橋を渡ります。SLの写真はよくあるが、

こんな写真は少ないでしょう。手前側はトンネルで山肌を削って撮影しやすいように

ひな壇みたいになっています。料金が200円だったかな。金を取るようになって国鉄と

ひと悶着ありました。

「お客(SLファン)のために煙をサービスしているのに、地主でもない奴の金儲けのために煙が出せるかあ」

と、国鉄が怒ったことがあります。(追加の説明をします)

ここは知るひとぞ知るという場所だったのですが、D51三重連で有名になってくると

多数のファンが押しかけるようになった。好意で撮影しやすく枝打ちをしたり、

ひな壇を作った人が、そのうちお金を徴収し始めた。

それを知った国鉄が怒ったわけです。それで、国鉄は無料を主張したが、地主の許可を

取っているからと、場所を整備した人は譲らない。これだけの労賃がかかっているからとの主張は平行線。

そこで国鉄は対抗して、煙を出さない運転をするようになった。

とばっちりを受けたSLファンが抗議して話し合いがおこなわれた。(追加文でした)

なんとか決着がついて撮影ができるようになったが、人数制限もあり場所取り合戦です。

このときは遅いほうだったので、サイドからになりました。



直前の逆行運転の貨物です。まだ、場所を決めかねている人がどこに陣取ろうかと

悩んでいます。撮影に邪魔な場所に行くと怒号が飛んできます。

「邪魔やあ~、それぐらい分からんのかあ~、ボケ~。さっさと動かんかあ~。」

確かにドンくさい奴やら、迷惑な奴がいました。何十人もの人が構えているわけですから、

もしも邪魔な場所で写そうものなら、きっと撮影が終わったら、そいつは袋だたきです。

撮影直前までうろうろしているのがいました。こっちもひやひやしました。

いよいよです。まわりが緊張と興奮で雰囲気が変わります。

駅に列車が入ってきます。まだ、煙は細くちょろちょろ出ている程度。

時刻がせまってくると、煙に勢いが出てきます。

発車がちかい。

この鉄橋からトンネルに入ってからもきつい上り勾配を進むために、蒸気圧をあげて

勢いをつけるわけです。

来るぞ。   熱気と興奮の言葉があたりをせわしくしています。

山間の渓谷に発車を告げる汽笛が鳴り響きます。  それも3連発。

ぼーっ、ぼーっ、ぼーっ、 と3台ごとに異なる汽笛を響かせて、動き出します。

アニメにしたいけど大きさを確保したいので、そのまま載せます。










煙の量と勢いで列車のスピードがわかると思います。とにかく近くで聞けば、

その轟音にびっくりしますよ。

連続したシャッター音があちこちで「カシャ、カシャ、カシャ」



興奮と熱気に包まれた撮影場所はしばし、興奮の余韻が残っているかのような

雰囲気でした。お目当ての列車を写したら、さっさと帰る人も多かった。



単機回送がのこのことやってきたが、間の抜けたわびしさを感じた。

やはり三重連の撮影後の虚脱感からなのかなあ。

普段はこの後の重連を写したりするのだが、何回も来ている人はそれよりも、

今日はもうひとつのメインの客車の三重連を狙って移動した。僕らも追いかけ開始。



これは井倉洞の近くの鉄橋です。到着が遅れたのか、後ろからの追いかけ写真

だけとなっている。次は本命の三重連です。



なぜか当時は縦位置の構図に凝っていた。ここは横位置のほうが良かったかな。

バックの渓谷は雪景色だったらきれいだっただろうなあ。

遠いところは季節や天候の違いを題材に撮影するのは困難です。

写せるだけで満足しましょう。おまけです。


この列車が伯備線のD51三重連のさよなら列車です。

帰りにまだ撮影していった。



次はこれです。ちょうど梅がきれいに咲いていた。

このあたりの写真は腕の見せ所かな。

いつ来るか分からないので、じーっとカメラを構えたままで数分間待つのです。

そして、一瞬を捉えます。



鉄橋の下の傷が気になりますが、時間があれば修正してみます。







この伯備線は山岳路線ということで、D51の重連はいくつもあった。たしかに急勾配と

重量物の運転ではD51の力をもってしても重連でないとだめだったのでしょう。

それゆえ人気だったんですけど。最後に、かわいい写真をどうぞ。



中国山地の山肌に民家がある。渓谷と鉄橋の伯備線。

いつかカラーで撮影に行きたいものです。

本日の撮影終了。




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