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◆満足と不満の弁証法的分析◆


(私といえば「弁償しろ」とか、「勉強しろ」といわれます)

私が勉強した結果、ヘーゲルは「矛盾しているから、全てのモノは成立している」と言っているような気がします。

例えば、人は生きています。
「生きる」とは生命を得ていくことです。
しかし、別の視点から見ると、「生きる」ことは「死ぬ」ことに向かっている状態ともいえます。
このように、ある現象のなかには、それを否定するものが必ず含まれています。
ヘーゲルによれば、「一般に、世界を動かしているのは矛盾である」そうです。


ところで、人は「生きる」うえで、当然のように何らかの矛盾を抱えています。
また、人は誰でも何らかの不満をもっています。
私の顧客は私の仕事ぶりに不満を持ち、私は自分の容貌に不満を持ち、私の周囲の女性は私そのものに不満を持っています。
(彼女らが、なぜ私に不満を持つ前に、自分に不満を持たないのか、不思議です)

誰もが不満の解消を願っていますが、一つの不満が無くなっても、それに替わる不満が必ず登場します。
これを「不満量不変の法則」といい、一昨夜私によって発見されました。
(友人M嬢とサルを観察した結果である)

不満を解消するには、欲求を満足させるしかありませんが、人は欲望や欲求に対して、奇妙な態度をとっています。
ここに不満がなくならない原因があります。

欲望が不幸の原因であることを我々はよく知っています。
(さらに、離婚は結婚が原因であることも、最近知られてきました)

他人の欲望と対立すれば争いになります。
殺人や戦争も元は欲望が原因です。
また過度の欲望が醜いことも分かっています。
強欲でケチな人を軽蔑し、食事をご馳走してくれる、自足の人を尊敬しています。

それなら、我々は欲望を邪魔だと思っているかというと、実際は逆です。
欲求に動かされて、仕方なく食べたり眠ったりしているのではなく、食欲が無ければ胃薬を飲み、眠れなければ睡眠薬を飲みます。
欲求がなくなるのを恐れているのです。

それどころか、男は積極的に、いやらしい映像や、いかがわしい場所に行ったりして欲求をかきたてています。
女性が料理の本を見るのも同様です。
(女性は、料理の本を、料理を作るためではなく、「こういうのを食べてみたい」という、男が女性の裸の写真を見るのと同じ気持ちで見ているらしい)

性欲のために生きているような男もいて、性欲のために一生を棒に振る男があとを断ちませんが、男はそれを承知で精力絶倫になりたいと願っています。
相手になってくれる女性がいないような男でさえ、バイアグラを欲しがるのです。
ちょうど、魚が傘を欲しがるようなものです。
(バイアグラによって迷惑している女性もいるでしょう。また、この薬には家庭崩壊という副作用が確認されています)

薬なら、勤労意欲、親切心、誠実さ、やさしさを高める薬の方が必要ですが、開発の兆しすらありません。
我々はそれよりも本能的欲望を満たすことの方が重要だと考えています。
この点では、交尾のために一生を闘争に明け暮れる虫などと変わりません。

かりに全ての欲望が満たされたら、人はどうなるのでしょうか。
完全に満ち足りた状態を、古来より人々は、楽園や天国という形で想像してきましたが、それがどんな所なのか、明瞭ではありません。
暑くも寒くもなく、音楽が流れ、花が咲き、私の家や会社とは似ても似つかない所だ、という貧弱なイメージしかありません。
地獄については、想像力は精彩を放ち、細部まで語られていますが、楽園の方は漠然としていて、楽しそうな感じを出すのに失敗しています。

たぶん、楽園は心地よい休息と充足感が得られるような場所なのでしょう。
しかし、そういう場所があったとしても、みんな行きたがるでしょうか。
地上の楽園といわれるタヒチよりもニューヨークなどに行きたがる人の方が多いのです。
タヒチを選ぶ人でも、そこで一生を過ごしたいと考える人は少ないでしょう。

人は、全てに満ち足りていて何の欲望も湧いてこない楽園状態よりも、果てしなく湧いてくる欲望を限りなく満たし続ける、酒池肉林状態の方を好むのではないかと思います。

酒池肉林に憧れる態度は、欲望の奴隷だとして、多くの哲学者や宗教家が戒めてきました。
だが、彼らが提示するどんな理想的状態よりも、欲望の奴隷になっている方が魅力的に思えてしまうのです。

多くの人は欲望が満たされないことよりも、むしろ欲望が消えてしまうことの方を恐れています。
かりに、精力抑制薬や性欲減退薬を発売しても、誰も買わないでしょう。
欲望が完全に満たされて一切の不満が無くなったら、おそらく欲求不満になるのではないでしょうか。

不満が絶対に無くならないのは、人が不満を求めているからです。
我々は不満が無いと満足できません。
だから、不満を抱いている状態こそ、究極の満足なのです。


私の周囲の人々に言いたい。
あなた達は、私のおかげで究極の満足を得ているのです。
分かったか。





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