『光源』桐野夏生／『幕末新選組』池波正太郎

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Jun 20, 2004

テーマ：今日どんな本をよみましたか?(91884)

カテゴリ：本のこと

『光源』　桐野　夏生

桐野夏生の作品はこれが2作目。
前回読んだ『グロテスク』よりはこちらの方が
かなり面白かった。

この作品は映画製作に関わる人々の人間模様を描いたもの。

プロデューサーの玉置優子は、不倫関係の末結婚した
歳の離れた夫がいる。その夫はかつては名監督で知られていたが、
脳梗塞で倒れ、今や半身不随で寝たきりの状態。
夫婦の関係は既に冷めていて、優子は夫に認めてもらいたい
勝ちたいという思いから映画に夢中になっていた。
そして、全財産をなげうって『ポートレート24』を製作することに。

撮影監督は優子の元恋人有村。
主演俳優の高見は、優子とその夫によって日本を代表する
有名俳優に名を連ねることに。
相手役の井上は元アイドル歌手で、一世を風靡したが、
その後はぱっとせず、ヘアヌード写真集をだして
起死回生をはかる。
新人監督の藪内は大学の映画研究会の先輩で、
助監督として自分よりも先に映画界デビューを果たしている
駒沢を嫌悪ていた。復讐の思いからその駒沢を自分の映画の
チーフ助監督に指名する。

この5人がそれぞれの打算で映画製作というひとつの
ことで結びつくのだったが、
結局は自己の我が儘、プライドがむき出しになっていって
バラバラになっていく。

結末は意外な展開ではあったが、
高見ひとりにスポットがあてられすぎている気はした。

『幕末新選組』　池波　正太郎／★★★☆☆

司馬遼太郎『燃えよ剣』を読んで、
ちょっと新選組づいた。
新選組ものといえば、だいたいが
沖田総司か近藤勇、土方歳三にスポットが
あてられているが、
これは永倉新八が主人公。

新選組初期のメンバーで、
大正まで生き延びていた。
本人も手記を残しているし、
親族も本を出しているらしい。

池波正太郎の作品を読むのは初めてだったが、
正直物足りなかった。
あっさりと流しすぎているというか…
永倉の女関係の内容が多かったように思う。
歴史的な部分をもう少し
詳しく読みたかった。
あれ？池田屋事変ってもう終わったの？
沖田総司っていつのまに
死んでたの？って感じだった。

読み易くはあったけど…。