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December 12, 2005

「ハロウィーンの死体」 by ポーラ・ゴズリング（山本俊子訳）

カテゴリ：読書

これは、ブラックウォーター湾ミステリの第2弾。

ハロウィーンの死体

「ハロウィーンを間近に控えたブラックウォーター・ベイの保安官マット･ゲイブリエルは、薬剤師トム・フィネガンの自動車事故の知らせに驚いた。トムから話したいことがあるから会ってほしいという電話を受けていたマットは、事故現場へ直行する。トムは、苦しい息の下から「.....事故じゃない。 .....ジャッキー･モーガンも同じだ。.....あいつがやらせたんだ。」と伝えて息絶えてしまった。未亡人のドロシーは、毎年この時期になるとひどくふさぎ込むトムの欝が、今年は特にひどく、事故に合う直前にかけた電話で、「殺人に時効はないんだ。」と言っていたことをマットに語るのである。電話の相手は誰なのか？マットは、30年前のハローウィンの晩に起こった、ある痛ましい事件のせいで、トムは殺害されたのだとの確信を深めていく。しかし、皆が浮かれ騒いでいるハロウィーンの夜に仮装姿の惨殺死体が発見され、事件は深刻な展開を見せていく。トムの死との関連は？マットはこの難事件を解明できるのか？！」

前作「ブラックウォーター湾の殺人」でストライカー警部補の手伝いをしていたマット・ゲイブリエル保安官が、今回の作品では主人公となっています。何しろ、保安官になる前は大学で哲学を専攻していたという経歴の持ち主ですから、殺人捜査なんてやったことがありません。夏の事件では専門家の手助けを受けましたが、今度は一人で捜査を進めなくてはなりません。そのマットの手伝いをするのが、若手弁護士のドミニクと新聞記者の卵エミリーです。

物語は、マットが「ハウル」と呼ばれる「ブラックウォーター・ベイ・ハロウィーン・カーニバル」のイベント警備に悩む姿から始まります。この祭りでは、どんちゃん騒ぎをする当事者たちが、互いに相手を出し抜こうといたずらを仕掛け合うのですが、その被害が年々ひどくなっていて、これが悩みの種。このハウルの大騒ぎを縦糸に、ドミニクとエミリーの恋物語を横糸にして、ストーリーは進んでいきます。

30年前に起こった、ジャッキー･モーガン事件の関係者は、今では町の有力者たちばかり。遠い過去に起きて今では忘れ去られている事件を掘り返すことは、保安官選挙を控えているマットにとっては、正に百害あって一利なし。現に、ジャッキー･モーガンの事件を持ち出すと、皆一様に態度がおかしくなり、暗にこの捜査を中止するように警告するものもいます。しかし、トラブルを抱えながらも、熟考型人間のマットは事件の真相に着実に迫っていきます。

相変わらずページ数の多い作品ですが、事件の全貌が明らかにされるにつれて、読者はページをめくる手を休めることは出来ないでしょう。物語のラストは、ちょっとしんみりさせられるけど、これはオススメの一冊です。