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April 4, 2006
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カテゴリ: 読書
これは、「詩人警視」ダルグリッシュの12作目。これで、図書館から借りてきたP・D・ジェイムズの本は終わり。


殺人展示室
殺人展示室




「風光明媚なハムステッド・ヒース。その閑静な一角にある、有名な殺人事件を扱った展示で知られるデュペイン美術館は、創始者の子供たちの意見の対立により、存続の危機を迎えていた。そんな最中に、存続反対を唱える次男ネヴィル・デュペインが無残な焼死体となって発見された。どうやら、車ごと火をつけられたようだ。しかし、奇妙なことに、その状況は1930年に起きた自動車炎上事件と酷似していた。捜査を開始するダルグリッシュに、新たな死体発見の知らせが届く。これも、過去に起きた事件を模倣したようだ。犯人の意図は、一体何なのか。美術館を舞台にした難事件に、ダルグリッシュの推理が冴えわたる!!」



これは、作者が82歳の時に書かれた渾身の力作です。さすが、P・D・ジェイムズ!文句なく面白い作品に仕上がっています。上下二段組のポケミスで485ページと、相変わらずの長編なのですが、一気に読めること請け合いです。

殺人の舞台となるデュペイン美術館は、もちろん架空の美術館。でも、ここに展示されている殺人事件たちは、実際に起きたものばかり。このなんとも不気味な美術館を舞台に、過去の殺人を模倣した殺人事件が相次いで起きていきます。最初の死体が発見される一週間前に、友人のコンラッド・アクロイドに誘われてこの美術館を訪れていたダルグリッシュが、ある理由から捜査を担当することになります。

前半では、作者おなじみの手法で登場人物たちをじっくりと描写していきます。それぞれが持つ「過去」が、今回も殺人の動機に深くかかわってきます。そして、第1の殺人事件、第2の殺人事件と、立て続けに事件が起きていくのですが、過去の事件を模倣していることと、不気味な美術館を舞台にしているので、ちょっとおどろおどろしい雰囲気になっています。

今回のテーマは、 「過去」+「歪んだ愛情」 っていう気がするのですが、どうでしょうか?人物描写をじっくり読んでいくと、正にこの二つがタイミングよく合った時に、犯人が第1の殺人を決意したのでは、と思えてきます。

さて、前作の 「神学校の死」 で、運命的な出会いをしたダルグリッシュとエマですが、二人の仲がどのように進展していくかも、ダルグリッシュ・ファンとしては気になるところだと思います。何しろ、忙しいダルグリッシュのことですから、なかなかエマとの時間をとることが出来ません。いつもすれ違う二人に、読者はハラハラさせられますが、ラストシーンもちょっとドキドキ。ダルグリッシュは、無事エマに会えるのでしょうか?そして、最後に彼女が取った決断とは?

ダルグリッシュ・ファンもそうでない人も、必見の一冊ですよ!!








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