MY THOUGHTS

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August 1, 2010
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カテゴリ: MEMORO

MEMORO(メモロ)「記憶の銀行」 をNPO法人にすべく

内閣府に設立申請書類を提出しに行ってきました。

そしてこの日を境に、MEMORO「記憶の銀行」の代表に正式就任いたしました。


「いのちをつなげる」「想いを世代を超えてつなげる」


このことをライフワークに

5年前に 有限会社ウィルウィンド を立ち上げ

一人で続けてきました。

そして昨年10月30日、朝日新聞に掲載された

”イタリアから広がる「記憶の銀行」”の記事 を読んだ瞬間

これってウィルウィンドだ!と衝撃が走り、即座にイタリアに電話。

「日本でできること、お手伝いさせてください」と声を震わせました。


それから約半年の間、右も左もわからないまま

日本のメモロの立ち上げに邁進しました。

日本在住のイタリア人女性、 チンツィア・ドルチーニ が代表、私が副代表。

チンツィアも日本でこの活動を知ったわけですから

頼りになるのはあの1枚の新聞記事だけ。

イタリアが何を考えているのか、

どうやって動画を増やしているのか

どうやって持続可能な活動にしているのか…。

あれもイタリアに聞こう、これもイタリアに聞こうと

まだ見ぬイタリア創設者からすれば、

私たちは大陸の向こうの「うるさい日本担当者」だったでしょう。


見よう見まねで父を撮影し、叔父を撮影し、

スタッフのご両親の昔話をビデオに収めました。

はじめての編集、そしてアップロードには何日徹夜をしたでしょう。

仲間のボランティアスタッフも10人に増えました。

事務所がないので、毎週一回、喫茶店に集まりました。

みんなで分担をして翻訳をし、チラシを作り、規約をつくりました。

チンツィアとも進め方でいっぱいケンカをし、いっぱい仲直りをしました。

定例ミーティングの議題はいつも山積みでした。

議事録を作り、次の行動につなげていきました。


2010年3月、日本語のウェブサイトが 正式に立ち上がったころ には

私自身、手弁当のボランティアでこの活動を続けることに、いよいよ限界を感じはじめました。

ウィルウィンドが、”老い”も”若き”もの想いを”公””私”ともに

つなげていくことがその使命だとしたら、

メモロは”70歳以上(老)”の方の失われゆく記憶を

インターネットで”公け”にしてつなげていく活動。

メモロがウィルウィンドのミッションの一部を占めていることは間違いないのですが

あまりにもそれが重なっているために

メモロを使ってウィルウィンドが儲けようとしていると思われたらどうしよう、

私がメモロを推進することはフェアな取り組みなのかと

逆にウィルウィンドとしても身動きがとれなくなり、

ボランティア生活とメモロ、そしてウィルウィンドとの狭間で

いよいよ経済的にも立ち行かなくなりました。


もう限界だ。4月末の第一回オフィシャルセミナーを終えたら一旦手を引こう。

ウィルウィンドを頑張って、ウィルウィンドとして、外からメモロを支援しよう。


そんなとき、当該セミナー出席のために

救世主のように来日したのが、イタリア創設者の一人、 ルカ・ノバリノ でした。

メールやスカイプで何度も話はしているものの、私たちも初対面です。

聞きたいことはエベレスト並みに積み上がっています。

もう限界だということも伝えなければなりません。


膝を突き合わせてでしかできない会話を三日三晩行いました。

メモロのミッションはなんなのか、

私のミッションはなんなのか、

この活動を持続可能な活動とするためにはどうしたらいいのか、

企業にプロジェクトを提案する場合の価格計算の方法などを学びながら

より一層イタリアのメモロに対する思想を理解していきました。


そして来日最終日、日本での活動を広げられるのは、

今は冨田直子であり、ウィルウィンドしかいないのだと、告げられました。

冨田直子として関わろうがウィルウィンドとして関わろうがどちらでもいいが

私がメモロの活動をするうえで、きちんとファンドレイジングを行い

活動した分の給料をメモロからもらえる体制を作ればいい。

ウィルウィンドが関わるのだとしたら、

メモロから利益を吸い上げないよう、原価でサービスを提供すればいい。

メモロは一般への有料動画撮影を行わないのだから

ウィルウィンドが有料撮影サービスを提供したければ、それで事業化すればいい。

メモロは日本での活動を広げたいのだ。

それを引っ張っていく熱き想いを本気で持ってくれているのは、今は冨田直子なのだから、

どんな形でもいい、とにかくオープンに、フェアに、日本のメモロを頼む、と。


ルカはチンツィアにも明快な提案をしました。

チンツィアは昨年からイタリアへの帰国を考えており

昨秋、日本のメモロに関わった当初から、

メモロが軌道に乗ったらイタリアに帰国することを決めていました。

ルカはチンツィアに、

イタリアに戻ったら、メモロのイタリア本部でアジア担当として働かないか、

日本立ち上げの経験を活かして、アジアを盛り上げてほしい、と提案しました。


たくさんのメディア に紹介をしていただきながらも

まだ内部的にはまともに立ちあがってもおらず、

危うく空中分解しそうだった日本メモロが

3泊4日のルカの来日によって救われました。


私たちは腹を決めました。


それから3か月。。。


継続性で限界にきていた事務局作業を、

あらたに事務局ボランティアを募集することによって

素晴らしい方々に移管することができました。

今ではボランティアスタッフの方も20名に増えました。

まったく手をつけられずにいた メモロのブログ も立ち上げていただきました。

もう労力的に当分オフィシャルセミナーはできないだろうと思っていましたが

7月23日には、 学生向けのサマーワークショップ を開催することができました。

プロのインタビュアー、カメラマン、映像ディレクターの方も協力してくださっています。

事務局が今の状況にふさわしい助成金情報を探してきて下さるので、

それらにようやく目を向け、申請する余裕ができました。

メール対応、お問い合わせリストの管理、マニュアル整備、編集作業と、

みんなみんな自分の本業を抱えながらのボランティアですが

みんなきちんと寝ているのか心配になるほど、夜中になるとメモロメールが飛び交います。

メモロを持続可能な活動とするためのファンドレイジングにも、企業プロジェクトの提案にも

私自身が少し時間をさけるようになりました。

メモロを一般に広く知ってもらうための活動にも、より力を注げるよになるでしょう。

まだまだ決めなければいけないこと、やらなければいけないことは山積みですが

でもそんな状況を見ながら、チンツィアも今年9月、イタリアに帰国することを決めました。

そして私は日本の代表としてのバトンをチンツィアから受け取りました。

チンツィアの帰国は残念ですが、

これは日本でもメモロが立ち上がる目途が立ったということの、嬉しき表れでもあります。


一昨日の7月30日金曜日、小雨が降る中

NPO法人設立申請書類の作成を担当してくれた仲間一人とともに

内閣府に出向きました。

書類提出の際、窓口の方に「写真を撮ってもいいですか?」と尋ねました。

ここまで一緒にやってきた仲間と申請の瞬間を共有したいと思いました。

ただ、残念ながら官庁内ということで撮影はNG。

でも、心からみんなと共有したいと思いました。


ウィルウィンドの設立申請をしたときととなんでこんなに気持ちが違うのだろう。。

内閣府を後にしながら考えました。


そしてふと、「預かりもの」という言葉が浮かんできました。


そうか、ウィルウィンドとは違って、メモロはみんなからの預かりものなんだ。


メモロはイタリア創設者からの預かりものであり

一緒に立ち上げたチンツィアからの預かりものであり

一緒に盛り上げている仲間たちからの預かりものであり

そして、メモロの動画を見て、人生の先輩の記憶から何かを感じるであろう

未来の子どもたちからの預かりものなのだと。。。


ウィルウィンドのときは、社会的使命に燃えつつも、

それは冨田直子個人の想いの枠を出ていませんでした。


でも今は、メモロという社会の公器としての想いを、私はみんなから預かっている。

いや、一緒に立ち上げていくみんなもそれを預かっている。

大切な記憶を提供下さる語り手ボランティアの方も、

つなぎ手として活躍いただく撮影ボランティアの方も、

そしてこの活動の持続性を支えて下さる経済的支援者の方も

メモロに関わるすべての人が、未来の子どもたちからの

「ちゃんと記憶を残しておいてね」という想いを預かっている。。。


メモロの代表として、法人申請書類を提出しながら気づかされた、新しい使命感でした。


奇しくも、メモロの区切りと並行して

今日からウィルウィンドの第6期目がはじまります。

メモロの活動で感じる「預かりもの」としての感覚と責任感を

ウィルウィンドでも感じ、いつかの日かウィルウィンドも社会の公器となれるよう

メモロを見習って頑張りたいと思います。

そして、世界中の老若男女の想いを世代を超えてつないでいく役割を果たしたいと思います。


そのための第一歩として

まずは70歳以上の方の記憶にターゲットを絞った日本のメモロの代表として、

一人でも多くの方と、この大切な預かりものを形づくり、育み、つなぎ、

発展させることに力を注ぎたいと思います。


みんなの想いを載せて、日本メモロという船が漕ぎだします。

船は沢山の記憶を積んで、大きく大きくなるでしょう。

関わる人々が、記憶をどんどん引き継いで、もっともっと豊かになるでしょう。


みんなでこの大切な預かりものを

しっかりと育て、未来につないでいきたいと思います。


6期目に突入したウィルウィンドの節目の日に、また想いを新たにしました。


「預かりもの」ってすごいですね。

自分のものではないからこそ、こんなにもきちんと大切にしなくてはいけないと思う。



今後ともメモロ「記憶の銀行」をどうぞよろしくお願いいたします。













===

MEMORO「記憶の銀行」とは、70歳以上の方の記憶を未来に伝えるために生まれた無料のオンラインアーカイブです。失われゆく記憶を広く一般から収集・公開することによって世代をつなぐこの活動は2007年にイタリアで産声をあげ、今では世界11カ国に広がっています。→  MEMORO「記憶の銀行」





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Last updated  August 1, 2010 11:29:16 PM
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