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骨子は以下のようだ。
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現在は論理、論理の時代である。
しかし論理優先で考えた社会はけっして良い社会にならない。
共産主義の崩壊はその典型例であるし、また実力主義という論理によって作られた社会は非常にギスギスした社会を作り上げている。論理をもとに欧米がつくりあげられた楽園のフイクションにごまかされてはいけない。
実は論理というものはかならず出発点、すなわち公理が必要である。
ところが公理とは証明できないものである。
公理に理屈はいらない。押し付けられるべきものなのだ。
したがって本当に大事なのはその公理をどう決めるかであるが、社会における公理を決める大事な要素は道徳や愛国心である。
日本には武士道精神というすぐれた道徳があり、これをきちっと身につけた人間を育てなければ、よい社会はできない。
また教養や情緒(をめでる心)というものも、公理を判断するためには非常に重要なので、これも身につけなければならない。
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「論理だけでは成り立たない」ということを非常に「論理」的に説明する。
なんかゲーデルの不完全性定理みたいな本だなと思っていたら、ちゃんと引用されていた。
著者は数学者なので、実に明快な展開だ。あまりに明快なので「すべてが正しい」気にさせるところがこの本が非常にヒットした理由なのだろう。
でも忘れちゃいけない。著者自身の説もひとつの論理なのだ。
たとえば著者がたっとぶ武士道の精神とか、封建制度という差別や男尊女卑を生んだことを、この本は説明してくれない。
イギリス人の「伝統をたっとぶ気持ち」というのもやはり、「新参者を意味なく差別、排除」するものと同一だということも忘れてはいけない。
この本はアメリカの差別主義を厳しく批判しているけれど、ヨーロッパにも深刻な差別があることを忘れている本でもある。
そして差別をなくすために、実力主義というものが生まれてきていることを無視しているとも思う。
それから「文学」とか「数学」とかの教養ばかりを重んじて、実学を軽くみすぎている。
人間は地球の一生物種なので、すべての生きる糧を回りの環境に依存している。
また人間同士のコミュニケーションにおいても、概念だけなく言語や礼儀というスキルが必要とされているのだ。
著者が「女性にもてない」と繰り返すところがおかしい。
これって実学を軽くみている反動なんじゃないかな?
女性というのは、美しい概念や理論ではぜーーーーーったい口説けないからねぇ。。。。。。。
まあでも、とても面白い本です。
まだ読んでいない方がいたら、一度ごらんあれ。
ヤッターマンスペシャル版 2008.05.06
大地の子 2008.02.21