りょうの戯れごと

りょうの戯れごと

一月に読んだ本 1

黒い河 ( 著者: G.M.フォード / 三川基好 | 出版社: 新潮社 )

ノンフィクション作家の主人公が活躍するシリーズ第二段のハードボイルドサスペンス小説
内容云々はともかくも、ノンストップで最後まで読みきれる面白さだと思う

「これっていい台詞~」って思ったところを少しだけ・・・


父親の事を何も知らないで育った青年が、自分の父親が殺人事件に巻き込まれたことを知り、父親のことを調べているうちに、自分の大学までの学費をすべて父親が払ってくれていたことを知る。
父親は、決して裕福ではない暮らしをしていたのに・・・
どうして父親が自分にそんなことをしてくれていたのかわからない青年は、主人公に向かって聞く

「僕にはどうしても理解できないんです。あの人がなぜぼくとぼくの教育にあれほどまでに執着したのかが。ぼくと父はお互いほとんど知らなかった。二十年近く会っていなかったんですから。それが今になって、父がぼくのためにどんなに大きな犠牲を払っていたのかを知らされた。ぼくはずっと父のことを考えることすらしないでいたのに」と
それに対し、主人公は、

「おれの経験からして、自分で自分の行動の理由がわかって行動していたという前提はまちがいだ」 と

続けて

「たとえば、きみのお父さんは子供の頃ひどく貧乏だったことがわかったとしてみよう。学校に行きたかったのに、状況が許さなくて行けなかったことがわかったとする。そうなれば自然の流れとして、きみを医者にしたがったのは、はたせなかった自分の夢を実現させようとしたのだという解釈が生じる」
「事実を前にしておれたちが何を言っても、たとえそれがぴったりの説明に思えても、結局は推測に過ぎないのだから。確かなのはただひとつ。お父さんがああいうことをしたのは、少なくともお父さん自身にとっては、金を学校に払うことのほうが、自分でその金を使うことよりも大きな喜びをもたらしてくれたからだ」

さらに

「マザー・テレサがああいう生き方をしたのは、それが彼女にとって一番快適だったからだ。彼女はほかの人間よりも大きな視野を持っていたのかもしれない。あるいは人への同情心が強すぎて、ほかのことは考えられなくなっていたのかもしれない。おれに言えるのはただ、彼女はああいう生き方をしたがったということだけだよ」

「戦争の英雄に聞いてみろよ。みんな同じ事を言うから。考える間もなく、すべてすんでしまっていたんだって。あまりにおびえていたか、頭がおかしくなっていたか、怒り狂っていたかで、衝動的に行動した結果にすぎないんだ。なぜだかわかるか?」

「彼らにとって英雄的行動をとることが一番楽な生き方だったからだ」

「彼らの内なる声がこう言ったんだ。もしここで行動を起こさなければ、自分自身と折り合いがつかないまま一生を過ごすことになるぞって」


「黒い河」。ちょっといい男の話しを読みたい方は、是非どうぞ(笑)



◎ドロップ(廣瀬 裕子/集英社)

この作者のことは、大切な友人から教えてもらいました
この作者の作る詩がとても好きだって・・・

いくつかの詩を、教えてもらいました

すごくわかりやすくて
優しくて
あったかくて
それでいて、こころにス~って染み通っていく素敵な詩でした

機会があったら、もっとちゃんと読んでみようと思っていたら、偶然、図書館で名前を見つけ、さっそく借りてきて読んでみました

一時間もあれば、読み切れます
彼女と彼女の好きな人との、小さな小さな物語を集めたものです

作者が書いた、あとがきを借りて紹介します


暮らしのなかの何気ない場面で
しあわせを感じることがあります。
ごはんをつくっているときに広がる空に
買い物帰りに見た風景に
テレビを見ながら交わす会話に。
それは、どれもちいさなことですが
そのなかにはときどき、
はっとするくらいのしあわせがかくれています。
わたしは、そのしあわせに気づくと
充ち足りた気持ちになります。
胸がいっぱいになります。
そして、生きることの意味は、
こんな気持ちになるためにあるのではないか-
と、こころのなかで思うことさえあります。
(後略)


心がギスギスして、ささくれだったとき
優しい自分の心を取り戻したいときに読めば
こんな小さなことにも幸せがいっぱい詰まっているんだと
改めて、気づかせてくれるかもしれないですよ



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