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2008.01.26
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テーマ: いい言葉(571)
カテゴリ: 文学・芸術
▼フランスの薔薇2(マラルメ2)
マラルメの「花々」を詳しく見ていきましょう。

第一節
いにしえの青空から落ちる黄金の雪崩から、
そして星々に眠る永遠の雪から、第一日目に、
まだ若く、災害とは無縁だった大地のために
かつてあなたは、大きな聖杯を解き放った

最初の行は直訳すると、「いにしえの蒼天(そうてん)の金色の雪崩」となります。問題は青空と雪崩の関係ですね。昨日は「落ちる」と訳しましたが、その後よく考えたところ、これはおそらく朝焼けか夕暮れで、空が太陽の光により、雪崩のようにものすごい勢いで黄金色に染まる様子をイメージしているのではないか、と思うようになりました。そうすると、「いにしえの蒼天を染める金色の雪崩」という感じになるでしょうか。もちろん詩ですから「落ちる」でも構いません。朝焼けか夕焼けか、ですが、「第一日目」とあることから朝焼けかと思いましたが、青を強調すれば夕焼けにもなります。

原文では一行目に「第一日目」という言葉が挿入されていますが、実に唐突です。本来なら、三行目のdétachas(解き放った)の後に来るべき句です。pour とjourで韻を踏むために持ってきたとも考えられますが、一度イメージを中断させて、余韻を持たせているのかもしれません。「第一日目」と書くことにより、旧約聖書の「天地創造」を思い起こしますね。

二行目も直訳すると、「星々の永遠の雪」となります。私は白い雪を星の輝きと見立てて「眠る」と繋げましたが、「宿る」のほうがいいかもしれません。

そして三行目では、その雪崩と雪の美のイメージから、「あなた」はかつて第一日目に、まだ災害を知らない若い大地のために、大きな聖杯を解き放ったというんですね。あなたとは誰か、聖杯とは何か、若い大地とは何か、ということになりますが、それは第二節以降に徐々にわかってきます。

第二節
細い首の白鳥とともにある、赤いグラジオラス、
そして、踏みつけられた夜明けの恥辱が赤く染める
熾天使(してんし)の清純な足の指のように深紅の、
追放された魂である、この神々しい月桂樹、

ここには解き放たれた聖杯の中身が書かれています。どうやら中身は花々だったようですね。「白鳥とともにあるグラジオラス」とは、白鳥の細い首ようなグラジオラスという意味が込められていると思います。色は白との対比で赤としましたが、fauveは「鹿の皮のような色」「黄褐色」ということなので、黄色かもしれません。

「踏み付けられた夜明け(暁)」も、とても詩的な表現ですね。熾天使(セラフィム)は、『旧約聖書』の「イザヤ書」に出てくる最上位の天使です。熾天使に踏まれた恥辱(恥じらい)によって、おそらく暁の上を歩む熾天使の足の指が真っ赤に染まってしまうんですね。

その真っ赤な指のように月桂樹は深紅であると言っています。ちょっと待ってよ、月桂樹って緑じゃないの、と思ってしまいますが、別に詩の世界ですから深紅の月桂樹があってもいいのです。私は見たことがありませんが、月桂樹の若葉は少し赤みがかっているそうです。またギリシャ神話では、太陽神アポロンが月桂樹の茂る森で、金の矢で大蛇ピュトンを退治し、その深紅の血(黒い血)を洗い流したとされていますから、赤と無縁ではありません。ちなみに月桂樹laurierは、ケルト語のlaur(緑色)に由来する言葉です。常緑樹であることが名前の意味からもわかりますね。

少し脱線しましたが、「追放された魂」とは何でしょうか。私は詩人の魂のことだと思います。というのも、月桂樹は偉大な詩人にかぶさられる栄光の冠だからです。どうして追放されたかは、ここではわかりませんが、読んでいくとわかってきます。

先に進みましょう。

第三節
ヒアシンス、愛らしく輝く銀梅花、
そして、女の肉体にも似た、残酷な薔薇、
光に満ちた庭園に咲くエロディアードは、
野生の輝ける血を滴らせる女!

この節も、解き放たれた聖杯の中身について語られています。ヒアシンス、銀梅花、薔薇・・・。ここで薔薇が登場しますね。女性の肉体に似て残酷なんだそうです。残酷なほどに美しいということでしょうか。ここは皆さんの人生経験に解釈を委ねましょう。

エロディアードは花にたとえられた女性ですが、同じ名前の人物が聖書に出てきます。ユダヤのヘロデ王の妻で、歌劇『サロメ』にも登場します。結構残酷な王妃です。ただし、マラルメの詩の中の「エロディアード」は、純潔を熱烈に追い求める心たけき処女として現れます(長詩『エロディアード』)。すると「野生の輝ける血」とは処女の純潔の血のことを指しているのでしょうか。

「残酷」のイメージにつられて「滴らせる」と訳しましたが、arroserは「花などに水をやる」「~を通って流れる」の意味がありますから、「野生の血が流れる女」とも訳せます。この部分は、前半の華やかで豊かなイメージとは対照的に、重々しさと冷たさが混ざってきているように思われます。

さて、後半はどうなるでしょうか。「あなた」「聖杯」「大地」の意味が明らかにされますね。
後半部分は明日、解説します。

アンジェとバラ 135.jpg
(続く)





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最終更新日  2008.01.26 13:44:30
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