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2008.01.28
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カテゴリ: 文学・芸術
▼フランスの薔薇(マラルメ4)と宇宙の薔薇

マラルメの「花々」の解説の最後です。
第一節と第六節を比べてみましょう。

第一節
いにしえの蒼天を染める金色の雪崩から、
そして星々に宿る永遠の雪から、第一日目に、
まだ若く、災害とは無縁だった大地のために
かつてあなたは、大きな聖杯を解き放った

第六節
ああ、母よ。あなたは正しく強い胎内に、
人生に疲れて青白くなった詩人のために
香り立つ死とともに大いなる花々を使わして
未来の小瓶をそっと揺らす聖杯を創造したのだ。

「あなた」は「母」に、「若い大地」は「詩人」に対応していることがわかりますね。このように、この詩は二つのイメージが見事に交錯していると思います。一つは神による天地創造のイメージ、もう一つは自分を産んでくれた母に対する慕情のイメージです。

天地創造のイメージに関しては、実はマラルメ自身、なるべく宗教色を薄める改訂を行っているんですね。創作当初、第五節の「聖母よ」は「われらが父よ」、第六節の「母よ」は「聖なる父よ」でした。「われらが父よ」も「聖なる父よ」も、神への呼びかけであることは自明ですね。マラルメはそれを、自分の母へのイメージへと意図的に変えました。第六節のNotre Dameも、本来なら聖母は Notre-Dameとハイフンが付きますが、宗教的意味合いを薄めるためにハイフンを取ったように思われます。

逆に言うと宗教色を薄めたおかげで、マラルメはこの詩に「母の愛」という、より普遍的な意味合いをもたせることに成功しているんですね。この詩の宗教的世界では、神はまだ穢れていない大地に、美しい花々とともに「香り立つ死」や苦悩もパンドラの箱から解き放ちました。その一方で、マラルメと母親との関係を思うと、「母」はまだ苦悩とは無縁のマラルメを産み落とし、美の世界へと解放したことになります。

第一節では無垢であったマラルメも、母や妹の死といった「香り立つ死」を経て、第六節では「疲れて青白く」なります。その間にいろいろな出会いと別れがあったのでしょう。花々は、マラルメの前を通り過ぎて行った女性たちなのかもしれませんね。そんな詩人を「母」はゆりかごを揺する(balancer)ように、「そっと揺ら」します。詩の中では「未来の小瓶」を揺らすことになっていましたね。

「未来の小瓶」は詩人の投影ですが、より具体的なイメージとしては、これから開花するであろう詩人の才能でしょうか。亡くなった母は詩人のミューズでもあるのでしょう。詩人の心を揺すって、詩作に霊感を与えます。

マラルメは10代のときに、フランスの詩人シャルル・ボードレールの『悪の華(Les Fleurs du Mal)』に衝撃を受けます。その中に「小瓶」を想起させるような「香水の瓶(Le Flacon)」という詩が掲載されています。ボードレールにとってその香水の瓶は、詩人を焼き殺すような毒薬が入った「詩」もしくは「詩集」のことだったようです。

これに対してマラルメの瓶には、空っぽの哀しみと、いまだに満たされないぬくもりと、未来でしか得ることのない「母の愛」が詰められているように思われます。

さて、昨日は時間がなくて掲載できなかった写真ですが、「薔薇シリーズ」が100回を超えた記念に「宇宙の薔薇」を紹介しましょう。

宇宙の薔薇

昨日、自家用UFOで天界の星々を旅したときに撮影した、地球から見ると「こと座」のベガのそばに咲く薔薇です。花弁の中心は高温のヘリウムで青く、花弁の外に向かってイオン化した酸素の緑、黄色、オレンジへと変わり、花弁の縁はイオン化した窒素のように赤く光っています。この薔薇の中心には、白色矮星のような芯があり、12万度もの高温のガスを放っているんですね。近づくと焼けどする、危険な女性のような薔薇ですね。

天文台

(東京・三鷹市にある国立天文台の写真パネルを接写した、メシエのカタログ分類でいうとM57のリング星雲でした)





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最終更新日  2008.01.28 11:20:16
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