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2008.06.05
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テーマ: いい言葉(571)
カテゴリ: 文学・芸術
▼ユゴーの薔薇7(王女の薔薇3)
今日は冷酷なフェリペ2世の描写が、これでもかこれでもかというほど続きます。確かにスペインがキリスト教の名の下で、この地球の歴史上行った数々の残虐・野蛮行為は悪名高いものですが、フェリペ2世はその権化みたいな存在なのでしょうか。

Philippe deux etait une chose terrible.
フェリペ2世は恐ろしい存在だった。

Iblis dans le Coran et Cain dans la Bible
コーランに出てくる悪魔も、聖書のカインも、

Sont a peine aussi noirs qu'en son Escurial
亡霊のような皇帝から生まれた、エスコリアル宮殿に住む

royal spectre, fils du spectre imperial.
この亡霊の王とは、腹黒さの点で辛うじて肩を並べられるぐらいだ。

Philippe deux etait le Mal tenant le glaive.
フェリペ2世は剣を手にした悪の化身だった。

Il occupait le haut du monde comme un reve.
彼は世界の上流階級を夢のように支配した。

Il vivait; nul n'osait le regarder; l'effroi
彼は生きていたが、だれもあえて彼を見ようとはしなかった。

Faisait une lumiere etrange autour du roi;
恐れる者は王の周りに奇怪な光を見出した。

On tremblait rien qu'a voir passer ses majordomes;
彼の召使頭が通り過ぎるだけで、みな震え慄いた。

Tant il se confondait, aux yeux troubles des hommes,
恐怖に駆られた人間の目には、王は底なしの淵や

Avec l'abime, avec les astres du ciel bleu!
青空の星々と見分けがつかなかった!

Tant semblait grande a tous son approche de Dieu!
それほど彼は神に近い存在に思われたのだ!

Sa volonte fatale, enfoncee, obstinee,
不可避で、深く刻まれた、執拗な彼の意志は、

Etait comme un crampon mis sur la destinee;
まるで運命に打ち込まれた鎹のようであった。

Il tenait l'Amerique et l'Inde, il s'appuyait
彼はアメリカと西インド諸島を手中にし、

Sur l'Afrique, il regnait sur l'Europe, inquiet
アフリカに覆いかぶさり、ヨーロッパを支配していた。

Seulement du cote de la sombre Angleterre;
唯一つ気掛かりなのは、あの暗いイギリスだ。

Sa bouche etait silence et son ame mystere;
彼の唇は何も語らず、彼の魂は謎だらけ。

Son trone etait de piege et de fraude construit;
その王権は罠と欺瞞で作られていた。

Il avait pour soutien la force de la nuit;
彼は心の支えとして、闇の力を頼りにした。

L'ombre etait le cheval de sa statue equestre.
暗い影が、王の騎馬像の馬であった。

Toujours vetu de noir, ce tout-puissant terrestre
この地上における絶対的支配者は、常に黒い服を身にまとい、

Avait l'air d'etre en deuil de ce qu'il existait;
自分自身の喪に服しているようだった。

Il ressemblait au sphinx qui digere et se tait,
彼は獲物を食べては黙り込むスフィンクスに似ていた。

Immuable; etant tout, il n'avait rien a dire.
何事にも動ぜず、自分がすべてであったから、何も言う必要も無かった。

Nul n'avait vu ce roi sourire; le sourire
誰もこの王が笑うのを見たことがなかった。そもそも

N'etant pas plus possible a ces levres de fer
この鉄の唇に笑みなど浮かぶはずもなかった。

Que l'aurore a la grille obscure de l'enfer.
それは地獄の暗い鉄格子に、曙の光が差し込むようなものだ。

S'il secouait parfois sa torpeur de couleuvre,
時々、蛇のようにけだるい体を動かすことがあっても、

C'etait pour assister le bourreau dans son oeuvre,
それは死刑執行人の仕事を助けるためであった。

Et sa prunelle avait pour clarte le reflet
彼の目の中で光るのは、火刑台の炎の照り返し。

Des buchers sur lesquels par moments il soufflait.
彼は時々、その炎が燃え上がるようにと息を吹きかける。

Il etait redoutable a la pensee, a l'homme,
彼は、思想や人間や生命や進歩や権利にとって

A la vie, au progres, au droit, devot a Rome;
恐るべき敵であったが、ローマ教皇だけには献身的であった。

C'etait Satan regnant au nom de Jesus-Christ;
彼はイエス・キリストの名の下に世界を支配している悪魔であった。

Les choses qui sortaient de son nocturne esprit
闇夜の彼の魂から放たれるものは、

Semblaient un glissement sinistre de viperes.
マムシが不気味に這う姿に似ていた。

L'Escurial, Burgos, Aranjuez, ses repaires,
エスコリアル、ブルゴス、アランフェスといった彼の棲家では、

Jamais n'illuminaient leurs livides plafonds;
その鉛色の天井に明かりが灯ったことがなかった。

Pas de festins, jamais de cour, pas de bouffons;
祝宴もなければ、王宮の華やかさもなく、道化もいなかった。

Les trahisons pour jeu, l'auto-da-fe pour fete.
裏切りが遊びであり、異端者の火刑が祭りであった。

Les rois troubles avaient au-dessus de leur tete
動揺する諸国の王たちの頭上では、

Ses projets dans la nuit obscurement ouverts;
彼の企みが夜の闇の中で密かに花開いていた。

Sa reverie etait un poids sur l'univers;
彼の夢は世界中の人々にのしかかる重圧だった。

Il pouvait et voulait tout vaincre et tout dissoudre;
彼はすべてを征服し、破壊することができたし、またそう望んでもいた。

Sa priere faisait le bruit sourd d'une foudre;
彼の祈りは、響きの鈍い雷鳴のようだった。

De grands eclairs sortaient de ses songes profonds.
巨大な雷光が彼の胸の奥底から放たれていた。

Ceux auxquels il pensait disaient: Nous etouffons.
彼に思われただけで、人々はよくこう言った。「息が詰まりそうだ」

Et les peuples, d'un bout a l'autre de l'empire,
その帝国の国民はだれもかれもが、

Tremblaient, sentant sur eux ces deux yeux fixes luire.
その両目の光が自分に注がれていると感じて、身を振るわせた。


Charles fut le vautour, Philippe est le hibou.
カルロスが強欲なハゲタカなら、フェリペは陰険なフクロウだ。


いかがでしょうか。ユゴーはかなりフェリペ2世を陰湿で残忍な人物に描いていますね。19世紀のフランス人が16世紀のスペイン王をどのように見ていたかがわかって興味深いです。フランスとスペインは昔から戦争を繰り返していました。

最後の行に出てくるカルロスは、フェリペ2世の父親カルロス1世(在位1519~56年)のことです。スペイン王国の繁栄のために幾多の戦争を起こした王でもあります。

次回はいよいよ、スペインの無敵艦隊とイギリスの艦隊が戦闘で激突します。果たして戦争の行方は・・・。
(続く)





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最終更新日  2008.06.05 12:21:27
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