文春新書『英語学習の極意』著者サイト

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美術館・画廊メモ 31

平成26年10月1日~11月12日の美術日誌。日付の新しい順に記録してあります。 各項冒頭の6桁の数字は日付です。展覧会名にリンクが張ってあるものは、ブログ本篇へ飛びます。
このひとつ前の 平成26年8月22日~9月30日の美術日誌 は、 美術館・画廊メモ 30 にあります。
このひとつ後の 平成26年11月13日~12月31日の美術日誌 は、 美術館・画廊メモ 32 にあります。


261112  託摩敦子展 ―食物連鎖― (11/11~29) @ 彩鳳堂画廊  (京橋三丁目)
(エッチングに手彩色の幻想画。……と最後まで信じきってファイルを広げたら、なんと「水性ペン」とある。さまざまな太さの水性黒ペンをつかって、手描きでエッチングの風合いを実現した一点ものだった。絵に添えた詩をファイルで読むと、これもいい。過去から作風は同じだが出来は着実に進歩していて、ここ2年ほどの作品はじっくりと見入らせるしっかりしたコンセプトがある。作家もうつくしい。詩文集をぜひ! 特製トランプを作るなら出資してもいいなぁ。)

261112  内藤瑶子個展 「街角の寓話」 (11/10~15) @ T-BOX  (八重洲二丁目)
(味わいある木版画。怒濤の10代を経て、羽黒洞さんに見いだされて中村正義×内藤瑶子の2人展が企画されたという天才肌の彼女も、子宝に恵まれて新作「母子」には神々しさも漂う。色違い連作「よくばりな犬」。)

261111  上林礼和 (かんばやし・ゆきかず) 個展 ワタシノナカノ“和”ノココロ (11/11~16) @ The Artcomplex Center of Tokyo, ACT3  (大京町)
(浅草寺の空間を抽象化したり、阿吽像を油絵具+石膏+砂で表現したり。神社佛閣の凛とした静謐に心ひかれるという。昭和46年生まれ、鎌倉在住。)

261111  粉川 (こかわ) 江里子展 境界線 (11/4~16) @ The Artcomplex Center of Tokyo, ACT5  (大京町)
(女性の表情の切り取り方がすてきだ。顎に指の甲を当て、唇に微笑みを蓄えてうつむく「乳白色の夢」がいい。)

261111  田中美代子展 「30枚のサムホール」 (11/11~16) @ The Artcomplex Center of Tokyo, ACT4  (大京町)
(車洋二さんキュレーション。車さんの奥さまに初めてお会いした。部屋に入った直後、やばい! これは買ってしまいそうだ。予感は的中、まず「時点-16 風神雷神」。ヒトの乳房を抱えた女狼が演じる風神雷神だ。目を半ば覆いながらそれを見る観客 (とぼくが勝手に見立てた) 「時点-18」、演じた後の楽屋の女性ふたり (とぼくが勝手に見立てた) 「時点-27」。 3 x dek du mil + i

261111  はかまだ みさこ 展 ~imagine~ (11/11~16) @ The Artcomplex Center of Tokyo, ACT2  (大京町)
(蝶の極楽色の翅模様の耳をもつ「癒しの象」が干からびた大地を行くと、緑あふれる恵みの地に変わる。アクリル、水彩、パステルにウッドバーニングも加えた、絵本作家の丹念な絵画。)

261111  Girly展 (11/7~16) @ The Artcomplex Center of Tokyo, B1F  (大京町)
(32人展。立澤香織さんも旧作を出展していたが、奥のステージの坂元友由「ハッピーエンド」が突出してよかった。女の子が机上のデコレーションケーキの前に、潤いのある唇をゆがめて坐っている。ケーキに蝋燭の代わりに立っているのは、点された5本のお線香。彼女が抱える菊の花束。目は潤みきっているが、あえて頬に涙の粒を描かなかった抑制もみごと。シェル美術賞の大賞をぜひ差し上げたい。)

261111  銀座柳画廊20周年記念展 (10/30~11/15) @ 銀座 柳画廊  (銀座五丁目)
(取扱い作家23人ほか計40名、1人1~2点ずつ。こうして並んでみると、岡野博さんの絵の昂揚感が突出している。有田巧さんの「窓辺の果物」の太々とした輪郭線が B・ビュッフェふう。無花果の色づかい。)

261111  筧本生 (かけい・もとなり) 展 カフェ界隈 (11/6~18) @ 日動画廊  (銀座五丁目)
(筧さんの描く、丸っこくて飄々とした人物たち。前から気に入っている。好きな作家だ。しかし今回は、パリの街角の様々なフランス語の文字が目の邪魔になった。奥行き感も不足で、人物たちの後ろに見える街区風景が書割りのように見えるのが残念。)

261107  ウフィツィ美術館展  黄金のルネサンス ボッティチェリからブロンヅィーノまで  (10/11~12/14) @ 東京都美術館  (上野公園)
(ボッティチェリの女性たちは絵画というより2次元の彫像だ。美麗なのに模倣を許さない独特さ。Perugino (本名 Pietro Vannucci) の「聖母子と二人の聖人」の女性たちの顔立ちが、限りなく藤田嗣治の女性たちに通ずる。これを発見してから、ルネサンス期も画家ごとに描く女性の顔立ちはかなり違うものだと納得。ペルジーノ作品ほど藤田嗣治に通ずる作は、本展では他になかった。)

261107  0 (ゼロ) 20の会展 (10/30~11/24) @ ギャラリーくぼた  (京橋二丁目)
(0の会の20周年展。美樂舎会長・澤登丈夫さんが、高速道路夜景にデジタル時刻表示を走らせた作品を2点。)

261106  富永周平展 (11/6~11) @ Shonandai MY Gallery  (六本木七丁目)
(油画を描く前にキャンバスに下塗りをするごとく、富永さんは写真雑誌等からコラージュして地をつくり、そこにローマ周辺の小さな町々の風景をペンで描く。コラージュの材料となる印刷写真は、消しゴムで色が薄くなるまで消すと不思議な奥行き感が出たりする。ローマで生まれ育ったという。)

261105  ウィレム・デ・クーニング展+コレクション展「印象派から抽象絵画まで」 (10/8~27/1/12) @ ブリヂストン美術館  (京橋一丁目)
(予想を上回る収穫だった。Willem de Kooning作品のほとんどは John & Kimiko Powers Collection だ(いまは The Ryobi Foundation が管理)。太描き・細描きの線が自在で、これだけ乱のなかで描いているのに何も足せない何も引けない安定美。響き合うように、菅井汲の「赤い鬼」(昭29)など3点や、追悼特集として趙無極(Zao Wou-Ki)の6点、堂本尚郎 (ひさお) の5点も見ごたえあり。客が少ないのも、見る側としては歓迎。)

261104  山崎龍一 “I'm here” (10/31~11/24) @ 六本木ヒルズA/Dギャラリー  (六本木六丁目)
(色とりどりのバケツに肩から下を沈めるベビー男たち。同じ型からとったに違いないベビー男が、なぜかひとりひとり違って見える。)

261104  ジョルジョ・デ・キリコ 変遷と回帰 (10/25~12/26) @ パナソニック汐留ミュージアム
(卵型ののっぺらぼうを Metafisica な絵に取り込んだ30代前半のキリコだったが、そこから一旦は古典主義に“回帰”し、70代・80代になってふたたび Metafisica に“回帰”する。最晩年の作品はアイズピリの色彩を連想させるものも。15歳年下の妻イザベッラ・ファーを描いた、ネオバロック時代の「赤と黄色の布をつけた坐る裸婦 Nu assis avec draperie rose et jaune」が ぼく好み。)

261103  The Art Fair +Plus-Ultra 2014 ―2nd Term― (10/31~11/3) @ スパイラルガーデン  (南青山五丁目)
(東京ユマニテの佃舞永さんが出品した友成哲郎さんの人面ヘリコプター Delicopter は 6×8×9 cm のミニサイズだがラジコンで飛ぶ (ビデオもあり) 。売れてなければ買っていた。保田智美さんが出品したベルリン在住・加藤 竜 (りょう) さんの作品はかくかくっとした描線が特徴的で、見始めは抵抗があったが、目が慣れると具象・抽象の適度な混在がこころよい。ただ、反原発を文字で書き加えたドローイングには「これってポスターになっちゃってて残念」とコメントしておいた。)

261029  横浜トリエンナーレ 2014  華氏451の藝術: 世界の中心には忘却の海がある  (8/1~11/3) @ 新港ピア  (中区新港)
(やなぎみわ さんが台湾から運ばせた移動舞台車が入り口で出迎えてくれる。土田ヒロミさんの現代ヒロシマ写真。Dinh Q. Le さんの6分半の CGビデオ作品 “South China Sea Pishkun” は軍用ヘリが次々飛来しては海没するリアル。大竹伸朗さんの「網膜屋/記憶濾過小屋」はタイムカプセルのような倉庫の楽しさ。Melvin Moti さんの “No Show” は23分10秒の映像だが、じつはずっと静止画。それってあり!?)

261029 ミレー生誕200年記念  ボストン美術館 ミレー展  傑作の数々と画家の真実  (10/17~27/1/12) @ 三菱一号館美術館  (丸の内二丁目)
(先般 府中市美術館でもミレー展があり、ぼくは行かなかったのだが、図録を見ると府中展のほうがミレー作品の点数は多い。三菱展はミレーと同時代作家らの一流作品で時代の流れを追う趣向。「羊飼いの娘」がいい。女性へのやさしいミレーのまなざしがある。ミレーは若いころ生活のために風俗画・裸婦画を多作したらしく、ぜひ見てみたいが、封印されているのか府中展、三菱展ともそれらしいものはない。)

261028  依田洋一朗 “The Great Gatsby in blue”kia
(9/29~10/31) @ 南天子画廊  (京橋三丁目)
(臙脂+黒がイメージカラーの依田さんだったが、本展は俄然、空色~紺色に染められた。映画 The Great Gatsby のシーンを切り取った、自動車が意味深な無人風景の2枚の絵が好きだ。)

261027  竹内幸子展 (10/27~11/1) @ K's Gallery  (京橋三丁目)
(具象に裏打ちされた、味わいのある抽象。こういう抽象画は好きだ。「ミューズ」の2連作がいい。昭和18年生まれ、日大薬学科卒、二科会会員。)

261027 内藤亜澄展  (10/27~11/8) @ Gallery Tsubaki/GT2  (京橋三丁目)
(メタリックなゆらめきを帯び高圧電流を放出しつつ融解しそうな人物の動感が紡ぐ幻視世界。「誰かの夏」にビビッと来た。6つの十字架や赤い結界線は何の象徴か。「瞬間」「夜明けまで」「止まり木」の3部作も好きだ。)

261026  妖華絢爛 横溝正史トリビュート (10/18~29) @ ビリケンギャラリー  (南青山五丁目)
(15人展。Dollhouse Noah さんの美少女写真に惹かれた。金田アツ子さんの油画もレトロな日本を描いて魅力。)

261026 【店舗】  Heinrich Wang 八方新気  (南青山五丁目8-8)
(じつに斬新なデザインの白磁の陶作品。茶器、花器から佛像まで。自らはデザイナーに徹し、製造は金沢の工房に委託するというビジネスモデルが奏功した。版画家が刷り師に刷りを任せるのと同じ発想だ。存命にして既に故宮博物院に作品が収まっているという。価格もお手頃だった。)

261026  The Art Fair +Plus-Ultra 2014 ―1st Term― (10/25~28) @ スパイラルガーデン  (南青山五丁目)
(かんの自然、車洋二、光井聡、伊藤愛の皆さんにご挨拶。Artrates & The Hive Gallery and Studios のブースで、作家競作22枚のタロットカード Hive Tarot #4 と #5 を購入。李恵源さん出品の、宇田川誉仁さんの動物オブジェがおもしろい。紙粘土と金属部品、電子パーツなどを組み合わせて、メカニックだが愛嬌のある作品。)

261026 第5回「企業のデザイン展」  花王 にほんのきれいのあたりまえ展 (10/4~26) @ 東京藝術大学大学美術館 陳列館  (上野公園)
(時代に寄り添って考え抜かれたパッケージングや花王マーク。企業デザインの展示は楽しい。)

261026  台灣の近代美術 ―― 留学生たちの青春群像(1895-1945) (9/12~10/26) @ 東京藝術大学大学美術館3階  (上野公園)
(東京美術学校でおもに油彩画を学んだ台湾留学生14名の自画像と諸作品、計50点。ぴか一は、劉錦堂「台湾遺民図」。素足に支那服の女性3名が観音のごとく並び立つ。ポスターに使われた李石樵「市場の入り口」は、雑踏の喧騒のなかに土地柄が自然滲み出している。)

261024  菱田春草展 (9/23~11/3) @ 東京国立近代美術館1階
(9月26日に前期展示を見て、今回は展示替え後の後期展示。目玉は重要文化財の「黒き猫」で、出口際の展示室にあった。「落葉」で見せた樹木と、存在感つよき猫の組合せだから人気も当然。想像より大きめの掛軸だ。「松山の朝」は愛媛県松山市にあらず、Pine-dotted Mountains in the Moring だが、意匠化のセンスはさすが。)

261024  MOMAT コレクション (8/30~11/3) @ 東京国立近代美術館2~4階
(第7室「国吉康雄」特集がいい。Between Two Worlds(昭14)、Somebody Tore My Poster(昭18)の女性が、あばずれてるのに凛として気品まで感じさせる。映像コーナーでは藤田嗣治が監督した昭12作品 Picturesque Japan 子供篇で、なんと松山市でロケしたもの。坊やが床屋で丸坊主になり、松山城でチャンバラごっこだ。作品完成後、子供たちのなりが貧相だと体制側が批判しお蔵入りになったらしい。現代アートでは、中西夏之 (なつゆき) の卵型のアクリル製「コンパクト・オブジェ」シリーズに注目。)

261024  北川健次展 「Stresaの組鐘――偏角31度の見えない螺旋に沿って」 (10/22~11/10) @ 日本橋高島屋6階美術画廊X
(美樂舎10月例会で親しくなった北川さんの著作4冊を持参し署名をいただいた。今回の個展は数十点のコラージュとオブジェ、若干の写真作品。オブジェに使用済郵便切手をコラージュしたものが多いが、消印が切手の端っこで切れてしまうのでオブジェ表面では異物のままだ。オブジェ表面のほうに消印を延長させる (延長部分は手描きする) とゾクッと来るかもしれない。)

261023  The Mirror: Hold the Mirror Up to Nature  いまアートの鏡が真実を映す。Art+Design+Library+Lecture  (10/16~11/9) @ 名古屋商工会館 2~6階 (会期中は銀座四丁目 The Mirror 館と称す)
(建物は昭和5年竣工の6階建て (通りから見ると4階建てに見える) 。2階から6階まで ぽこぽこと現代アートを展示するも、チベット佛画がいちばんいい。松岡正剛「屋根裏ブックフェア」も楽しめた。入場料1,000円は高いけど、何があるんだろうというワクワク感は裏切られなかった。レトロなビルをこんな形で再生できるわけだ。)

261022  李明維 (り・めいい) とその関係展 Lee Mingwei and His Relations  参加するアート ―― 見る、話す、贈る、書く、食べる、そして世界とつながる The Art of Participation -- Seeing, Conversing, Gift-Giving, Writing Dining and Getting Connected to the World  (9/20~27/1/4) @ 森美術館  (六本木六丁目)
(「リー・ミンウェイと…」展は、森美術館主催・台湾文化部共催。平成24年の Stone Journey(石の旅)が直截: NZ の氷河期の石とブロンズの複製が並び、無期限ながら何れかを捨てる決断をせねばならぬというお約束の作品。そのお約束があるから、なんの変哲もない石とその茶色のコピーを真剣に眺め考える。李明維氏のアートはブロンズ製複製だが、よくよく見ると造化の作物たるただの石ころにはるかに味わいがある。思考と発見を強いる契機こそ、アートの本質だ。自宅に帰るまでに街ゆく見知らぬひとに贈ることというお約束の、葉っぱのない花々。帰りのエレベーターで同乗した女性2人が花を持っていて、どうしようかと思惑中。「永遠に迷い続けるのもアートでしょうね」と声をかけた。)

261022  天明屋尚「原画に至る道程 ―画稿―」展 (10/3~26) @ 六本木ヒルズ A/D ギャラリー  (六本木六丁目)
(新作品集 “Masterpiece” (青幻舎・刊) に収録の、いくさ物やアウトロー集団もののリトグラフとそのラフスケッチ。ぼく好みは、龍・狐・獅の装飾画3点セット。じつに丁寧な作画で彩色も変化に富む。)

261022  2 + 2 After Birth|石庭美和 (いしば・みわ) ・替場綾乃・佐藤栄輔・中矢篤志 (10/4~11/1) @ Gallery MoMo Projects  (六本木六丁目)
(育児多忙で個展を張れる数の作品が作れないアーティスト4人のためにグループ展を企画するオーナー杉田夫妻の親心! 石庭美和さんのドローイングの少女がいい。欧州の血が混じっているようでもあり、宇宙人の血のようでもあり。この少女を描いた絵を、いつか買いたい。)

261022  田端麻子 (あさこ) 展 (10/16~25) @ 靖山画廊  (銀座五丁目)
(ムンクの「叫び」の川流れみたいな「睡魔」と題する脱力絵が DM で、ピンと来なかったが、個展に行ってみたら「ムンク越え」していて過去ファイルに目を通して感銘を受けた。昭和47年生まれ、多摩美油画卒だが、美大時代の自画像がすでにして完成度抜群。そこからぐっと力を抜いて、おぼろと鮮明の合間でたゆたう人間の記憶のような絵やオブジェを多作する。彼女は天才だ。)

261021  門倉直子 “The works of charcoal” (10/10~31) @ アート★アイガ  (八丁堀二丁目)
(門倉少女たちを木炭でドローイングに。女の子と目と目が遭うと、ぞくっとする。やはり、欲しい!と思うものは大抵売れている。大サイズの木炭画となると、額装は必須だろう。今回は断念。ところで、ぼくの次女が門倉少女にちょっと似ている。)

261021  下町アート動物園 Part II (10/17~30) @ Fuma Contemporary Tokyo  (入船一丁目)
(高レベルの6人展。田中 望さん新作は、出征兵士への追悼を兎たちの終わることのない踊りに託したか。作品に人物が登場するとは新展開だ。中里勇太さんの写実木彫は気迫みなぎる角獣の隣りに、黒兎がやわやわとした毛の質感まで帯びて坐る。高橋賢悟さんは蘭の花の群生をアルミニウムの鋳金で創り出す高度な技。株田昌彦さんの現代建設ふうにあしらったバベルの塔の絵、手が届く値段なので欲しくなった。花田千絵さんは、無造作に切り出した木片を寄せて猫をつくって、いい味。中井章裕さんの、背にファスナーのついた白兎たちは、これを着て兎を演じた人間が抜け出たあとの抜け殻という設定もおもしろい。)

261021  小澤 (こざわ) 太一写真展 ナウル日和 (10/16~22) @ 銀座 Canon Gallery  (銀座三丁目)
(化粧の最中のナウルの子供たちを撮ったDM写真にひかれ、はじめてこのギャラリーに来た。これから訪廊レパートリーに入れよう。小柄な小澤さんは昭和50年生まれ。)

261021  六輝会展 (10/16~25) @ ギャラリー アートもりもと  (銀座三丁目)
(6人展。うち柏木健佑 (かしわぎ・けんゆう) さんの油画に大注目だ。牧野邦夫さんの丹念さに石田徹也さんのセンスが加わったような。コラージュふうの「誕生」、ひとを食った「長い奴」 (巨大な大便を神域に運び入れんとする群衆!) など。昭和63年生まれ、北海道教育大卒、埼玉大 院在籍。)

261020  篠田桃紅 (とうこう) 作品展 「百歳の力」出版記念 (10/15~21) @ 銀座三越8階ギャラリー  (銀座四丁目)
(以前見た作品に比べると線がやや萎びたようにも感じられるが、大作には8千万円台の値をつけていた。国際的な著名人だから、これは米国価格でしょう。)

261020  中田柾志 (まさし) 写真展 エロスセンター/素人モデル (10/20~11/1) @ ヴァニラ画廊 A展示室  (銀座八丁目)
(フランクフルトの現代娼窟、といっても、ファッションマッサージのお店って感じですが、それぞれの女の子の部屋だけ撮ったもの。解説がおもしろい。素人モデルは不発だけど、女性たちがモデルを志願するメール文がおもしろかった。)

261020  所幸則 (ところ・ゆきのり) 作品展 One Second ~瞬間と永遠~ (10/10~30) @ Sony Imaging Gallery  (銀座五丁目)
(渋谷やマンハッタンで1秒間の露光で写真を撮る。動きが幽体となって、おもしろい画像。渋谷の写真集があって、高松出身の黒縁眼鏡の所さんが「サインしますよ」と言ってくれたけど買わなかったのは、単純にぼくが渋谷を見慣れていて新鮮味が臨界点に達しなかったからかな。)

261020  Halloween展 ―ちいさな夜― by クリエイティ部 (10/20~25) @ Gallery銀座フォレスト  (銀座一丁目)
(石川真衣さんがキャッツっぽく顔を塗って「おひさしぶりです」。狼女だったらしい。新作はACTで見たものでしたね。高校の同級生5人、違う美大にわかれたけど時々集まってワイワイしてたけど、今回はじめてグループ展、ということで文化祭のノリですね。真衣さんが奥のメインの場所を取ってたな。)

261020  坂東壯一 蔵書票集1977~2014 出版記念展 (10/20~11/1) @ スパンアートギャラリー  (銀座二丁目)
(『蔵書票集』は特装限定本が16万円、21部;普及本が5,500円、250部。丹念なエッチングだが、ぼくの趣味と合わなかった。作品のほうはモノクロが1万円、手彩色ものが2万円とお安め。)

261018  印象青海 青海省タンカ藝術展 (9/26~10/19) @ 日中友好会館美術館  (後楽一丁目)
(タンカとはチベット仏教の軸装佛画。青海省の2人のトゥー (土) 人の絵師の仕事はじつに緻密で、鉱物を粉にし水に溶いて着色する色づかいも中間色が多彩で美しい。)

261018  東美アートフェア (9/17~19) @ 東京美術倶楽部 1・3・4階  (新橋六丁目)
(近現代美術のブースも少数あるが、古美術店の比率が高く、古美術フェアと改名すべき臨界点が近いのでは? 秋華洞「岡本東子日本画展」と新生堂「絹谷香菜子・山崎鈴子展」の案内状をいただいた。山崎鈴子さんの蓮の花は、永井画廊で見たものより大振りで安定感があり、王女の風格のある花だ。須田剋太 (こくた) が人気で、思文閣で書、至峰堂で絵、ほか古美術ブースでも。福井江太郎さんも引っ張りだこで、靖雅堂夏目美術店で駝鳥、永善堂で菖蒲。村越画廊ブースの、吉田潤さんの古式コラージュと今西麻喜さんの布人形もいい。)

261017  チューリヒ美術館展 ―― 印象派からシュルレアリスムまで (9/25~12/15) @ 国立新美術館  企画展示室1E
(Kunsthaus Zuerich あなどるべからず。もう1度観に来ようと思った。鑑賞は例によっていったん出口まで急いで見て、そこから逆向きに。だから C. Monet の 2m×6m の抽象画「睡蓮の池、夕暮れ」も、絵の前にひとり立って見入った。贅沢! かりに1点手に入れられるなら、謎の解きほぐしにたっぷりと時間を費やせる Giovanni Segantini「淫蕩な女たちへの懲罰」だな。V. van Gogh の2点も選りすぐりだ。「立葵」は色が深いし、「サント=マリーの白い小屋」は細かな筆致で鮮烈な色彩。F. Vallotton も4点あり、図録は Vallotton のために買ったようなものだ。)

261016  倉地比沙支 個展 濡れ色の美学 (10/13~26) @ 万画廊  (銀座一丁目)
(上野の都美術館で倉地作品を見て、これは行かねば! 写真では分らなかったが、黒塗りもじつに丹念な曲線の集積で、だから見る者が引き込まれる。万画廊でぼくの初購入作品となる小品 “Burger” は、東南アジアの旅に触発されて出来たものらしく、牛蒡のように見える飛び出た具はバッタではないか。山本至さんの版画作品 “Fishburger” に続き、バーガーものは2点目だ。この調子でバーガーコレクションをしてみようか。)

261016  yuki個展 [Femme fatale] (10/13~18) @ Gallery銀座フォレスト  (銀座一丁目)
(Beardsleyのサロメのようなペン画も描線が安定している。これに、いいモチーフが加われば無敵だが! きらきら少女のペン画を描いてから、友達に扮装させて実写版を撮る企画も2点あり。応援購入したかったが、おカネがなくて御免ね。)

261016  柳沼有希 初個展 ~白黒蝶々~ (10/13~19) @ アモーレ銀座515号室  (銀座一丁目)
(ドローイングを中心に出来不出来のムラ有。でも数点、いい幻想画あり。今後も修行を重ねて大いに活躍を!)

261016  橋爪彩 (はしづめ・さい) |Beautiful Stranger (9/27~10/19) @ Pola Museum Annex  (銀座一丁目)
(写真と見まがう丁寧な作画で女性たちを描く。色褪せたような、あるいは過度にヴィヴィッドな色調が、絵画であることを思い出させる。女性たちはけっして目を見せない。そこは不満ですね。昭和55年生まれ、東京藝大油画 院修了。)

261016  日本版画協会 第82回 版画展 (10/5~19) @ 東京都美術館1階  (上野公園)
(画廊では版画作品の比率が高いのに日展などの版画は貧弱で、どういうことかと訝っていたら、日本版画協会の版画展が版画家の活躍披露の場になっていたわけだ。かりにこれだけ多数の油画・日本画があったとすると、後半のその他大勢の作品コーナーに来るとダレてくるのだが、この版画展は「ダレ場」がない。版画は手法が多様で、インクの美そのものを純粋に楽しむ切り口もあるし、「やっつけ仕事の版画」というのはありえず必ず版画家は作品と長い対話を経ているから、一定のレベルが確保されるのだろう。)

261016  藤井勘介展 (10/16~25) @ ギャラリー広岡美術  (神田駿河台三丁目)
(勘介の「介」は土へん付き。素朴な味わいの構図とヴィヴィッドな色彩。椿が人気だ。勘介さんが京都から来られていて、ちょうど画廊に届いた額装前の作品の数々をも見せてくださった。画集の制作を企画中という。)

261015  ものおくり ―― 田中望 (のぞみ)  (10/10~26) @ Art Front Gallery  (猿楽町)
(この画廊に来るのは1年半ぶりか。翁の顔が浮かぶ山の手前を兎舟が盛んに往来する絵がいい。兎の酒造りの大作の下絵もあり、田中望さん来年も楽しみ。)

261015  小林裕児展 「よみがえりの木」 (10/11~25) @ ギャラリー椿  (京橋三丁目)
(シャガールを思わせる幻視感、浮遊人物と白馬。クラシックなオートバイの空中疾駆は、シャガール作品の荷馬車の現在形でしょうか。個展初日にはコントラバスの伴奏で さとうじゅんこ さんが歌い小林裕児さんがライブペインティングというイベントをやっています。いつの日かギャラリー椿で朗読劇をやりたいな。)

261015  美祭16 (10/11~19) @ 加島美術  (京橋三丁目)
(わたし如き通りすがりの者にも加島美術さんは、29.5cm×29.5cm×1.7cm 全306頁、あらゆる展覧会図録より大判の美祭カタログを送ってくれて、毎度申し訳なく思う。1階・2階と、いいものがあったが、店のひとが客に掛軸の説明をしながら絵のあちこちを触り撫でる光景には白けたね。陶器は触っていいと思うが、絵はダメだろ、店の者でも。加島美術の点数が下がってしまった。)

261015  森洋史個展 Oh My Goodness! (10/11~11/8) @ 木之庄企畫  (八重洲二丁目)
(キリスト教画の全体構図+アニメふう人物+現代モチーフ部品 (自動車、爆発…) のシリーズ作品で埋め尽くされた部屋に立つと、1作単位で見るとき感じたアンバランス感は消え、これこそが世界そのものという錯覚に陥れてくれる。場面の壁や柱が緻密なレリーフ工藝で作られているので、あとはどう遊んでも絵になる。アニメふう人物も筆痕が生々しく残され、絵画を主張する。)

261011  横浜トリエンナーレ 2014  華氏451の藝術: 世界の中心には忘却の海がある  (8/1~11/3) @ 横浜美術館  (みなとみらい三丁目)
(美術館入口前のゴシック建築風の「低床トレーラー」が期待感をかき立てたが、とくに展示前半は内向的で理屈っぽい作品が多く、面白くない。Pierre Molinier のグロい写真作品や Alina Szapocznikow の肉体風造形、Andy Warhol の「鎌と槌」シリーズの写真がよかった。)

261009  冷墨清志 (ひやずみ・きよし) 展 秘密のシャンデリアリズムショー The Chandelierlism Show (10/6~11) @ ヴァニラ画廊  (銀座八丁目)
(写実の腕前をものすごく上げた横尾忠則さんが美女+エロ+シュールのパノラマ画を描いた、といったところ。昭和35年生まれの冷墨さんは20年余りのグラフィックデザイナーの生業を経て、平成24年から油絵制作開始。プロの技に感嘆する。来年、おカネができたら、ぜひ一作買いたい。ピンバッジを6種類もいただいてしまった。ありがとうございます!)

261009  Skull! Skull! Skull! 展 小田隆×守亜和由紀×横山隼 (10/6~18) @ ヴァニラ画廊 A展示室  (銀座八丁目)
(3つの頭が結合したゴリラ阿修羅の髑髏のドローイングが目を引くが、展示作品のほとんどはフツウの動物写実画で、拍子抜け。)

261009  丹野徹展 (10/2~11) @ 靖山画廊  (銀座五丁目)
(期待を大幅に上回る、静謐とミステリーをたたえた写真展。地底の闇に浮かび出る獣の博物誌 “Subterranean” シリーズの凝縮度に圧倒された。)

261009  森村智子 (ちし)  トリトメ展 (10/7~12) @ The Artcomplex Center of Tokyo, Act 3  (大京町)
(ゆがんだ形の切り株スライスに、ミステリアスな女の子が展開する。Gallery 銀座フォレストミニで何度か個展を見てきたが、一段と腕を上げた。)

261009  菊池まゆ個展 「わたしの都合」 (10/7~12) @ The Artcomplex Center of Tokyo, Act 4  (大京町)
(イラストレーターとしての修行の甲斐あって、寓意に満ちた顔が描けるひとだ。これまで東南アジアのアーティストを思わせる作品を作ってきたのを、今回方向転換した由で、応援したくて「とろける太陽」を購入 (tri dek mil) 。キュレーターの かんの自然 (じねん) さんの人柄の良さも応援したくて。自然さんはもうすぐ小伝馬町あたりに自分の画廊をオープンする由。)

261009  INTRO 2 ―コレクター山本冬彦が選ぶ若手作家展― (10/7~19) @ The Artcomplex Center of Tokyo, Act 5  (大京町)
(12人展。山本冬彦軍団も、新しいひとがたくさん。石川真衣さんから案内をもらったが、新作1点以外は Gallery Speak For で見た旧作だった。中国・大連出身の邵立さんが、てらてらとした華やぎのある踊り子を描いていて、欲しくなった。神話のようなテーマの処理も巧みだ。東京藝大油画 院修了で、いまは中国・長春の中国国立東北師範大美術学院の講師をし、半年は日本に来て過ごす。藝術ビザというのがあるのだそうだ。ほか、福島万里子さんの油画に凄み。これまで壁画大作が多かった石原七生さんが、買いやすいサイズの装飾的小品を出展。)

261008  蔡國華 展 (10/6~16) @ 金井画廊・ドゥ <doux> 画廊  (京橋二丁目)
(パリの路地裏の夜を描いた「ガス燈」の深みと奥行きに魅せられた。昭和39年上海生まれ、上海交通大 院修了の後、武蔵美 院修了。日本在住で、オーストラリア国籍。)

261008  鵜沼聡美 (うぬま・さとみ) 展 ―うぬまのうねり― (10/6~11) @ ギャルリー東京ユマニテ  (京橋二丁目)
(DM を見て、楽しみにしていた個展。ジェームズ・アンソールを思わせる人物群像の「酒場」は、彩色も変化に富み、空間次元のゆがみも おもしろい。1.3 m×1.6 m の大作だが、みごと売れていた。昭和62年生まれ、多摩美油画3年生。これまでの修行の甲斐があった。大画面を持て余している箇所も散見する。気合を隅々に行き渡らせると、すごい絵が描けそうな作家だ。)

261007  染瀬 (そめせ) 直人作品展 トーキョー・バーチャル・リアリティ (9/19~10/9) @ Sony Imaging Gallery  (銀座五丁目)
(原宿の「キャンディー・ア・ゴー・ゴー」のポップな写真に惹かれて来てみたら、それは360度パノラマ VR だった。そのシリーズでは、キタコレビルはやとちり(高円寺)、ロボットレストラン(新宿)、まんだらげ(中野)を撮った。写真のある部分だけがビデオとしての動きを繰り返す「シネマグラフ」シリーズもおもしろい。K392 ギャラリーで見た Kisai 如月愛さん「まんまるくん数千余体」の完成風景を超高画質で撮影した作品があって、嬉。いずれも印画紙ではなく、液晶モニターでの展示。)

261007  伊原セイチ 魂のやくそく ―浪花高津宮 とこしえの舟 建造への序章― (10/6~12) @ あかね画廊  (銀座四丁目)
(写真展かなと思ったら、画廊中央に樹の基部を載せた葦舟を奉納展示し、画廊奥のスペースは祠と化していた。)

261007  河内成幸 (かわち・せいこう) 版画展 翔べ不二 (10/1~11) @ Niche Gallery  (銀座三丁目)
(山本冬彦展のコレクション展で見た「飛べ北斎」の作家だと気がついて、つながる。鶏くんたちの威勢のよさに眩惑されて、もっと若い作家なのかと思っていたら、昭和23年生まれの大ベテランだった。ぼくの趣味からすると、無数の傷のように作品を専横する曲線群が目障りに思える作品がやや多い。)

261007  忠田愛 (ちゅうだ・あい) 展 ―櫂を漕ぐ― (10/1~8) @ ギャラリー枝香庵  (銀座三丁目)
(老人のやすらかな死に顔のような、あまりに地味な写実画の DM を見て、てっきり60代の男性作家と想像したら、なんと昭和56年生まれの女性。同志社大で美学を学び、香月泰男作品に巡り合って画家を志し京都造形藝大 院修了。フレスコ画の味わいの絵画を求めて、麻布・陶土・岩絵具・土性顔料・墨で以ていわば平面の陶に挑む。旦那さまも陶芸家という。)

261006  第6回「国際フォトグラフィー・ショー」 Tokyo Photo 2014  フォト・フェア(作品展示・販売)×特別企画展のフォトグラフィー・ショー  (10/3~6) @ 東京ビル TOKIA 西側ガレリア  (丸の内二丁目)
(1,300円の入場料を取るにしては規模が小さい。TOKIA のロビーと別棟なのにロビーに全く表示がなく、昼休みに一度来たけど場所が分らず憤然とした。三菱地所がロビーに場所案内表示を出すことを許さないのだという。バカじゃなかろか! ドイツの Camera Work が出展していた Paolo Roversi の “Natalia, Paris, 2009” に魅せられた。写真集 PHOTO:BOX を購入。Jimmy Nelson の大型写真集 “Before They Pass Away” が欲しくなったが、図書館で楽しむべきかな。)

261006  藤平伸 (ふじひら・しん) 回顧展 ―陶と絵― (10/4~13) @ 和光ホール  (銀座四丁目)
(ほのぼのした陶の造形は彩色も美しい。もし香炉を蒐めているとしたら、寺院型の大きな香炉に喉から手が出る。大正11年生まれ、平成24年逝去。)

261006  不特定秘密絵画展 十河雅典 (そごう・まさのり) 2014 (10/6~18) @ Steps Gallery  (銀座四丁目)
(ぎゃっギャッぎょっギェッ! 大作数点に加え、葉書3枚セットの額装もの多数。心が動いたのはモノクロヌード写真にギャッぎゃっとマジック加筆したシリーズ。昭和18年生まれ、東京藝大工藝科ヴィジュアルデザイン卒⇒電通⇒茨城大で教鞭。学生への指導は厳しかった由。)

261006  Roger Barnard: Recent Paintings (10/6~18) @ Gallery 58  (銀座四丁目)
(山と緑の風景をやや抽象化した作品に始まり、図形コンポジションにまで抽象度を上げたものまで。会議室に飾るのにピッタリかな。昭和19年、英国 Kent 生まれ。平成8~26年、多摩美で英語の教授として奉職。)

261006  清水智裕展 ―それを楽園とせよ― (10/1~7) @ 銀座三越8階ギャラリー  (銀座四丁目)
(初日から10点ほど展示替えしてあり、新鮮だった。昼休みは台風の影響で智裕さん不在で、夕方ようやく会えた。ぼくが今回買った「サンクチュアリ」と「神官より」が、所蔵の「お告げを聞きに」とストーリーとしてつながっていることを知り、買ってよかったと改めて思った。)

261003  東京国立博物館 総合文化展(常設展) @ 東京国立博物館
(常設展と言っても、室単位で期間限定企画をやっている。本館入口すぐ奥では、2014年日中韓国立博物館合同企画特別展「東アジアの華 陶磁名品展」。3国が15点ずつ出しているが、日本が国宝や重要文化財で固めているのに、中韓は出品のレベルを落としている感じだ。韓国の「国宝96号 青磁亀形水注」は、いいなと思ったが。
本館1階第14室「漆藝に見る東西交流」の南蛮趣味のおもしろさ。長崎製の螺鈿が美しい。本館2階「唐物ってなに?」は、鎌倉・室町の日本人の異国趣味のイメージを回顧する興味深い視点。平成館の「キリシタン関係遺品」で、踏絵の現物をはじめて何点も見る。禁教の高札やマリア観音。長崎奉行旧蔵の磔刑図も。
近代美術コーナーは、シカゴ コロンブス世界博覧会に出品した高水準の大型絵画や陶藝が見ごたえあり。月岡芳年「風俗三十二相」。中沢弘光「霧(裸婦)」。)


261003  濱口真央+中井結 (むすぶ)  二人展 『蝶葬の日々II』 (10/3~24、 金土のみ ) @ Galerie Or・Terre  (京橋一丁目)
(沖縄で活躍のおふたり。アクリル画の濱口さんと鉛筆画の中井さんだが、描く少女の世界は通じ合う。中井結さん (男性です) には Natako Oo 作品展示トラブルの折、Facebook で掩護射撃コメントをいただいた。感謝の意味もありドローイング「円環IV」を購入。)

261003  Massimo Leardini 写真展 “Scandinavia” + 鈴木雄二収蔵展 “11 Episodes” (~10/5) @ 72 Gallery  (京橋三丁目)
(イタリア人のレアルディーニさんはノルウェイを拠点に活躍。女性写真2点、いいのあり。鈴木さんは T.I.P.講師。選りすぐりの写真を見せられると、なるほど見ごたえあり。関連写真集も置かれ、いい企画だ。)

261002  福島淑子 (よしこ)  「ゆめうつつ」 (9/6~10/4) @ Gallery MoMo Ryogoku  (亀沢一丁目)
(赤い葉脈の植物群、朱色の肌の腕と、思いがけない彩色が刺激的だ。油画のデフォルメの出発点を示す鉛筆画の少女像を画廊オーナー杉田鐵男さんが奥から出してきてくれたので購入 (dudek ses mil + i) 。昭和60年生まれ、武蔵美油絵卒、平成19年シェル賞グランプリ。)

261001  野田裕示 (ひろじ) 「拡大の一例 II」 (9/29~10/18) @ Galerie Tokyo Humanite  (京橋二丁目)
(青々とし、モリモリとし、盛々と繰り出されるフォルムが揺れる。)

261001  北川香乃花 (このか) 展 (9/29~10/4) @ Galerie Tokyo Humanite lab  (京橋二丁目)
(写実から幻想風まで、さまざまに繰り出す全身自画像は、細部まで凝った装い。たぶん20年くらい経つと芳香を放つ。豚が豚テキを食う小品がおもしろく、やや心が動く。)

261001 リニューアルオープン展 第1回  Photographs by Five 北井一夫|鷹野隆大|楢橋朝子|浦上有紀|オノデラユキ (9/26~11/8) @ Zeit-Foto Salon  (京橋三丁目)
(羅針盤の下の階が長らく空いていたが、写真ギャラリーが入った。販売用の写真集のストックもあるようなので、改めて行ってみよう。最近とみに写真集にも心ひかれる。)

261001  杉田達哉 (たつや) 展 (9/29~10/10) @ Gallery Tsubaki/GT2  (京橋三丁目)
(有元利夫さんを思い切り親しみやすく (でもちょっとどことなくぎこちなく) したような、という変な比喩ですみません。書籍の装画も手掛けておられます。杉田達哉画の絵本、実現してみたくなります。)

261001  ディスカバー、ディスカバー・ジャパン「遠く」へ行きたい (9/13~11/9) @ 東京ステーションギャラリー  (丸の内一丁目)
(大阪万博前後の日本の振り返り。「ディスカバー・ジャパン」じたいは限りなく JR 自社ネタだが、同時代のさまざまなアンチテーゼを陳列した後半と併せて見ると、ひとつの時代が浮かび上がってくる。)

261001  清水智裕展 ―それを楽園とせよ― (10/1~7) @ 銀座三越8階ギャラリー  (銀座四丁目)
(待ちに待った清水展。朝一番に行って、油画3点、ドローイング1点を購入。DM葉書の「ガーデンテラス」 (sesdek kvin mil + i) は、多くの人が狙っていたはず。先に買って申し訳ありません。ほかに「サンクチュアリ」 (kvindek mil + i) 、「神官より」 (kvardek mil +i) 、ドローイング (dek kvin mil + i) 。いずれも静謐な場のミステリアスな少女。近作は、武闘派少女がモチーフの中心になっていて、ちょっとぼくの期待から外れてきてる部分もあります。南洋の大蛸と水着の少女の闘いは、だいぶ立体的に描き込まれて成長し、これ以上描くとヤバイ状態。誰か早く買って!)


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