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よぴさんのつぶやき
小さなともし火が消えた瞬間
先週の段階(赤ちゃんの身体にお水があると告げられた日)で私の中の選択肢は2つしかありませんでした。
1,赤ちゃんの身体のお水が消えている
2,赤ちゃんの身体のお水が消えていない
その中に赤ちゃんが死んでしまうかもしれないという選択肢なんて、これっぽっちもありませんでした。
だからこそ突然つきつけられた現実は、玄関開けたら目の前が地雷畑で、気がつかずに1歩踏み出して踏んづけて世界の果てまで吹っ飛んだ、以上のものがありました。
魂が吹っ飛んだ私は先生が何か言っても返事だけをするのがやっとで、内容なんてあんまり聞いていませんでした(聞けるわけないよ・・・)。
心拍が停止していると告げられた直後に、入院や手術の手続きの話がまた淡々と始まったわけですが、あまりにも先生が事務的なのが腹立たしくもあり、またありがたくもありました。
少しは私の気持ちも考えてくれよと思う反面、何か適当に(適当じゃないけど)話していてくれないとすぐにでも涙が出そうでだめだ…という状態だったからなのです。
赤ちゃんが自ら心臓を止めてしまった原因は、私自身にあったか、赤ちゃん自身の問題だったか、10週というあまりにも小さな命だった為にわからないと言われました。(本などで読んだところによると、12週までに胎児が死んでしまった場合は、赤ちゃん自身に問題がある場合が多い…染色体に問題があるという事ですが。詳しい事は、はっきりわかりません。)
そして治療法も今の段階ではなかったとも言われました。
いつ心臓を止めてしまったのかも、はっきりはわかりませんでした。
わからないだらけの中でただ一つわかっていた事は、赤ちゃんがいなくなってしまった事と、身長はたった2、3センチだったという事だけでした。
10週といわれていましたが、大きさ的にはもっと小さかったようです(推測です)。
赤ちゃんが胎内で死んでしまった為に、その羊水や赤ちゃん自身を胎内から出す手術が行われると説明されました。
手術の同意書などサインを書かされたり、なんだか色々言われた内容も、言われたからやっていただけで、はっきりした事は覚えていませんでした。
すぐに入院の為の検査が行われ、悲しいとか思う暇もなく血液をとられたり、心電図を取られたり、とにかく検査室をぐるぐる回って、終わった時には放心状態でした。
処方箋が出ていたのにもかかわらず薬をもらうのも忘れて家に帰るバスに乗っていました。
家につくといつもの私でした。なんとなくテレビをつけて、ワイドショーなんかを普通に見ていました。
泣いたのはそれから2時間後でした。
私の場合、予測もなく(出血や痛みなどがまったくなく)胎内で赤ちゃんが死んでしまった為に、胎児死亡という事がすぐに受け入れられずにいました。
あの時助産婦さんがモニターを私に見せてくれる様に先生にお願いしなければ、私はこの子の姿を見る事なく、この子の死という事実を受け入れなければなりませんでした。
モニターを見てもなお「え、本当は動いているんじゃないの?よく見たの?」と思ったぐらいです。
モニターを見なかったら多分ずっと「実は…実は…。」とか思っていたかもしれません。
正直次の日だって実は生き返ったり?とか思ってました。
そんな事は絶対ないって事はわかっているのですが、何せ証拠がないと人というものはすべてを疑ったりするものなのかもしれないなぁと思いました。
よく子供が突然行方不明になって公開捜査をしている番組とかをみても、親は子供が生きていると信じて呼びかけたりしているではないですか。たとえそれが何年もたってても。
その気持ちと一緒にするのは違うかもしれないけど、その子の死を自分で認めないかぎりやっぱり親の中で子供は生きている。モニターで死を確認した私でさえ、信じられずにいるわけなのですから。
病院はどちらかといえば冷たいです、事務的です。
人が一人死んじゃってもそれはただの1日の中の通過点であって、一つのイベントではない。
もしかしたら病院では1日に何人もの人々が亡くなっているのかもしれない。
でも、私にとっては重要なことで、そのケアをしてほしいというのは多分贅沢な望みではないと思います。
いくら胎児で10週しか生きてないとしても、私にとっては大切な自分達の子供でした。
なのに何のフォローもなく、ただ淡々と入院と手術の説明をする先生達。
私の病院嫌いに拍車がかかりました。
何か言ってほしいとか、何かしてほしいとか、どうしてほしいかなんてわからない。
でもただその子の存在をそんなに軽く見てほしくなかった。
確かに生きていたんだという何かが私にはほしかった。
とにかくこの子に申し訳ないと思って、泣きながら謝りつづけました。
そしてこの子の死を無駄には絶対しないと誓いました。
自分を責めたところでこの子は帰ってこない、私が悲しんでいても仕方ない、今できる事はこの子が教えてくれたことを無駄にしないようにする事、その事しかないと思いました。
とにかくそう思う事で吹っ切る事にしました。
仕事は休んで、自分をいたわる事にしました。
辛い時は辛いという事も必要だと、休む事の大切さもこの子が教えてくれました。
そうやってこの子の生きていた証を、私は探しつづけて行くのだと思います。
たった10週でしたが、この子は生きていたし、私は母親でした。
それはまぎれもない事実でした。
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