しいなのマイブームきまぐれ日記                      

しいなのマイブームきまぐれ日記        

2005.09.29
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カテゴリ: ソンジェの心模様
 数日後、ソウルの兄から電話が入った。父が危ないという。

 [勝手なこというなよ!ソンウを捜そうって言ったの兄さんだろ!それを今さらあきらめろなんて・・。
 俺は帰らないよ。父さんのことは心配だけど、ソンウを見つけるまでは帰らない!] 
 返事を聞かずに電話を切った。

 [ちくしょう・・。もう捜さなくていいなんて・・。]
 [親父さん、ヤパそうか?]
 [かろうじてもってるらしいけど、ソンウを見つけるまでは帰らない。
 父さんもソンウの帰りを待ってるんだ。]

 [お前・・すぐに帰ったほうがいいんじゃねえか?ソンウを見つける前に
 親父さん死んだらどうするんだ。兄貴はまだ許してねえんだろ?
 弟が日本人の女と駆け落ちしたこと。お前だって反対したんだろ?]

 [ああ・・。反対したよ。父さんも母さんもみんな。日本の女性と付き合うことを許さなかった。
 俺も別れろといった。]

 [だったら、もうほっとけ。]
 [でも・・その時は俺が間違っていたんだ。]

 あの頃の僕は日本人に偏見があった。今、僕の脳裏には彼女の姿が浮かんでいた。

                              *

 2日後、恭一が近くの喫茶店で人と会うからといって出かけ、僕が店番をしている時、
 警察がやってきた。ここで商売をするのは違法だ、責任者を呼べという。

 僕は急いで恭一を呼びに走った。恭一が待ち合わせているという店に行くと、彼が、
 女性となにかもめている最中だった。
 でも、こちらも急ぐ。

 [恭一、警察が来てあの場所は違法だから車を移動しろって・・。] 

 振り向いた女性は・・。あの人だった。こんなところで会えるなんて・・。
 僕はうれしくなって会釈した。
 「こんにちは。」

 ・・? 彼女は険しい顔をしている。
 「どうして・・。」
 僕と恭一の顔を見比べる。

 [なんだ?知り合いか?] 
 [どうしたんだ?]

 「この人、あなたのお友達?」
 「はい。どうかしたんですか?」

 彼女は、信じられない・・という顔をして、バッグからこの前の僕のTシャツを出し、
 僕に投げつけて走り去った。

 ショックだった。信じられないのは僕のほうだ。僕はあなたにまた会えてうれしかったのに・・。
 なぜこんなことを・・?

 僕は恭一に問いただした。

 [金もらって当然だろ?俺は被害者だぜ。]

 車をぶつけられて30万を弁償してもらったんだという。脅したんじゃないのか・・?
 彼女のあの様子は・・。

 [あの人に何をした?]
 [まだなんにもしちゃいねえよ。この先はわかんねえけどな。・・なんだよ、その顔は。
 お前、あの手がタイプか?]

 僕はため息をついた。「愛より金だ」が口癖なのはわかっているが、
 それほど悪いやつだとは思ってなかった。
 だけど、彼と一緒にいることできっと彼女に誤解されてしまったんだ・・。

 それが一番悲しかった。彼女が唯一僕には”やさしい日本”だったのに・・。





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Last updated  2005.09.29 23:15:40
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