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2022.09.11
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テーマ: 読書(9996)

本のタイトル・作者



香君 下 遥かな道 [ 上橋 菜穂子 ]

本の目次・あらすじ


ギラム島でひそかに改良された「奇跡の稲」が見つかり、オオヨマにたかられても大丈夫なオアレ稲が全土に広がった。
けれど、アイシャは不安を払拭できない。
オオヨマにつかれたオアレ稲はずっと叫びを上げ続けている。
来て!来て!来て!

―――いったい何を呼んでいるの?

そんな時、行方不明になっていたマシュウの父が発見される。
時を同じくして、バッタの群れが帝国の辺境に襲来する。
それは空を覆い尽くし、オアレ稲についていたオオヨマを貪った。
ならば朗報と思った矢先―――孵化した幼虫は、オアレ稲をも食べ始めた。
のみならず、その変容したバッタは、周囲の草木も食い尽くす。
オアレ稲の耕作地に、ほかの植物は生えない。
家畜たちは、オアレ稲の藁を飼料にしている。
他国への貿易は、オアレ稲が担っている。
このままでは民は飢え―――国が、滅びる。

引用


「この国が若かった頃、人々が凍った大地を耕し、ようやく生きていた頃、この句の人々は生き残るために身を寄せ合い、国が豊かになれば、自らと家族だけでなく、共に生きる仲間たちも幸せになると思ったでしょう。その頃は、きっと、自らが支えている国の姿が、ひとりひとりに見えていたはずです」
(中略)
「陛下」
と、マシュウは言った。
「大きくなり、豊かになったこの国の中で、自らがどのような国を、どのように支えているのかを思う者は、どれくらいいるでしょう。藩王国を含め、多くの他者の痛みが、自らの痛みでもあるのだと思える者が、どのくらいいるでしょう」


感想


2022年233冊目
★★★

オオヨマとずっと戦っていた上巻だったけど、一転、下巻はバッタとの戦いになった。

蝗害(こうがい)といえば、私は『大きな森の小さな家』シリーズを思い出す。
空を埋め尽くすバッタの群れ。黒い雲が渡っていく。
すべて喰い尽くされる。なすすべもなく。
幼心に恐怖したあのシーン。

だから今回も、「ああ!どうか止まって!」と祈るような気持ちで読み進めた。
帝国全土のオアレ稲を焼く。
それしか、方法はない。
けれど政治はそれを赦さない。

香君(私はどうしても「香宮」と書いてしまう)であるオリエは、強い。
飾り物である自分を、有効に使おうとする。はじめて、自らの意志で。
アイシャがオリエの傍らから立ち上がった時は、「おお」と思った。
我こそは香君である―――いやそんな急に言われても、と思うけどね。

騙されたいのだ、という言葉があった。
自分より大きな存在に、神に、権力に、信じて、託して、頭を預けてしまいたいのだ。
思考の放棄。
そうすることで救われたいのだ。誰かの、何かのせいにして。

オリエが出来なかったことを、アイシャは引き継ぐ。
人としての香君。知識をつけさせ、自分たちで考え、判断できるように。

上巻で推せ推せだったマシュウ×オリエ。
私ひそかに、オリエとは結ばれず、マシュウとアイシャが結ばれてしまうのでは…と危惧していたのですが、そんなことはなく。
ハピエンでした!ヒャッホー!よかったねマシュウ!!!
最後の「旦那様と」ってアイシャがオリエに言って、オリエが照れるとこ、めちゃくちゃ良かった。
マシュウはものすごく大事にするんだろうな、オリエのこと。
偽りの神を下りて、はじめて生きていられた香君。

異郷の扉が開かれるところは、どういう仕組みなのかよくわからず。
山を越えたところをそう呼んでいる…というわけではなさそう。
あまりにも世界の仕組みが違いすぎる。
ということは、ほんとうに異世界なの?扉ってどんなん?
開くってどういうこと?
なんで記憶曖昧になるの?女の子たちはなぜ預けられたの?(種が芽吹くように、で最後は連れてこなかったのは、ほかの方法が見つかったからなのか、もう滅びたからなのか…)

あとがきで、著者がこの物語が生まれた経緯について語っていらして、「よい語り部はよく聞く人でもある」ということを思った。
「何かを書きたいけど、どうすればよいですか」とか、「アイディアはどんなときに思いつきますか」と作者の人がきかれて、よく「たくさん本を読んで、映画を観てください」と答えている。
それってこういうこと。
アイシャが匂いを嗅ぐように、あらゆる世界に物語の声を聞く。
そこにあるものが作者のなかに蓄えられ、醸されて、物語が生まれる。

これまでの関連レビュー


香君(上)西から来た少女 [ 上橋菜穂子 ]




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最終更新日  2022.12.03 23:40:29
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