『痴人の愛』谷崎潤一郎

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2020.08.12

テーマ：今日どんな本をよみましたか?(91806)

カテゴリ： ✧✧✧　game・本・マンガ　✧✧✧

痴人の愛改版（中公文庫） [ 谷崎潤一郎 ]

ずっと読みたかった元祖・変態本

アリス評価　★☆☆☆☆

めちゃくちゃ軽い文句レビュー。

ファンの立ち入り禁止。
ネタバレ注意。

★０の駄作だと思っても
最後の解説で覆されるってことあるよね…

　　　せっかちBBAから見たあらすじ　　　

舞台は大正時代。
古き良き大正ロマン、昭和モダンが心躍る。

西洋風の顔立ちで美人のナオミ(15)は、
学校へは行かずカフェで働いていた。

そこの馴染み客である
アラサー中スペックなリーマン譲治は、
徐々にナオミに惹かれていく。

彼は、
「他の女子のように女学校に通わせたり
英語を勉強させたりしてあげたい！」
という下流美女の救済という大義名分で
ロリコン育成ゲームを始める。

自分の家に招き入れ宝物のように大切に育てる。
手は出さない。
が、体を洗ってやったり服を買ってあげたり、
英語教室やダンス教室に通わせたり、
譲治は資金援助で尽くしまくる。
ナオミ育成日記もつける

ナオミは着々と教養を身に着け、
ハイカラなブルジョアの世界でも
堂々とした立ち振る舞いをするように…。

18歳になるころには体つきも女性らしくなって、
２人はついに夫婦となる。

ナオミ、ハイスぺの男達を食い散らかすｗｗ
譲治、メンヘラ化。

子供はいらない派だった譲治だが、
「子を産めばナオミは嫁としてそばにいてくれるかも」
と提案するが却下されるｗ

ナオミの浮気が止まらず、２人別居状態になる。
譲治は会社も辞めちゃって引きこもる。
メンヘラ悪化。

なんやかんやで仲直り。
今でいう”射セイ管理”されて主導権は完全にナオミに。

美女育成ゲー失敗。
可愛い小悪魔ちゃんは無事、鬼嫁にｗｗｗ

まぁ、でも、
尻に敷かれながらもうまくやってまっせ、わてら。
飼い主がペットになっちゃったけどね、てへ。
こんな夫婦、いてもいいよね？てへてへ。

っていうしょーもない話

　　　　　　　　　感想　　　　　　　　　

変態描写はほとんどなかった。
お馬さんごっこくらい？

時代背景を考慮すると、かなり攻めた内容だなー！
とは思う。
卑猥な表現はほとんどない。

性に自由奔放の床上手のナオミ。
男を手玉に取る悪女。
と書くと響きは良いが
10代であの華麗な男転がしはサイコパスの技。

昔の名家は、このテの女を嫌がった。
全財産を食いつぶされるからだ。
だから許嫁なるものがハイスぺ家族には必要だった。
アラサーリーマンの実家は田舎で名家ではなかったが、
財産をナオミに牛耳られる。
いい気味だ。

譲治はナオミの外見がとにかく好き。
中身空っぽのスッカスカの恋愛。
「ナオミタソ～♥ああ美しい肌～♥綺麗なお顔♥」
と愛でる愛でるｗ

嗚呼…キモイキモイ…。
ロリコンで恋愛体質でメンヘラの男。
女に依存しないと生きていけない性質。

最後にはすっかりM男とされた譲治が哀れｗ

M男って、
自分の完全理想とする女性を神格化し
崇拝して生きていきたいんだよね。

M男は、自分が理想とする女神様から
支配されて搾取されて監視されるのが幸せ♥

それが良く出てた作品でしたｗ

あーーアホらし…

と思って本を閉じようとしたが、
スッキリしないので解説を読んでみた。

…はい？？？？

河野多恵子さまの解説で、
私は( ꒪Д꒪)こんな顔となった。

☆*・ﾟ・*:.｡.*.｡.:*・☆*・ﾟ・*:.｡.*.｡.:*・☆

この小説の主人公はナオミではなくて、
実は譲治なのであり、彼はマゾヒストなのである。

男性マゾヒストが自分のその 異常性愛に
見合った女性サディストを
少女の頃からわが手で育成してゆく歓びを
描いたのが、この小説なのである。

☆*・ﾟ・*:.｡.*.｡.:*・☆*・ﾟ・*:.｡.*.｡.:*・☆

なんだと…

ナオミの自由奔放さ、ワガママさは、
彼女の生まれ持った性格などではなく、
実は譲治が育てたというのか…！！！

「読者諸君、聞いてくれよ～
俺の嫁がさぁ～こんなワガママで～」
というしょーーーもない惚気と愚痴の混ざった
鬼嫁ブログを読まされてる気分だったのに、
実は
「世のM男諸君。
俺は理想の女王様を育て上げたぞ！
聞いてくれたまえ」
という自慢話だった…？

( ꒪Д꒪)…ゾゾゾゾゾ

愕然とした。

こんな大どんでん返し！

最高の解説文でした！

脱力感…( ꒪Д꒪)

『サドのＳはサービスのＳ』
とは昔から言われていた。

結局マゾという生物は
『サディストから性サービスを受けるTaker』であり、

サドという役割は
『マゾに性サービスしてあげるGiver』であるのだ。

つまるところ譲治は、
ナオミを性サービスさせる為に育てたのだ…

嗚呼…こんなことって…

なんてことを…

☆*・ﾟ・*:.｡.*.｡.:*・☆*・ﾟ・*:.｡.*.｡.:*・☆

このナオミはモデルがいたそうだ。

著者である谷崎潤一郎は、
向島の料亭『嬉野』を営む石川家の長女の初子（既婚）
の気性の荒い性格を気に入り、求婚するが断られる。
まぁ、初は結婚してるからね
そのかわり初の妹である千代を勧められ、
初と同じ性格だろうと踏んで結婚した。
が、
千代は初子とは正反対の貞淑で従順な性格で
谷崎のタイプの女性ではなかった。
その為か、千代にDVしたりしてたらしい。

石川家には15歳のせい子もいた。
初と千代の妹である。
谷崎は、このせい子が
初と同じ性格であることを発見してしまう。

彼はせい子に惚れこんで、
実際に引き取って育ててしまう

妻である千代は
事実上捨てられたもんらしいが、
なかなか離婚はしなかったようだ。
意地だったのかもしれない。
だが、後に離婚して作家の佐藤春夫という
谷崎との共通の友人と再婚している。

そして、
15歳で引き取られたも元妻の妹
せい子は、女優にまで成り上がった。
だが谷崎は結婚には至らなかった。
理由は調査中。

谷崎はその後、２度？再婚したらしい。
が、
どーでもいいやｗｗｗ

あとは→　 ★ 　 ★

チラッとキッチンに目をやると、
主人はせっせと皿洗いしていた。

私は鬼嫁ではなかった。
少なくとも長女の育児中はキラキラママだった。
27で産んだので体力あったし女子力もあった。

長男を育児中に主人がモラハラ化した。
私がそれに怒りヒステリーが暴走し
ここには書けないくらい主人をシメたりもして
気づいたら
43の今は立派な鬼嫁になった。

もしかして
私が…育てられた…？

専業主婦でも夕飯作りは毎日主人。
私のワガママを全部掬い取る主人。
マッサージもムダ毛処理もしてくれる主人。

私が彼を育てたと思ってた…

私はあの頃は確かに鬼嫁ではなかった…

元ゴスロリっ子ですもの
目指すは可愛くて謎めいたママ♥

それが大幅なキャラ変となった…

こんなはずではなかった…

今の私は、自分が理想とする母親ではない…

いつの間にかキッチンは主人に奪われた。
いや、ありがたいんだよ。
料理下手な私より上手な主人に料理された方が
食材達も喜ぶであろうよ。

いや、だけど、
あれ？いつからだ…？

自分で望んだかもしれない。
もしくは、仕組まれたのかもしれない…

あれ…？

チラッとキッチンに目をやると、
主人はせっせと皿洗いしていた。

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