Alice Boy's Pictures

Alice Boy's Pictures

朝刊

朝刊


2005年01月04日(火曜日)

次男のつぶやく声が聞こえた。どこで?
私はベットの中から時計を見た。4:00 え?!
ベットから跳び出て自分の部屋のドアを開けた。
居間の灯りが点いていて困惑の表情を浮かべている長男と目があった。
察しがついた。「次男くんは?」と訊いたが答えはわかっていた。
長男は「外」と答えた。
あちゃ~~。

そ~~と玄関ドアを開けると次男の背中があった。
きちんとジーパン、トレーナー、その下にはTシャツ、靴下もはいている。
身支度は昼間と同じだ。
次男は新聞が配達されるのを待っているのだ。
外は真っ暗。まだ夜の続きだ。ご近所は寝静まっている。
小さな声で次男の声をかける。
「次男くん、おうちへ入ろう。」「わ!びっくりした。」と次男。
お願い、大きな声を出さないで。小さな声でもこの時刻では恐ろしく響く。
次男は続けて「新聞」と答える。「お家の中で待とうね。」というと、「ダメ。ダメ。」
「ここは寒いからね。お家の中で待っていよう」
「イヤダ」と言ってドアをグ~~と押して外から閉めてしまった。
この時刻に怒鳴るわけにはいかない。次男の独り言が大きくならないように祈るしかない。
長男は、居間からドアの内側で立ち尽くすしかない私を見ている。
長男もベットには戻れないのだ。私が「お兄ちゃん、たのむ!」という時を待っている。

新聞配達の人、お願いだから、早く来て。
時たま、配達されない時もあるけれど、今日だけは忘れないで。
タタタタタタ、階段を下りてくる足音がした。ガチャ。ポーチの門扉を開ける音。
朝刊を持った次男が勢い良く玄関ドアを開けて飛び込んできた。
そこに私が居たから「ああ、ビックリ」だと。
そのまま、ホット・カーペットの敷いてある居間へ走っていった。
長男は「ほ~~っ」とため息をついてベットに戻った。
私も鍵をかけてベットに潜り込んだ。身体が冷え切っていた。


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