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2007年06月29日
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カテゴリ: エッセイ
高田馬場駅前にて

遥かな昔、遠い所で 第7回

何年ぶりかで下車したのは、知らない間にすっかり新しくなったJR山手線の高田馬場駅である。昔はもっと暗くて重くて澱んだ空気が流れていたが今ではあっけらかんとして他の駅とあまり違わない。

地方から東京に出てきた私は、ご他聞に洩れずアルバイトで生活していた。

毎朝この駅の売店(いまではキオスクとか呼んでいるようだが)でパンと牛乳を買って急いで腹に収め、当時内幸町にあったNHKで昼飯抜きで大道具の手伝いをしてから名物のチャーシュー麺をかきこみ(当時死んだ猫のエキスをダシにしているという根強い噂があったが非常にうまかった)、それから日比谷公園の傍らで徹夜の突貫工事を行っていた東京地裁の701号法廷などの地下増築工事現場に行って朝の5時まで働き、地下鉄で高田馬場までもどってまたアンパンと牛乳を飲んで下宿にもどって死んだように眠ったものだ。

地裁のアリバイとは階下でたっぷり水分を吸って固まったセメント袋を地下2階から地上まで運びあげる仕事で体力のない脆弱な私だけは肩に担いだ重荷もろとも転落してよく現場監督に怒られたものだった。

高田馬場の駅前に出ると昔と変わらず大学に行くバスが止まっていた。

私は学生時代にこの都バスの料金が交通局によって値上げされることになり、それがけしからんというので「徒党を組んで」このバスに乗ろうとする人間を「実力で阻止」していたことをはしなくも思い出した。

今考えると相当論理にも行動にも飛躍があるが、よくも多くの学生たちがバスに乗らずに素直に歩いてくれたものだ。今の私には到底こんな行動に出る勇気も気力も体力もないが、それでももし再びやらなければならないときには、けっして徒党は組まないだろうと思う。





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Last updated  2007年06月29日 14時04分00秒
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