「無届け介護施設」の実態をはじめて見ました。ちなみにNHKが定義づけた『無届け介護ハウス』とは、有料老人ホームにあたるのに(老人福祉法で定められた)都道府県への届け出義務を行っていない施設のこと。うわっ、無届け? なにそれ、いわゆるブラックってやつ? なんて、無届け=ブラック=虐待やら何ちゃら、といった図式で見るムキもあるかもしれませんが、番組で取り上げた無届け介護ハウスは極めて全うに思えました。
ここは、全国に52万人もの介護難民(特養や有料老人ホーム入居できない)がいる中で、そういった高齢者を民家のひとつ屋根の下に住まわせ、訪問介護報酬を得て、介護難民に『居場所』を提供することで社会貢献する事業モデルです。ひとつ屋根の下で暮らしているのに、訪問介護と呼ぶには少し無理があると思いましたが。案の定、実態が有料老人ホームならば、行政に届け出るべしと、市役所から呼び出されます。そして有料老人ホームであれば必ず個室を設けるべきと迫られます。
いま定員10人ですが、一般民家ですから10個も個室が作れるはずもありません。定員が半減することで、現在の定額なサービス提供料(月額10万円)を維持することも不可能です。困り果てた施設の経営者は市役所の担当者に、絞り出すような声で問いかけます。「(無年金、低年金者が増加し、月額利用料25万円ほどの有料老人ホームへの入居が土台無理であって)1000円、2000円でも利用料が安いほうがいいという本人、家族の希望は絶対あると思う(だから私たちの施設の存在意義あるのだ)。お金のないお年寄りは特に増えているので、そういう人たちへの対応って、市役所の人たちはどう考えていらっしゃるのですか?」と。
しかし市の担当者は「個室を作れ」と一方的に答えるのみ。経営者の問いかけは現在の福祉(介護)行政の狭間(はざま)を衝く質問ですから、市役所の一担当者に応えられるわけもありません。なんとなく腹立たしく、それでいて、このような志の高い経営者がいるのだなぁと、番組を通じて知った次第。社会福祉法人や大手民間企業に必ずしも志はあらず、逆に民間中小「無届け」施設にも志はあるってことだ(^^)/
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